見出し画像

Thrillme大阪公演10月7日16時開演 松岡広大私×山崎大輝彼

※私が犯罪や殺人を否定しているという大前提の上での感想です。


相変わらず、本当に衝撃的な作品です。
そして今回私は、今までのスリルミー史上一番近い席での観劇だったので、また捉え方が変わるかもしれません。
それでも変わらない思いは1つ。
彼らの行く末を、私の人生をかけて見届けていきたいということです。
未来への希望が見えるのか、人生が暗く絶望の淵が見えるのか。
演じられるペアによって、全然違う2人の未来。
それを見届けていくことが、私の1つの観劇ヲタクとしての使命に感じます。

まず、山下彼。
今まで観た中で、一番少年の心があった気がします。
若気の至りというか、破天荒さとか、未熟な感じであったりとか。
正直、新納さんやカッキーの方が、技術的には上手いんだと思います。
でも山下彼には新納さんやカッキーにはない、若々しさ・未熟さ・思考回路の幼稚さ・後先顧みない破天荒さがあり、史実に一番近く感じる彼でした。
現実に起こった事件では、彼も私もまだ学生だったこともあり、この若さはとても良い武器だったと本当に思います。
強くありたいがために過剰に強がってしまう自分・他人よりも上でありたいと思ってしまう幼稚な自分・強がって人を攻撃してしまう本当は弱い自分・そんな未熟な自分を認めたくないがために人としての道を簡単に踏み外す自分。
それがよく見えて、史実に近いであろう彼が垣間見えました。
これは今までの彼を演じた方々には無かった新たな一面でした。
とても興味深く、今までにないスリルミーを見せていただきました。
だから、私に「おまえがいなきゃダメなんだ」と言う時とか、わざと言ってやったぞフフンみたいな雰囲気が、本当にゾワワってしました。
駆け引きを分からないようにやるのではなく、若さ故の分かるように仕掛けていく感じが好みです。

松岡私。
万里生くんやソンハさんみたいに対立するのでもなく、良知さんや洸平くんみたいに菩薩感があるわけでもなく。
終始不思議なオーラを纏った私でした。
彼の前でだけ可愛い子犬を演じ、彼の目に入らない時は客席に向かって射貫くような視線を送ったり。
それは企んでる感じはなく、例えて言うなら、二重人格のような怖さがありました。
松岡私は今までにない、ハイブリッド感のある私を作られていたのだなと思いました。
スリルミーにおいて、彼はサイコ派か犬派の2派に分かれることが多い(山下彼は犬派)ですが、私の作り方は無限大なんじゃないかと思っています。
ソンハさんのように彼を手に入れたくてゲームしちゃったり、良知さんみたいに全部菩薩みたいに包み込んじゃって全てを許してしまったり。
しかし今回の松岡私は、彼の前では子犬感万歳でビクビクしている所も多いですが、彼のいない場面では時折、射貫くようなサイコ感たっぷりの目線で体が冷たく感じる程でした。
そして流し目が色っぽいです。
幼さのある容姿から繰り出される目線を外した時の大人びた雰囲気は、ハッとさせるものがありました。
ある意味、彼はこの視線から抜け出せなかったんじゃないかと思わせるものがありました。

このペアは幼い彼が可愛くて可愛くて仕方ない私が、彼と同じ目線で手玉に取っている大人私の構図に見えました。
私がこのストーリーを知っているから、最初からそう見えていただけの気もしますが。
多分初見の方は、私の暗い視線は「悪事に手を染める自分と彼を憂いている」という風にも見えます。
しかし私にはあの鋭い視線は、彼をどうやったら手に入れることが出来るか考えている時間のようにも見えました。
松岡私のすごい所は、彼が喜ぶであろう言葉を選んでわざと発しているのを、しっかり見せていることだと思います。
山下彼は一貫してエラそう(偉く見せたい)という感じが見えるのに対して、松岡彼は場面場面で少しずつ人格が変わるような感覚にもなりました。
冒頭で彼がタバコを吸うシーンで、マッチを要求されると分かっているから、言われる前から差し出している。
一方で「イヤだ」など、パンって声を出して否定をする時は駄々をこねるように大声で拒絶する。
でもそれは本当の拒絶ではなく、拒絶する方が幼い彼と対等に見えるからだと分かっているから。
そういう細かい部分がとてもチグハグに見えて、結局はスリルミーの不気味さに繋がるのだと思いました。
だから最後の護送車のシーンで、彼が仕組まれていたと気づいた時の松岡私の「まだ気づかないの?」感の圧巻の雰囲気。
世間知らずの幼い子供のような彼と毒親のような蛇感のある私の絡めとる雰囲気が、本当にゾワゾワしました。
「僕がいないとダメだな、彼は」感のある私が本当に新しく感じました。
菩薩のように見守るのではなく、毒親のような執着が見えたのが、今回のスリルミーでした。
このペアは、彼はきっと私に勝てないと分かった途端に、私を怯えて遠ざけてしまいそうな雰囲気がありましたね。
彼は結局監獄の中で殺されますが、私がいるのに他になんで手を出す必要が?と今まで思っていたので、この彼であれば他の人に手を出して殺されるのも理解できる気がします。
私を遠ざけた結果、他の人に殺された。
これはこれは1つの結論なのかなと思います。
そして私はきっと死ぬまで彼の幻想に「僕がいなくて大丈夫なの?」感を出して生きていきそう。
松岡私はこれからも生きていきますが、人生の節々で「彼であればこうするだろうな」というのを思い描きながら、彼の面影を背負って生きていきそうです。
未来を生きるというよりも、過去の彼と、過去と今を行ったり来たりしながら生きていきそうな気がします。
若さに溢れたまた新たなペアが生まれて、私はスリルミーの沼から抜け出せません。

#スリルミー #山下大輝 #松岡広大 #大阪公演 #thrillme #感想 #観劇レポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?