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650リンクワーカー

 孤独問題への対応で担当閣僚が設定されたのが2021年、菅内閣時代のこと。
岸田内閣に代わってどうなったのか。さっぱり話題になっていない。担当大臣ポストは健在だった。8月の改造後は、内閣府特命(少子化対策・男女共同参画)担当大臣の小倉將信さんが、「子ども政策」、「共生社会」「女性活躍担」と並んで「孤独・孤立」対策を引き受けている。いずれの旧来の発想では難しい分野。どういう成果を示してもらえるのだろうか。
 内閣官房ホームページを覗いたら、孤独・孤立の問題について総合的な対策を推進するための企画及び立案並びに総合調整に関する事務を処理するため、内閣官房に、孤独・孤立対策担当室を設置しているとあった。縦割りではなく、総合調整をする部署のようだ。ということは具体的に何をするの??
 
 孤独を感じている者に重要なのは話し相手だろう。ホームページでは相談先の電話番号を紹介していた。
「孤独・孤立で悩まれている方へ ~相談先一覧~  もしあなたが悩みを抱えていたら、相談してみませんか。」
 悩みごとの例示がされている。
(1)つらい、消えたい、死んでしまいたい、と思ったら
(2)子供たちがいじめ等の悩みを相談したいと思ったら
(3)性犯罪・性暴力の被害について相談したいとき
(4)児童虐待かもと思ったら
(5)配偶者等からの暴力(DV)かもと思ったら
(6)生きづらさを感じるなどの様々な悩みについて相談したいとき
 それぞれ電話番号が記載されている。電話先には、聞き上手で的確に悩みを解決してくれる職員が待機しているので遠慮しないでということだろう。疑うわけではないが、どのような成果が上がっているのだろう。悲劇的な事件が起きると、もっと早めに専門家のアドバイスを受けることはできなかったのかとのコメントがなされる。
相談を受ける仕事に従事する職員を「リンクワーカー」と呼ぶらしい。わが国においてリンクワーカーがどのくらいいるのか。その機能を果たしうる職種・組織をまとめた資料があった。
そのうちで行政が設置しているものを紹介すると、「地域包括支援センター」「地域生活支援拠点」「子育て世代包括支援センター」「社会福祉協議会」「民生委員・児童委員」。制度的に完備していることは分かったが、どれほど市民が認識しているか。警察署・消防署の場所ならだれでも知っている。だがわが町の地域包括支援センターがどこにあるか、どれだけの人が知っているか。
孤独問題はだれのみにも起きうる社会問題であるとの政府認識と、実際の対応との落差が大きすぎないか。

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