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男が好きで、男が嫌いで。 #8ー傷はオトコの勲章なのか?ー

30代の男たちについてよく考える。そりゃ当たり前だ、それがこのnoteの主題なのだから。

僕の人間関係はこのコロナ禍を経て大きく変わった。新しいコミュニティで新しい友人たちに恵まれたのだ。
新しい出会いだけでなく、友人関係の男女の比率も大きく変わった。あんなに嫌だった男だらけの集まりの渦中にいるのだから。

集団の男には相変わらず苦手意識を拭いきれずにいるが(詳しくはこちらのnoteを)男の子観察noteと銘打って駄文を書いている身としては、色々な男の子たちについて考えることができるのでありがたい限りではある。

今回は、そんな男の子たちの傷の話。無性に書きたくなったので、今すぐ書かないと! と急いでPCを立ち上げた。

ー傷はオトコの勲章らしい

傷は男の勲章らしい。誰が言い始めたのか、こんなこと。
傷がつくに至るまでのプロセスが男にとっていい経験となっている的なニュアンスで受け取ってはいるし、傷はその人を物語るうえで必要なものだとも思う。
ただ、それが目に見える傷ならいいけれど。という話を私はしたい。

生きていれば深く傷つくことは当然ある。いわゆるトラウマと言われるやつで、これが大きな柱の一つになって各々がその人たらしめていると言ってもいいと個人的には思っているし、それこそがその人のチャームだとも私は思う。

ー見せれる範囲の弱い自分

しかし、この深い傷はある種の男たちにとっては武勇伝になる。なぜならこの傷を乗り越えたことで、この傷は人さまに自慢できる傷になるからだ。

人と仲良くなっていく過程で、この「過去の傷の見せ合い」というターンは少なからずまわってくる。実は…… と告白される過去の話は、自分たちの友情を一層強固なものにしてくれるカンフル剤になるからだ。
一見すると弱みを見せているようなこの行為も、見せているものが先述した「人に自慢できる傷」だとすると結局は武勇伝発表会にもなり得るのかもしれないとも思う。ん? 意地悪な見方しすぎ?

ー怒れる傷だらけのおじさん

まあ、それはされおき。目に見える傷と目に見えない傷がアラサーを過ぎたあたりから男たちの生活に支障をきたすと思っている今日この頃。
深手の傷はさすがに治そうと試みるが、本人も気付いていない傷が増えてくる。ほら、知らない間にアザができていたなんてよく聞く老化の話と一緒で、心にもそんな傷はたくさんついているのだ。

あなたの身の回りの、30代半ばを過ぎた男で、めんどくさいなと思う人を一人想像してみて欲しい。
その人はなにかに怒っているはずだ。絶え間なく、何かに声を上げていると思う。

その人たちがなぜ怒っているのか少し考えてみた。これまで気付かなかった(振りをしていた)小さな傷にある日突然気付いた人たちなのかもしれないと思った。

透明だと思っていたガラスに、小さな小さな傷が何度もついて、いつの間にか擦りガラスのようになってたことに気付いた人たちなのかもしれない。
クリアだと思っていた視界が急に遮断されたらそりゃ驚くだろうし、蓄積された小さな傷は大きなダメージになり、一歩間違えればガラス自体が粉々に割れてしまう。
なぜこんなに傷ついてしまったのか、小さな傷の一つ一つに目を凝らしてみたら、傷つけられた瞬間が連続してフラッシュバックし、それに付随する怒りも連続して湧きあがり、傷だらけの怒れるおじさんが生まれるのかもしれない。

こんなこと書いている自分自身も何に傷ついてるのかよくわかっていない。
わけのわからないタイミングでトリガーが引かれ、ムスっとしてみたり、悲しくなったりする。至極めんどくさいが、この小さな傷の痛みをいちいち感じて都度対処していないと、何もかもに怒れるヤバおじさんに自分はなってしまう予感がしているので、生きるの下手だなあと思いながらもアップダウンを繰り返している。

ー痛いって言えない

男の子たちは、目に見える大きめの傷(デカいとは言わない)には大騒ぎするが、目に見えない小さな傷には鈍感だ。
いちいち痛いと声を上げていたら、弱いと思われてしまうから。鈍感にならざるを得ない。

私のベストフレンドである女友達と登山に行ったとき、僕は彼女にこう言われた。
「ケガだけはしないでよ。ジジイのケガが一番引くから。」と。
そのときは、大笑いして深く納得してしまったのだけど、助けを求められず、強く痛がることもできず、ヘラヘラするしかできないおじさんを想像すると胸が苦しくなる。

古傷だらけのおじさんはハードボイルドだけど、生傷だらけのおじさんは痛々しい。

んー。果たしてそうか? もちろん四六時中痛いと聞かされたらそれもそれで鬱陶しいと思ってしまうのも事実なのだけど、勲章のような古傷より、今ある小さな生傷を見せてくれたほうがいいのに、と30歳を過ぎてから思うことが増えた。

ふと今一瞬、「痛い痛い」と泣きじゃくっている男の姿を想像してみた。


え、めちゃくちゃ愛しやすいかも。



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