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ソネット五首

ソネットが好きなんです。ソネットとは、14行の詩。詳しくは知らないのですが、細かいルールがあるのだそうです。元々はイタリアで始まった詩型ですが、ワーズワースも、ボードレールも、リルケも、皆ソネットを詠んでいます。

日本だと、立原道造が有名ですね。他にも、中原中也や石川啄木も詠んでいます。あと、谷川俊太郎も。

で、そういったおすすめのソネットを紹介するのもいいのですが、それはまた別の機会にして、今日は僕のつくったものをここに残しておきます。

ごめんなさいね。

それでは、どうぞ。

ラララ
窓から差し込む白い朝日に
背中を押されてる気がした
遠くに見える秋の空気は
トランクケースに詰め込んだまま

まだ寝ぼけ眼のビルディング
落ち葉だって眠ってるのに
異国の君からメッセージ
「おやすみ」と僕は返した

君と僕との間の距離を
アコーディオンの蛇腹みたいに
縮められたらいいのにな

出かけるよ、と僕が言ったら
空に大きなラララが響く
その音に乗って会いに行くのに

おとぎ話
俺たちは海の向こうを目指した
そこには幸福があると聞いたから
俺たちはそれを信じた
ただのおとぎ話だと笑いながら

帰る場所のない船を月が照らした
あの光は哀しみの色だと言う輩
誰もが聞いてないふりをした
ただのおとぎ話だと笑いながら

坊主、お前もいつかここを旅立ち
自分の居場所を探すだろう
ここにはないものを探すだろう

そして坊主、お前も誰かにしてやるだろう
お前が旅して見つけた物語を
ただのおとぎ話だと笑いながら

くだらない詩
賢い人は‬
‪詩なんて読まないだろう‬
‪強い人は‬
‪旅になんて出ないだろう‬

‪今でも諳んじることができる‬
‪あの言葉は
‪今でも目を閉じたら浮かび上がる‬
‪あの景色は

‪愚かな敗者のため‬のもの
変わることを怯える弱者のためのもの
‪たとえそうなのだとしても

くだらない詩ばかり書いているのは
心が遠くに行きたがっているから
そこに光はまだ見えずとも

クローディア
家出とおでかけは違うのよ
昔読んだ本にそう書いてあった
家出はおでかけと違って
理由がなくちゃだめなのよって

家出と旅は何が違うんだろう
おでかけと旅は何が違うんだろう
どこかに行きたい気持ちだけがある
僕らは自分を持て余してる

旅は愛することに似ているな
ちゃんと確かめることもせず
うっかり足を踏み出したりして

何かを得たり失ったり
理由があったりなかったり
僕らはただ地球の上を回ってる

旅路の果て
帰る場所があるのは幸せだ
暖炉のそばでシチューなんて食べながら
今日もよく頑張ったね、ありがとうなんて
言ってくれる人がいたら最高だ

こうなることは分かってたんだ
何も期待なんかしちゃいなかった
帰る当てのない旅路の果てに
誰かが待ってるはずなどないさ

自業自得だ、と言う誰か
己の小ささを思い知れ、と笑う誰か
仕方ねえよな、と背中で笑う

帰る場所があるのは幸せだ
なのに野垂れ死ぬまで歩いてんだ
ほら、犬まで俺に吠えやがるさ

お粗末さまでした。

また明日。

おやすみなさい。

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