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アプリを通じて1店舗でも全国のファンから愛されるセレクトショップの作り方

A+S (Architecture and Sneakers)は、ヒップホップカルチャーを根幹に持ちさまざまな建築要素を “サンプリング“ した内装でスニーカーのプレゼンテーションを行なっている。スニーカーがアートピースのように並び、既存のスニーカーショップには無い、ゆったりと居心が良く、まるで 『ハイエンドなスニーカーマニアがくつろぐプレミアムなリビング』のような空間だ。
誕生して7年経つ今も店舗はここに1つだけ。それでもオンラインとオフラインを巧みに融合させ、全国のファンから大きな支持を集めている。その背景について、A+Sの石川さんと、EC運用・業務改善を担当する海野さん、遠藤さんに話を聞いた—。

始まりはインラインの商品をしっかりとプレゼンテーションできる場所を作りたい


—A+Sは、どのようにしてスタートしたのですか。

ちょうどスタートする頃にスニーカーをファッションで取り入れるカルチャーがジェンダーレスに浸透しはじめていました。それまでスニーカーといえばマニアの方達が熱狂するようなハイプなスニーカーに視線が集まりがちでインラインは拘りがありファションアイテムとして価値があるのに、フォーカスされていない状況でした。そこに着目して確りとプレゼンテーションできる場所を作りたいと言うのが始まりです。
初めてスニーカーを買おうとして、店舗に足を運んでも、豊富なバリエーションの中から何を選んでいいのか分からない、店舗スタッフに自分の好みを確りと伝える事ができる場所がないなど、皆さんもご経験があると思います。あえてラグジュアリーな空間にする事で、くつろぎながら自分に合う一足を選ぶ楽しさをご提供したいと思い内装に拘っています。
今ではラグジュアリーブランドも賛同してくださり、他のスニーカーショップにはない魅力をプレゼンテーションできるまでになりました。

—確かに、どこか美術館のような雰囲気もありますよね。

そう感じていただけると嬉しいです。スニーカーの発売は毎週ありますが、できるだけいつご来店いただいても、飽きずに楽しんでいただけるように編集しています。

A+Sが届けたいお客様をチーム全体で想像して編集する

—店舗はこちらに1つだけですが、ここまで大きな影響力があるのはどうしてなのでしょうか。

正直、大きな影響力があるのかはお客様がご判断されるところなので実感が湧かないです。
いつも気をつけているのはA+Sが届けたいお客様をチーム全体で想像して編集しています。チーム全員で実際に履いてみて初めて気づく機能性やスタイリングの組みやすさ、復刻物であればその時の時代背景など、型式的な商品説明だけでなくリアルな目線をお伝えする努力をしています。その取り組みに共感いただけるお客様が少しずつ増えてきているのだと思います。

—実際に店舗で接客をするときに大切にしていることはありますか。

お客様とのライブを楽しむように心がけています。スニーカーというフィルターを通して、少し前までは他人だった人が繋がる、素晴らしい体験だと思います。
時には 『このスニーカーがどうしても欲しかった!』 と、サイズが合わない商品のご購入を希望されるケースもありますが、『本当にご自身に合う一足を見つけてほしい。』 だからこそサイズが合わないときなどは、はっきりとご遠慮した方がと伝えるようにしています。

石川さん

ECで大切なのはユーザーの熱量を冷まさないこと

—ECはどのタイミングで開始したのですか?

店舗がオープンした翌年なので2016年です。公式Instagramもそのタイミングで運用を始めました。オープン当初はチームの知見もなく、手探りで運営していたこともありユーザー様へいろいろなご迷惑をお掛けしていました。今では運用体制も確りと整い何度かオンラインでご購入いただいたお客様が店舗に足を運んでくださるまでに成長しています。

—オンラインでの売り上げを伸ばすために大切にされていることはありますか。

ずっと大事にしてきているのは、お客様が喜んでいただける事は何かを徹底的に追及していく事です。商品ビジュアル、商品の公開時間、販売方法など丁寧な仕事を心がけています。特に拘っているのはできるだけご注文から当日出荷している事や問い合わせに対して定形文でご返答するのではなくお客様のお気持ちを汲み取り、画面越しでも対応している人物の顔が想像できるようにお応えしています。

遠藤さん

アプリを通じて全国のファンと強固な関係をつくる

—オンラインストアからアプリを増やそうと思ったきっかけは何だったのですか。

一つはお客様と繋がる場所を増やしたかった為です。アプリにすることでプッシュ通知はお客様に最新の情報をクイックにお伝えできるメリットを感じたからです。
それに加えて、オンラインとオフラインを融合させて、ロイヤルカスタマーをつくっていきたいという思いがありました。店舗だけでなく全国にどのぐらいのファンがいらっしゃって我々チームが目指さなくてはいけない明確なビジョンを再構築したい思いもありました。

—その流れで、Appifyのロイヤリティープログラム(VIP)をご利用いただいているのですね。

お陰様で少しずつオンライン上にA+Sのファンが広がってきています。今後はオン、オフラインのファンへA+Sから新たなサービスを提供してコミュニティー作りを強化していきたいと考えています。今、ファンとご一緒にできるイベントなど企画しているところです。その中でVIPのポイントシステムに出会いました。
私たちが店舗で一見様だと思っていたお客様は、実はオンラインストアでお買い物を楽しんでいただいているヘビーユーザーの方だったりすることもあると思います。その方は店舗への期待値が高いと思います。ただ、実際は可視化できるツールもなくて、スルーしてしまっていた。なんて想像した時に非常に申し訳ないと思いました。アプリを取り入れることで、可視化ができ、今まで以上にお客様との強固な関係性を築ける可能性が広がりました。

—実際にアプリをつくる作業はいかがでしたか。

(もともとShopifyでオンライン販売をしていたので、)アプリで販売を始められるようにする作業自体は、ノーコードでしたので、思っていたよりも数時間でできてしまいました。これはいい意味でショックでしたし感動しました。
アプリも店頭と同じように、キュレーションされた鮮度の高い商品をお客様へどんどん届けたかったので、工数を割かずにアプリの編集ができるのはすごくありがたいです。

海野さん

—アプリをリリースして、お客様からはどんな反応がありましたか。

反響は大きいです。ご来店いただき「これありますか?」とアプリページをご掲示される方が増えています。
1年目は店頭だけで抽選をしていたので、なかなか地方の方にご参加いただけず心苦しかったのですが、アプリで簡単にご参加いただけるようになり、そこに期待してくださっている方が増えていると感じています。
私たちにとって、やはり 「お客様を知り、お客様の利益を追求する」 事がすごく大切だと思っています。だからこそオンラインとオフラインを繋げてお客様と関係性を強固なものにしてA+S独自のコミュニティを実現していきたいと思います。

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