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ミャンマーも、賛成票!

4月7日(日本時間4月8日)、国連総会でロシアの国連人権理事会の理事国としての資格を停止する決議案の採択が行われ、賛成93、反対24、棄権58で採択されました。この決議にロシアは強く反発。同理事国からの離脱を表明しています。

採択された決議では、理事国としてのロシアの資格を停止する、としながらも、停止期間については「適宜見直す」としていました。これは、ロシアがウクライナから完全撤退したならば、理事国復帰への可能性を残したわけですけれども、決議が採択されたということで面目を失ったロシアとしては、「資格停止」となるよりも、「自ら離脱」した方が、自尊心が保てるということでしょう。

それにしても、「厚顔無恥」という言葉がありますが、ロシアの態度はこの言葉を以てしても表現が十分でない、と感じてしまいます。そんなにプーチン大統領が恐ろしいのか、あるいはプーチン大統領の方針が正しいと信じ切っているのか、不思議でなりません。一時、「プーチン大統領の精神状態」が話題になったことがありますが、私としては、側近たちの精神状態の方にこそ関心があります。

さて、話題を国連総会決議に戻します。

反対票を投じた国々の中には、中国、イラン、ニカラグア、ラオス、ベトナムの国名が見られます。

棄権をした国は、ブラジル、エジプト、インド、イラク、ヨルダン、サウジアラビア、タイ、インドネシア、カンボジア(これは意外!)などです。

そして、賛成票を投じた国の中に…ロシアとの結びつきが強い、ミャンマーも含まれているのです!

これは明らかに、ミャンマー本国を統治している軍政とは異なる姿勢。ロシアとの軍事的つながりが深く、同国との友好関係維持に腐心しているミャンマー軍政と反対に、同国の国連大使が賛成票を投じるというのは、まったく珍しいことです。

これはもちろん、現在のミャンマー国連大使が、アウンサンスーチー国家顧問が中心となっていた民主政府によって指名されているからです。昨年2月1日、ミャンマー国軍がクーデターによって実権を握りました。その後国連大使の交代を求め軍政が新たな国連大使の信任状を提出したものの、今に至るも、国連総会の信任状委員会がその承認を先送りにしています。そのため民主政府によって指名されている現職が、そのままミャンマーを代表する国連大使として職務を続けているわけです。

この国連大使、チョー・モー・トゥン氏。
軍政ではなく、民主派勢力が設立した陰の内閣、「国民統一政府(NUG)」と連携しています。こちらの国連大使も、よく孤軍奮闘しています。おそらく同国の国連代表部には、軍政が派遣したスタッフが大勢入り込んでいることでしょうけれど。

それにしても、ロシアによるウクライナ侵攻をモノサシにして、世界がどんどん分裂しています。

武力行使を一刻も早く停止することに関しては、まだまだ世界が一致できる余地があるのですが、当事者であるロシアがそれを拒んでいる以上、圧力によって武力行使の停止を強要するか、あるいはロシアが自ら武力停止するまで民間人の犠牲には目をつぶるか、という方法論で合意が形成されていません。

人命は大切だ、とはどの国の政治家も口にすることでしょうけれど、その意思を政治的行動に結び付ける努力や工夫は、まだまだ不完全だといえましょう。現実に、多くの人命が今も失われているのですから。


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