Economic Theory Bulletinに論文が載りました

https://link.springer.com/article/10.1007/s40505-022-00219-1

なんかDOIで検索するとバグるんだけどなんぞこれ。

まあいいや。そのうち解消されるだろう。というわけでぺたり。またオープンアクセスです。

内容としては、ベイジアンゲームにおける混合戦略の純粋化です。この文脈はRadner and Rosenthal (1982)とかMilgrom and Weber (1985)とかが古くからあるんだけど、シグナルとして個人のタイプ空間を念頭に置いているのか、独立じゃないといい結果が出ない。その上、クールノーゲームみたいに非可算無限個の行動集合を持っているゲームの場合、シグナルが独立でもうまくいかない例がある(Khan and Zhang (2014))。一応、saturationという条件をシグナルの空間が満たしているとうまく行くっていう定理もあるんだけど、saturationがめちゃくちゃ強い条件すぎてちょっと妥当そうに見えないという問題があった。

で、この論文は、もう完全な純粋化は諦めて近似で我慢しようよ、という論文です。近似で我慢すれば独立性もsaturationもなしできれいな結果が出るよ! しかも行動集合は任意のコンパクト距離空間でいいよ! という感じ。コンパクトは、すまん。取れなかった。補題2も、定理1のステップ1もコンパクト性に依存してるので、僕たちには無理。

で、共著者の虞くんが見つけてくれたBalder (1988)の結果と組み合わせると、純戦略による近似ナッシュ均衡の存在が示せます。というところまで示してこの論文終わり。最近ちょっと思いついて、distributional equivalenceって概念にこれを適用できる気がしてるんだけど、それはまた別の機会に。

そんな感じの論文です。あ、ちなみにこの雑誌はEconomic Theoryの下部組織みたいな感じで、たぶん編集部全部同じ。逆に名前が似てるEconomics Bulletinとはなんの関係もないです。よろしく。

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