ドラマVIVANTと空売り
こんにちは。SSKCの有路です。
最近見たドラマで面白かった「VIVANT」について書きたいと思います。ただ、ドラマの内容ではなく、ドラマの中で起きた「空売り」についての記事となります。
※本記事はドラマ「VIVANT」、アニメ「文豪ストレイドッグス」のネタバレを一部含みます※
空売りとは
空売りとは信用取引の一つで、株価が下がると見込んで、証券会社から株を借りて売り、その後株を買うことでその時の金額差で儲けるという方法です。
例えば、株価2000円の株が1500円まで下がりそうだと思い、証券会社にまず「株価を売って下がった後の値段で買う」という約束をします。これを「売り注文を出す」と言います。
その後、予想通り1500円まで株価が下がったタイミングで、株を買い戻すと(反対売買と言います)、差額の500円が利益として手に入ることになります。
もちろん、必ずしも株価が下がるとは限りません。株価が下がらなかったとしても2000円で売ってその後買う約束を証券会社としているですから、どこかのタイミングでは買い戻さなければなりません。
そのため、売り建てた日から6か月以内には買い戻す必要があります。6か月買い戻ししなかった場合には強制的に反対売買が行われます。
2000円で売っても、株価が上がっていき6か月後に株価が2300円となっていた場合は300円分損となるわけです。
作中における空売り
ドラマ「VIVANT」の9話でも、急遽1000万ドルという資金が必要となった主人公乃木が、空売りを行うことで、3日という短期間で手に入れる描写があります。
ある製薬会社の治験失敗のリーク情報を入手した乃木は、株40億円分を空売りしてリーク情報を流すことで株価を暴落させ、株価が半値近くなったところで買い戻して20億円近くの利益を得ました。
途中、ストップ安によって株価の下落が一旦止まります。
作中にも説明がありますが、株価の急激な変動により混乱が生じないよう、1日の値幅に制限が設けられているのです。
株価によって制限値幅は異なり、作中の前日終値2399円では、制限値幅500円、すなわち前日比-500円の1899円まで株価が下がった時点でストップ安となりそれ以上下がることはなくなりました。
他にも、アニメ「文豪ストレイドッグス」32話でも空売りで資金を得る描写があります。
登場人物であるフィッツジェラルドが、元手が少ない状態から、内務省を掌握するための資金調達を行います。(規模がすごいですね)
フィッツジェラルドは軍事会社の会社を4億ドル空売りし、会社内で起きた殺人事件についての暴露を行うことで、株価を暴落させ利益を得ます。
そして株価が底値になったところで軍事会社の株の大半を買い戻し、軍事会社の技術を手に入れるというものでした。
ちなみに、この軍事会社の会長の名前がトム・ブキャナンなのですが、モデルの作家であるフィッツジェラルドの有名作「グレート・ギャツビー」に出てくる登場人物と同名であり、アニメにおいても因縁の相手として描かれているのが今回の話で個人的に好きな所です。
空売りの注意点
信用取引の一つである空売りは、資金の範囲内で行う現物取引とは異なり、保証金を担保として株式を借りて元手の約3.3倍の取引ができます。
このように少ない資金から大きな利益をつくることをレバレッジ(てこ)効果といいます。
また、現物取引では、株価が下がりそうな時には何もできませんが、空売りが上手くいけば利益を生むことができます。
しかし、空売り含め信用取引は上記のようなメリットがあると同時に、注意しなくてはならないリスクもはらんでいます。
まず、資金以上の取引ができることで大きな利益を生むことができるのですが、同時に大きな損失になるという可能性もあるということです。
現物取引では最大でも元手の範囲内の損失までしか起こりえませんが、信用取引では元手を超えた損失が発生しえます。
特に、空売りの場合は株価の値上がりというのは青天井であるため、売り注文の後に株価が上がっていけば理論上損失に上限がありません。
他にも、信用取引では証券会社から資金や株式を借りて取引を行うため、通常の売買手数料に加えて、借りるための利子(空売りの際に株を借りる際の利子を貸株料と言います)が必要になったり、株の動向次第では追加の保証金(追証:おいしょう)が必要になったりします。
おわりに
空売りによって株価の下落を加速させたり、株価をわざと下落させるのを防ぐため、下落している株には空売り規制がかけられています。
しかし、株で利益を得る方法として、上昇しそうな局面の株以外でも可能だということを一つ覚えていただけたらと思います。
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