主催挨拶

はじめまして。
今回冬コミで頒布するミリオンライブSSR合同、その主催を務めさせて頂いています、たうと申します。
今から、合同誌について少しばかりお話をさせてください。お付き合い頂けると嬉しいです。

SSRの作品しか載せていないSS合同誌、SSR合同。
タイトルを見て、大きく出たな。と思った方も多いでしょう。私もそう思います。我々の力量で、名前に負けしない合同誌が出せるのか。企画した後もさんざんに悩みました。
ただ、せめてそれに見合うだけの時間と労力を捧げました。
参加者の皆さんにお声がけをしたのが2018年の7月で、頒布するのが冬コミですから、一作を書き上げるのに半年をかけたことになります。ただの半年ではなく、みっちりと半年。
後に説明する批評会の日には、仕事や学校が終わり次第集まり、深夜まで各々の作品について本気で話し合いました。
個々人で集まって話し合った回数も、両の指では数え切れません。
この半年は、私の二十一年の人生で、最も創作に真摯に向き合った期間です。おそらく、他の参加者さんにとってもそうでしょう。
ですから、タイトルに呆れたという方も、その熱意に免じてこのエントリだけでも最後まで読んでいただければと思います。

まずお話したいのは、この合同を立ち上げた経緯です。
私はここ1年半ほど、他のSS書きの仲間と一緒に会合を持って、ずっとSSについての勉強をしています。
大学で言語学や文学の研究をしていた、そして今もしている人や、二次創作を10年以上やっている大ベテランもメンバーにいて、馬鹿な話を交えながら、あなたの作品はどうだ、君の文章はこうだ、と真剣に意見をぶつけあう時間はとても刺激的で、私自身いろいろと勉強させて頂いています。そうやって勉強をしていくうちに、この成果をどこかで皆さんにお見せしたい。という気持ちが大きくなっていきました。
その気持ちが合同の企画という形に結びついたのは、ある日の仲間内でのボイスチャットです。
「なんでSSって読まれないんだろう」
「どうしてSS本って手に取ってもらえないんだろう」
半ば愚痴のように、誰かが言いました。
所詮は同人活動なんて、ファンアートです。自分の愛を作品という形で世に発散させる。それが出来れば、手に取ってもらえるだとか読んでもらえないだとかは関係ありません。
でも、やっぱり悔しいものです。自分だって愛情を注いでいるはずなのに、イラストでの愛は世に受け入れてもらえて、SSでの愛は受け入れてもらえないだなんて。
なら、と。
「最高に面白いSS合同誌を立てて、世に出しましょうよ」
自然に口が動いていました。
面白いSS合同を出して、手に取ってくれた人に、SSにだって面白いのあるじゃん。そう思わせることができれば、SSへの敷居も低くなるんじゃないか。もっと読んでくれる人が増えるんじゃないか。私はそう考えたのです。
これがSSR合同の事始です。
そうして、私はSSR合同を作ろうと思い、メンバーを集め始めました。
メンバーについては順次ツイートで紹介するので、そちらを御覧ください。集めた時の話は、また機会があれば。

では次に、今回の取り組みについて、お話させて頂きます。
つまりどのようにして、面白いと自信を持って言える作品を書いたのか。ということです。
参加者全員に文才があるからSSRと言える作品が出来上がった、なんて簡単な話ではありません。
でも、改めて何をやったかを話してみると、それと同じくらい簡単なことに聞こえるかもしれません。
我々がやったのはどういうことだったのか。それはすなわち、面白くなるまで書き直した。ただそれだけです。
ただただ、それだけです。
今回、我々は半年の執筆期間中に、3度の締め切りを設けました。
そして提出の度に、作品をお互いに批評し合い、次回の提出までに直すということをしたのです。
駄目出しされた部分を直せば、物語の面白さを損なう部分が消せる訳ですから、作品のクオリティは上がっていきます。3度も直せば、相当にでしょう。
なんだそんなものか。そうです。何度も言いますが、たったそれだけなのです。
ただ、言うほど簡単ではないというのは、皆様も同時に思ったことでしょう。
そもそも人に自分の作品が批評されて受け入れるのはひどく精神的に疲れることですし、同時に他人の作品に対して相手に嫌われる覚悟を持ちながら批評するのもはっきり言えば進んでやりたいことではありません。
そして、自分が一生懸命書いた作品を何度も何度も手直しして書き直す徒労感は、簡単に言い表せないほど心にダメージを与えてきます。
今回、半分以上の人間が、批評会の度に作品を一から書き直しています。私もその一人です。
前の会合で言われた面白くない部分をどうにか面白くしようと頭を働かせ、PCを落として布団に入ってもああじゃないこうじゃないと夜も眠れず、大学の講義中にも作品のことばかり考えて、文章の一つ一つに頭が痛くなるくらい拘り書き直す。
正直、何度か泣きました。主催するんじゃなかった、と思うこともありました。
でも私は、我々はそれをなんとかやり遂げました。人に話せないような衝突も、挫折も味わいながら。 
ただ、そのおかげで……。自分で言うのも恥ずかしいですが、良い作品ができたと思います。
 

さて、主催からのエントリは、ここで終わりにしたいと思います。
実際の批評会の雰囲気などは、並兵凡太さんが書いてくれるはずですので、後日公開されるであろう、そちらをどうぞ。
2018年12月31日のコミックマーケット95、東ホールリ39aにて、SSR合同と一緒にお待ちしております。
最高のSS合同が読みたい方はお越しください。

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