見出し画像

434ハゼを獲ったよ

先週、小学生の孫が泊まりに来た。名目は勉強合宿だが、要は従兄弟、従姉妹が集まって遊びたいということ。
 最終日の午前中に木場公園に連れ出して戸外遊びをした。こういう時に役立つのが百均ショップ。家を出るときは手ぶら。道々、公園で何をしたいか聞きだす。少々回り道をして、イースト21でフリスビーとバドミントンの道具を調達した。
 いっときを過ごし、帰り道に親水公園を通った。流れに人が群れている。寄ってみるとハゼだ。体調5センチほど。胸に独特の目立つヒレがあり、泳ぎ方にも特色がある。はだしになって川に入り、網で追いかける子どもたちがいて、横の深い箇所では大人たちが釣り糸を垂れている。
「ハゼを獲りたい」。孫たちが口々に言う。さて、どうするか。
「百均に網を売っているのではないか」と一人が言う。
「隅っこの方にあったと思う」と次の子。
「早く買いに行かないと売り切れちゃうよ」の声も。
 再びイースト21の百均へ。ただし在庫がなかった。1週間ほど前に売り切れたが、夏用商品なので追加注文をしないとのこと。
「釣り具専門店があるわよ」と家内。こちらが求めるのは子どもの遊び道具。マニア用の高級用具は必要ない。でも孫の要望に応えたいのがジジ・ババの弱み。
 値段をおそれながら入店した。期待どおりの網があった。百円とはいかないが、一つ410円の許容範囲。子どもの数だけ買った。
 
 親水公園に戻る。子どもたちは岸辺から網を差し出してハゼを掬(すく)おうとするが、水中での網の動きが緩慢なのに対して、ハゼの動きは素早い。掬ったつもりでも水面に引き上げる前に、ハゼは脱出している。
 はだしで流れに入っているよその子どもたちも成果は上がっていないようだ。
「ジジチャマ、どうやって獲るの?」
 ボクはハゼを観察しつつ、その言葉を待っていた。孫の一人から網を借り、見本を示した。追っかけて獲れないときは、待ち伏せするのが狩猟の鉄則。川底には大石がいくつもあり、流れが狭くなっている箇所がある。そこに網を沈ませ、静かに待つ。ハゼも網を警戒し、しばらく寄ってこない。だが、しばらくすると入ってくるヤツがいる。最初は出たり入ったりしているが、安全と思うのか、ほかのヤツも入ってくる。
 それが5,6匹になったところで、スッと上げるのだ。コツを会得した孫たちによってバケツ(これも上州屋で買った)には、どんどんハゼが投げ込まれる。
「ハゼが逃げる」。孫の一人が気付いた。ハゼも生き物。むざむざ捕まったままでは済まさないぞと、跳躍一番、バケツから飛び出し、地面を転がって川に戻ろうとしているのだ。
 だが案ずることはない。転がるハゼを追いかけ、手掴みしてバケツに戻している。ヌルヌルするから触りたくないとは言っていられない。必要に迫られれば、気持ち悪いなどは飛んでいくものだ。
 バケツが満杯になり、切り上げることにした。さて、このハゼをどうするか。ハゼの天麩羅(てんぷら)はうまい。持って帰って夕食にしようという意見と、川に返してあげようという意見が出た。こういうときは民主主義の基本の多数決。放流することに決まった。

画像2


 夕食を済ませ、風呂にも入れ、順々に車で送り届ける段取りだが、車中で眠り込んでしまった。楽しい夢をみたはずだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?