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アイドル彼女は素っ気なくて甘くて まとめ

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長編「アイドル彼女は素っ気なくて甘くて」のまとめです。
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アイドル彼女は素っ気なくて甘くて プロローグ

現在、 都内の数多くの学校から発足された、 中高生中心のアイドルグループが 全国的に流行している。 高校1年の俺が通う中高一貫校 "私立乃木坂学園"でも、 芸能科からアイドルグループ "乃木坂46" が結成され、 大人気を博している。 ある日、 そんなものにあまり興味がなく 地味で影の薄い俺にとって、 人生1番の「事件」が発生した。 ーーーーーー ??:あ、いらっしゃ〜い、◯◯くん。 ◯◯:あの…芸能科の"白石先生"が、特進科の僕に何の用ですか

アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第1話

7月のある日。 いつも通りの時間、 朝礼ギリギリに 特進科1年の教室に着いた。 俺の通う "私立乃木坂学園高等部"は 都内にある中高一貫校。 ここの学生は 主に2つに分類される。 1つ目は中等部から、 いわゆるエスカレーターで進学した 大多数派の"内部生"。 2つ目は他の中学校から、 受験をして進学してきた 少数派の"外部生"。 …俺は数少ない"外部生"にあたる。 内部生も一応"進学テスト" みたいなものがあるらしいが、 高校受験とは比じゃ

アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第2話

そして放課後、 俺は "芸能科会議室"のドアの前にいた。 一度深呼吸をし ドアをノックすると、 ??:はいどうぞ〜っ 俺の心模様とは真反対の、 陽気で軽いノリの 返事が返ってくる。 ◯◯:失礼します。 ??:あ、いらっしゃ〜い、"松尾◯◯"くん。 ドアを開けて入室すると、 そこには長机の上に腰掛ける 綺麗な女性がいた。 ◯◯: あの…芸能科の"白石先生"が特進科の僕に何の用ですか? この女性は、 "白石麻衣"先生。 高等部の国語の教師で、

アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第3話

火曜日の放課後、 …つまり私に 「彼氏」ができる日の2日前。 "乃木坂46"のメンバーは、 芸能科会議室に集合していた。 麻衣:次のシングルのセンターは、蓮加ちゃんに決めました〜。 蓮加:えっ!?…わ、私? 麻衣:そ、あなた。"美月"、どう思う? 美月:賛成です。「新時代の乃木坂」を前面に押し出すなら、今の"蓮加"はセンターに適してる。 そう話すのは、 高等部芸能科2年生の "山下美月"さん。 大人の雰囲気を醸す 超美形と仕草で、 モデル活動やTV

アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第4話

金曜日の夜、 俺は白石先生から渡された 住所に来ていた。 ◯◯:マジかよ… 住所を見た時から 嫌な予感はしていたが… まさかこんな一等地にある 高級マンションだとは。 とはいえ、乃木坂学園からは そこまで遠くはなく、 通いやすいっちゃ通いやすい。 ーーーーーー 先生のメモに書いてある パスコードでオートロックを解除し、 アホみたいに綺麗な エントランスに入る。 … すると… 麻衣:あ、来た来た、やっほ〜。 ◯◯:先生、ここ何なんですか…

アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第5話

部屋に戻った俺。 リビングに岩本さんの姿はない。 ◯◯:あの~、岩本さん? 家の中をウロチョロしてると、 ある部屋のドアの前で スマホを操作する岩本さんがいた。 ◯◯:岩本さん、どうしたんですか? 蓮加:それが… 部屋の中を覗いてみると… そこにはキングサイズくらいの "ベッド"が配置されていた。 … … ◯◯:は…!? これじゃ、世に聞く いかがわしい場所じゃねぇか!! まさか…ここで2人で寝ろと? ◯◯:他に、寝室はありましたか? 蓮加

アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第6話

土曜日の朝、 俺が起きる頃には岩本さんは もう出かけていたようで、 だだっ広い家に俺1人。 昨日決めた家の部屋を どう使うかに則り、 "俺の部屋"になった場所に 自分の荷物を置いた。 部屋といっても ご存知の通りベッドはなく、 各自の物置みたいな扱い。 隣の部屋は "岩本さんの部屋"なのだが、 かなり怖い顔で 「入るな」と言われている。 とりあえず家全体の掃除とか 家具の移動をしていたら、 すぐに日が暮れてしまい さっさと風呂に入って寝た。

アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第7話

放課後、 俺はまたまた会議室にいた。 ◯◯:白石先生、話って何ですか? 麻衣:あなたが囲ってる、あの可愛い女の子、何だっけ? ◯◯:囲ってるって…"賀喜遥香"です。 麻衣:あの子、「乃木坂」に入れたいんだけど。 ◯◯:…え!? 麻衣:可愛いし、スタイル良いし、最強じゃない? ◯◯:顔ってやっぱ大事ですか? 麻衣:大事に決まってるじゃない。どれだけ性格良くたって、可愛くなけりゃファンなんて寄ってこないわよ。そんなに甘くないの。 ◯◯:先生が言うと、含蓄ありま

アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第8話

翌日、 水曜日の放課後。 遥香は会議室のドアの前にいた。 麻衣:遥香ちゃん、どうぞー。 遥香:失礼します… 遥香がドアを開けると、 そこには"乃木坂46"の メンバー達がいた。 麻衣:紹介するね、こちらが新メンバー"賀喜遥香"ちゃん。 遥香:高等部特進科1年の、賀喜遥香です。これから成長できるように頑張ります。 遥香が頭を深く下げると、 メンバーから温かい拍手が 聞こえてきた。 すると… 史緒里:か、かか…可愛いっ!! さくら:ちょっ、史緒里さん

アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第9話

2人で向かいあって リビングのテーブルを囲み、 朝ごはんを食べ始めた。 食べ始めてから少し経つと… 蓮加:やっぱ美味しい。 何それ… 嬉しっ ◯◯:ありがとうございます。そう言ってもらえると、作り甲斐があります。 蓮加:家事任せっきりで、ごめんなさい。家もどんどん綺麗になっていくし… ◯◯:いえいえ、岩本さんが忙しい分、僕がやらないと釣り合わないですよ。 … … 蓮加:あのさ、 ◯◯:はい、 蓮加:私、仕事で帰る時間とか変わっちゃうし、迷惑かけたく

アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第10話

昼休みの屋上、 俺は心に引っかかり続ける "ある事"について聞くために、 暁翔を呼び出した。 暁翔:お〜う、来たぞ〜。 ◯◯:悪いな、急に呼んで。 暁翔:何だ何だ、惚気話でも聞かせるつもりか?…もしくは俺に"愛の告白"か? ◯◯:そうじゃなくて、 暁翔:深刻な顔して、どうしたんだよ。 ◯◯:そんな大した話じゃないんだけどさ、"写真"のことで聞きたいことがある。 暁翔:"写真"? … … ◯◯:"乃木坂"のメンバーって、学校内で写真撮ってもOKなのか?

アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第11話

夜、 俺と岩本さんは、 2人揃って晩ご飯を食べた。 岩本さんはいつも通り、 俺のご飯を美味しそうに 食べてくれる。 蓮加:ごちそうさまでした。 ◯◯:ごちそうさまでした。 蓮加:今日も美味しかったよ、ありがとう。 ◯◯:とんでもない。僕も岩本さんが喜んで食べてくれるから、嬉しいよ。 蓮加:じゃあ私、課題やってくるね。 岩本さんが席を立とうとした時、 … … 俺は声を振り絞って 体を引き留めた。 ◯◯:…岩本さん。 蓮加:ん、何? ◯◯:その

アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第12話

いじめが続くある日、 体育の授業のために 階段を降りていると、 後ろの方から大きな音がした。 俺が慌てて後ろを振り返ると、 踊り場に遥香が横たわっていた。 ◯◯:え…!?賀喜さん!大丈夫!? 俺は階段を昇り 遥香に駆け寄った。 遥香:痛ったぁ… 階段の上を見ると、 1軍女子達の姿があった。 遥香を後ろから 突き落としたのだろうか。 俺の姿を見るや否や、 女子達はどこかへ消えてしまった。 … … ◯◯:賀喜さん、本当に大丈夫? 遥香:怖かっ

アイドル彼女は素っ気なくて甘くて 第13話

その後、 俺と遥香がいじめ相手を 申告しなかったこと、 両親も処罰の実施に 合意しなかったこともあり、 いじめの事実はなかったことに。 俺と遥香は、 "不登校"になった。 教師達も今後、 不登校での卒業を認めてくれた。 … … それから俺達は、 お互いの家に行き来し 一緒に受験勉強しあうようになり、 今までよりも "親密"な関係になった。 ◯◯:遥香、受験する高校なんだけどさ、 遥香:うん、 ◯◯:一緒に"乃木坂学園"を受験しないか?