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推しのアイドルを見つけた話

これはえぬえむとぅけの元メンバーであるキキちゃんへのラブレターです。

見つけてしまった

青天の霹靂

当時はコロナウイルスに罹患し高熱が続いていたため全身の軋むような痛みで眠れず、テレビから聞こえてくる笑い声を煩わしく感じた結果、YouTubeで学生時代に好きだったインディーズバンドの動画を流して気を紛らわしていた。次々とおすすめの動画に切り替わる中、聴こえてきたのは女性の歌声だった。気になって画面に目をやると楽器を持たずに踊りながら歌っている。その美しく力強い歌声とゴリゴリの重低音が耳に残るのでスクショして、翌朝調べてみた。検索にヒットしたグループ名のTwitterのアカウントを見ると、所謂地下アイドルのようだった。ステージからあまり遠くない距離で撮影されたであろう動画から推察するに、気になった女の子は真キキちゃん(以下、キキちゃん)と思われる。フォローリストから個人のアカウントを探して開いてみると美少女がいた。いやいや、最近の若い子の加工技術は飛躍的に向上しているし…と冷静になろうとするも、気が付くと数週間後のライブのチケットを予約していた。その日までには絶対に治すと決めてからは回復が早く、無事に療養期間を終えて自宅待期中は彼女たちのライブ動画を漁ったり似顔絵を描いたりして過ごし、頭の中はキキちゃんでいっぱいだった。

初めての現場

アスファルトの照り返しで焼き鳥でも作れそうな猛暑が続く中、いよいよ楽しみにしていたライブの日になった。どうやら界隈ではライブを現場と呼んでいるらしい。コールという文化があるそうで、検索して出てきた基本コールというのを頭に入れ、前日に購入した洋服を卸していざライブハウスへ。当日は同じグループのメンバーの子の生誕祭ということで、お目当てのキキちゃんのいるグループ(以下、えぬえむとぅけ)は間に生誕ステージを挟みトリを飾るようだった。前のグループの出番が終わり暗転する。アイドルグループらしからぬ重低音のSEと共にメンバーがステージに現れた。原色のライトにキキちゃんが照らされる。事前に見ていた写真と何ら変わらぬ美少女が立っていた。死んだ。

初めてのチェキ

終演後や出番の合間に物販があり、チェキを撮ったりグッズを購入することができる。まずチェキ券を購入してから撮影の列に並ぶ。この先にキキちゃんがいて、一緒に撮影し、加えて僭越ながら会話もできると思うと緊張と歓びで吐きそうだった。キキちゃんの第一声は「初めまして、もしかして絵を描いてくれた子?」だった。見ず知らずの人間の描いた似顔絵を覚えていてくれて、突然のタグ付けに不気味さがあっただろうにそのことを話題にしてくれる、なんて心の広い方なんだ女神かな。そしてこれがアガペーか。
キキちゃんが一緒にアイドルをしている同じグループの子たちのことも知りたくて、メンバー全員とチェキを撮った。ステージ上では美しく力強い彼女たちは、話すと年相応と思われるかわいらしい女の子たちで、すぐにみんなのことが大好きになった。箱推しと言われるものに近いが、若干異なっているように思う。メンバーのみんなのことは大好きで、キキちゃんのことは愛している。恋愛感情ではなく、愛しさと敬意と庇護欲を天元突破したいままでに得たことのない感情だ。

初めてのワンマンライブ

以降は仕事の合間にできる限り現場へ通った。持病で発作が出やすいのでなるべく人の少ない平日や早い時間帯のライブに行くことが多かったと思う。何かしたい気持ちが先走りライブレポートを描くようになった。自己満足で始めたものの、メンバーのみんなが楽しみにしてくれるようになって嬉しかった。衣装が変わり、メンバーが増えて、新曲の発表が続き、少しずつ嬉しい変化はあったもののえぬえむとぅけが大好きな気持ちは変わらなかった。
いよいよワンマンライブを迎え、披露された新メンバーと新衣装に湧きあがった。あの最高の瞬間に立ち会えた幸せを思い出すと目頭が熱くなる。その後販売されたDVDは擦れる程観た。

変わってしまった

予期せぬお知らせ

春になり、多忙な日々が続いてなかなか現場に顔を出せなかった。やっと予定を調整できるようになり、久しぶりにライブに行った数日後、まだ梅雨も始まっていない頃に公式アカウントから発表があった。5人のメンバーの内、キキちゃんを含めた3人が卒業するとのことだった。現状に頭が追い付かないままキキちゃんのコメントを読んだところ、要約すると将来のためにアイドルを卒業して就職するということだった。悲しさや寂しさが溢れ出したが、それ以上にこんなに誠実な子を見つけて、好きになって、推していることを誇りに思った。
それからは溜まっていた有給休暇を消化してできる限り現場へ足を運んだ。メンバーのみんなが心から楽しんで全てのステージに立ってほしくて、私も全力で楽しんだ。

夏の日の3Days

卒業ライブを含めた3日間のライブが決定した。少し前からえぬえむとぅけのファン(界隈ではオタクと呼ぶけれど敬意を表してファンとさせてください)の方々の顔も覚え、「あの人、今日も一緒だな」なんて一方的に親近感が湧いたりしていた。
初日は心の底から楽しかった。正にわちゃわちゃの擬態語を提言するような空間だった。
2日目の1公演目は対バン形式で、対バンのグループの子からえぬえむとぅけのメンバーへの贈る言葉にうるっときてしまった。ここまではまだ良かった。その日の2公演目のワンマンライブで、声が出辛かったのかキキちゃんの掠れた歌声を聴いたら、いままでのことが走馬灯のように頭の中を駆け抜けて涙腺が崩壊した。その後のMCでも死ぬほど泣いて頭痛で朦朧としながら帰宅した。
いよいよ最終日、通い慣れたライブハウスへ向かい、昨日みたいにはならないぞと気合を入れた。この日はトリで、待ち侘びたSEが聴こえたその刹那、涙が溢れ出した。気合とは何だったのか。
予定していた4曲を終えて、アンコールの歓声をSEに再度ステージ上に5人が現れた。これで本当にこの5人でのライブは最後だと思ったら涙で何も見えなかったけれど、後ろにいた方が前に行きなよと背中を押してくれて、最前にいた方々も隙間を作って迎え入れてくれた。この場でのお礼が届くかはわからないけれど、その節はありがとうございました。
最後の曲は「ちゅるりだ」という初期の頃からずっと歌い続けていた曲且つえぬえむとぅけでは珍しいキャッチーな曲で、2番目のサビ前でステージ上の彼女たちと指切りができる振り付けがある。涙でぐちゃぐちゃの私を見つけて、キキちゃんは一番に小指を差し出してくれた。その一連の動作がまるでスローモーションに見えた。私の人生で唯一無二の推しのアイドルが爆誕した瞬間だった。

変わらなかったこと

えぬえむとぅけに残ったのはスイちゃんとめいちゃんの2人だけになった。それでも活動を続ける彼女たちのライブにもできる限り足を運んだ。卒業したメンバーが残した曲、振り付け、気持ちを継承してアイドルを続けてくれる彼女たちが変わらず大好きだからだ。
秋になり、公式アカウントから新メンバー加入の発表があった。2人から5人に増えた彼女たちにも会いに行った。元々かわいく、かっこよく、美しい女の子たちが揃っていたが、更にビジュアルが優勝していたため、お披露目ライブのMCで思わず「ビジュ良っ!」と叫んでしまった。声出しOKのライブでよかった。

卒業後のこと

さて、卒業後のキキちゃんはと言うと、YouTubeに動画を上げたり、えぬえむとぅけを含めた様々なアイドルの振り付けをしたり、生誕祭等で一日だけアイドルを復活したりしてくれている。そして定期的にTwitterやInstagramに自撮りを載せてくれて、インスタライブまでしてくださるのでオタクの活力になっています生かして頂きありがとうございます。
更に来る2023年6月9日(金)に、SparkyBoo!としてえぬえむとぅけを卒業した4人でライブを行うとのこと。夏のボーナスかな?定期的供給謝謝!最高のご褒美です。
こうして、たまたま卒業後も触れ合える機会があるものの、もし職業柄二度と会えなくなっても、お嫁さんになっても、命ある限りキキちゃんを推し続けると誓いたい。綺麗で伸びやかな高音に力強い低音のどちらも美しい歌声、髪を振り乱してバチバチに踊るパフォーマンス、ステージ上から見つけてくれた時の指ハートと笑顔、きゅるきゅるお目目のバブちゃんフェイス、可愛らしい声におっとりした話し方、話していると楽しくなってきて一人称がキキからうちになってしまうところ、「またね」と言いながら合わせてくれる温かく華奢な手のひら、いま思い出しても鮮明で、愛おしくて、生涯の宝物だ。

結局、与えてもらうばかりで何も返せなかったことだけが心残りではある。
冠婚葬祭があっても絶対に駆け付けるので、何度でも復活してほしい。
こうして会える機会は当然ではないからこそ、毎回全力で楽しむのは勿論、
以前のように黄色のペンライトを振れることに感謝したい。\

最後に、1日限定アイドルグループのSparkyBoo!とえぬえむとぅけの公式アカウントを貼っておきます。オタク自慢のアイドルをたくさんの人に見てほしい。


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