※私が犯罪や殺人を否定しているという大前提の上での感想です。

めっちゃ大人なペアになるのかと思いきや、そこまででも無かった。
でもこれは悪い意味じゃなくて、見た目がめっちゃ大人なのに、時折見える少年性に一番ゾクッとしました。
こちらのペアは二階席からの観劇だったので、細かい表情などは見えませんでした。
空気感だけで感じ取った感想だと思ってください。
例のごとく、スリルミーの作品中に起こった事件に関しては、許されるべきではないという前提で感想を書きます。

まずは松也私。
これは私だけかもしれませんが、松也さん演じる私が、二重人格に見えたんですよ。
主人格は優しくて寄り添う心が強い臆病な青年。
そしてもう1人は、いたずら好きで好奇心旺盛、そしてとにかく彼という玩具が欲しい少年。
この2人が行ったり来たりしているように見えました。
まずは冒頭から真ん中辺りまでは主人格が行動していて、だから彼の計画を聞いたときは全力でイヤだ！って突っぱねたし、怖いとか言っていた。
でも途中で眼鏡がないって慌てふためくじゃないですか。
その私の行動が、本当に自分で眼鏡を落としたようには見えなくて。
本当に心の底から無くした場所が分からなくて、見つかったら怖くて。
そんな風に見えていて（？）ってなっていたんですよ。
そしてその後脅迫状を書いている時「完璧だ」っていうセリフがあると思うんですが、それが今まで覚えていた松也私と違う人に見えました。
そこでアレ？と思って、もしかしたら、眼鏡を落としたのは、もう一人の自分かもしれないって仮説を立てました。
だから眼鏡を落としたことを知らないし、無くなったことに慌てて取り乱す。
そして徐々に、主人格よりももう一人が出てくる時間が長くなっていったように感じました。
特に取調室から護送車までは、ほぼもう一人の人格が「逃がさないよ」って彼に話しかけているように感じて、そこで鳥肌が立ちました。
そして34年後の審理委員会では、たぶんですけど、2人の人格が合わさっているように感じました。
彼と一緒にいたいけど怖くてたまらなかった私、彼が欲しくて欲しくて世界なんてどうでも良かった私。
どちらの私だったんでしょう。
ソンハさんとはまた違う狂気が見えました。

広瀬彼。
重低音で太い音を持つ広瀬彼を最初予想では、サイコ派に分かれるんじゃないかと思っていたんですが、違いました。
犬派ですよ、コレ。
声質にはサイコっぽさは感じられるんですが、語尾の優しさが、どうしてもサイコではない。
愛して愛して！っていうタイプの犬感ではなく、孤独に打ち震えてる感じの大型犬。
広瀬彼は、きっと1人が嫌いなタイプだと思います。
愛してほしいというんじゃなくて、1人はイヤだな、私なら離れていかないんだろうなって思っていたというか。
だから一緒にいてくれるなら誰でも良かったんだと思うんです。
たまたま隣にいたのが私なだけで。
そして事件の後、本当に1人になるかもと思った時、とうとう私しかいなくなった。
だから私に縋るし、説得するし、自ら触れようとする。
広瀬彼は、結構自分から松也私に触れに行くんですよね。
他の彼はそんなべたべたすることがないので、新鮮に感じました。
あと考察ではないですが、足が長すぎて、タイプライターで脅迫状を打っている時に足が机の下に入らないのが可愛くて仕方なかったです。
上からだとこういうのがしっかり観えて（ほぅ…）ってなってました。

このペアは今までにない、ミステリアスな雰囲気がありましたが、これはひとえに、松也私が二重人格に見えていたからでしょう。
どこかチグハグで、でもたまにピースが嚙み合う瞬間があって、かと思えばまたチグハグになる。
私もスリルミーは10年以上追いかけていますが、こんなに考察したくて考えたペアはいません。
他のペアは割とキャラがするっと入ってきて、そのキャラがどうするのかを見ていましたが、このペアはどちらもキャラが私の中に定着しなくて、ずっと「？？？？？？？」状態でした。
でも途中で松也私が二重人格なのか？と仮定した瞬間からは、パチッと見方が変わりました。
実は彼は超人ではなく、天才でもない、ただの1人の男に見えたんです。
そしてそんな彼が可愛くて可愛くて仕方ない私。
途中から広瀬くんてデカいのに、小さく見えてきたんですよね。
計画が失敗して焦っていく彼を見てあ、彼は本当は小さくて怖がりなんだ）って感じました。
エラそうということでもなく、ただただ小さい。
でもその小ささは、私には可愛らしく見えていたのかもしれません。
松也私の中にいた無邪気の少年は、広瀬彼の小さくて臆病な心の奥底を見つけて、最後は嬉しかったんだろうなって思いました。
そして最後、手に入れられたのか。
そこまで語られることはありませんが、慰め合えていたらいいなと思いました。
まぁ多分慰められてないんでしょうけどね、刑務所で彼殺されてるし…。
一番大人な2人による、淋しさに包まれたスリルミーでした。

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