見出し画像

詩は物語ではない、のか

先日、岡井隆さんの「今はじめる人のための短歌入門」という本を読みました。こういうの、いくつかちゃんと読んでおこうと思って。

で、その中にちょっと気になった言葉があって。それは「歌の中で物語ってはいけない」ということなのですね。

短歌というのは詩であり、詩は物語ではない。詩は、感情を詠むものなのだ、と岡井さんは言うのです。物語ではなく自分を詠め、と。

そうなのかあ、と思って。それは確かに、そうなのでしょうね。

でも、とは言うものの、僕はちょっと「うーん」とも思っているのです。

というのは、岡井さんがそう言うのは、やっぱり岡井さんがそもそもアララギの人だからでしょう。

で、これはちょっとうろ覚えなんですが、こんなことも仰っていました。短歌は作者の気持ちを詠うものであり、短歌を読むことは、その作者の気持ちに共感することだ、と。

マジすか、と思って。なんだろう、それが正しいかどうかはまた別問題として、もしそうなのだとしたら、僕はそもそも属性として詰んでるなあ、と。だって僕は、前も言ったようにただのおっさんですからね。

これを読んでいるあなたは、ここ最近で誰かおっさんの言うことに共感しましたか? してないんじゃないですか?

おっさんじゃない若い男女や相応の年齢の女性にとって、おっさんなんて一番共感しづらい生物なんじゃないですか?

だって、おっさんなんて、臭くて汚くてエロくて偉そうですしね。まあ、実際僕もそうだし。そんなおっさんのどこを共感するのか。おっさんですらおっさんには共感しないよ。

それでも、たとえば僕がサブカル好きだったりしたら、同世代のおっさんもたくさんいるのかもしれないですね。でも僕は、そんなに好きでもないんですよね、困ったことに。あるいは父属性やサラリーマン属性があれば、仲間を見つけられたのかもしれない。どっちでもないけど。

ていうか、実際のところ、世の中どれくらいの人が共感するために詩や短歌を読むんですかね。それが言い過ぎだとするならば、どれくらい共感できるものが好きなんだろう。

まあ、SNSとかは共感の文化だとも言いますしね。だから嫌になるんだけど。

僕は、詩や歌を読んでも別に共感はしないし、共感したとしても、そのことと好きか嫌いかとか、いいと思うか思わないかは、別なんですけどね。世の中そうではないんだなあって。

別に、岡井さんが間違ってるというのではないんです。ただ、彼の考えが正しければ正しいほど、僕は詰むことになるな、という話です。ああ、ほんと、僕には語るべき自分も、語るべき相手もいないなあ、と思うだけです。

ま、いいんですけどね。ずっと前から薄々感じてたことなんで。でもなんか、この本を読んでトドメをさされた気がしました。世の中に変な期待を持たなくなる、という意味ではよかったのかもしれません。

別に、自分の喜びのために創作してれば、それでも何の問題もないのですけどね。そして僕はそのつもりだから、誰が何と言おうとどうでもいいのですが。

なんて、ごめんなさいね。おっさんの愚痴もまた、誰にも共感されないし、誰にも求められていないコンテンツですよね。

ということで、また明日。

おやすみなさい。

よろしければサポートお願いします!頂いたサポートは今後の創作活動のために使わせていただきます!