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ポンジスキームに代表される詐欺の常套手段

常套手段(じょうとうしゅだん)
→ いつもの決まりきったやり方のこと。

私は常套手段という言葉を聞くと、詐欺というワードを連想した。

もちろん、常套手段にはポジティブな側面もあるのだが、どうしてもネガティブに引っ張られてしまうというのが私の個人的な見解だ。

その理由が、やはり詐欺師の常套手段という一連のワードともいえる言葉の力だと思う。

ということで、詐欺の常套手段について紹介していこう。

ポンジスキームという詐欺の原型

詐欺の原型を特定することは変数も多く難しいのだが、一般的に詐欺の原型と言われているのが、ポンジスキームだ。

ポンジスキームは金融詐欺の一種で、新規投資者からの資金を使って初期の投資者にリターンを支払う仕組みを指す。

この名前は、1920年代にアメリカでこのスキームを用いたチャールズ・ポンジに由来している。

ポンジスキームの手口は、まず運営者は投資家に非常に高いリターンを約束する。

これは通常、合法的な投資の機会では得られないほどの高いリターンなのだが、それを約束するわけだ。

初期の投資者が実際にそのリターンを受け取ると、評判が拡がり、さらに多くの投資家がスキームに参加するという座組だ。

ところが、このシステムは永久に継続可能なわけではない。

新たな投資者が加わらなくなったり、多くの投資家が同時に自分の投資を回収しようとすると、ポンジスキームは崩壊する。

結果として、最終的には多くの投資家が大損失を被ることが決まっているのである。

被害総額はそのスキームの規模によるが、最も有名な事例は、バーナード・マドフが行ったポンジスキームだ。

バーナード・マドフは投資家に対し、異常に高い利益を約束し、新たに集めた投資金で古い投資家への配当を支払っていた。

けれども、2008年に起きた金融危機時に多くの投資家が一斉に投資を引き揚げようとしたことで、スキームは崩壊し、バーナード・マドフ詐欺が明らかになった。

この詐欺でバーナード・マドフは、約650億ドルもの金を投資家から詐取していたことが明確になった。

そんな事件が合ったにも関わらず、100年以上前からあるポンジスキームが現代でも使われ続ける理由は、高いリターンの約束が人々を惹きつけることだろう。

そして、新しい投資家が増え続ける限りは一時的には機能するのがポンジスキームの恐ろしいところだ。

また、技術の進歩とともに、オンラインや仮想通貨といった新たな手段を用いたポンジスキームも登場している。

明確に宣言しておくが、ポンジスキームは違法であり、また最終的には必ず崩壊する。

そんなポンジスキーム投資の申し出には十分注意する必要がある。

ポンジスキーム以外の詐欺の手口

ということで、詐欺の原型であるポンジスキームを筆頭に世界中で横行している詐欺の手口を一挙に公開していこう。

ナイジェリアン419詐欺

ナイジェリアン419詐欺は、別名アドバンスフィーフラウドとも呼ばれる。

この詐欺は、詐欺師が大金の贈与や投資の機会を約束し、その取引を完了するためには手数料が必要だと主張するというものだ。

詐欺師は、その手数料を支払うと巨額の金を得られると約束するけれども、実際はそれは嘘であり、手数料を支払った被害者は約束され贈与や投資リターンを受け取ることはない。

この詐欺が419とも呼ばれるのは、ナイジェリアの刑法第419条(詐欺に関する法律)に由来している。

元々はナイジェリアから始まった詐欺行為なのだが、現在では全世界で同様の詐欺事件が報告されている。

通常、この詐欺は電子メールで行われ、詐欺師はしばしば政治的な危機、遺産、あるいは金鉱などの話を引き合いに出す。

詐欺師は、これらの資産にアクセスするためにはある種の前払いが必要だと主張してくる。

そして、税金、賄賂、法的費用、取引費用などが含まれることがあるというのも、まさに常套手段だ。

詐欺師は、この金を前払いすることによって巨額のリターンを得られると説明する。

ところが、この前払いをした被害者が贈与や投資に対するリターンを受け取ることはない。

そして、初回の手数料が支払われると、詐欺師はさらに多くの料金を要求し続けてくる。

このやり取りは、被害者がこれ以上支払うことができなくなるか、詐欺が明らかになるまで続くというわけだ。

また、このナイジェリアン419詐欺は数多くのバリエーションがあり、年々その方法は巧妙化しているのも特徴だ。

インターネットの普及により、詐欺師は全世界の何百万人もの人々に対して短時間で詐欺メールやDMを送ることが可能となった。

様々なSNSで簡単にアクセスできるようになった現代では、自分が受け取るメールやDMの信頼性について常に注意深くなるべきだ。

先物取引詐欺

これは詐欺師が低リスクで高リターンを約束する投資機会を提供するが、実際には詐欺師が投資資金を不正に取り込むものだ。

2000年に発覚したアメリカのRefco事件はその一例で、多くの投資家が大きな損失を被った。

フィッシング詐欺

詐欺師が銀行や他の金融機関を装って電子メールを送り、受信者に銀行のログイン情報やクレジットカード番号といった個人情報を提供するよう誘導する。

フィッシング詐欺は世界中で発生しており、インドやアメリカ、イギリスなど多くの国で問題となっている。

偽の慈善団体詐欺

詐欺師は災害やパンデミックなど、人々が援助を必要とする時期に偽の慈善団体を立ち上げ、寄付金を詐取するという人の善意すら商売道具に使う。

例えば、2010年のハイチ地震後、偽の慈善団体による詐欺が報告されている。

身元盗用(ID Theft)

詐欺師は個人情報を盗んで、その人物の身元を騙り、クレジットカードを開設したり、ローンを組むことがある。

2017年には、アメリカのクレジット調査会社エクイファックスが大規模なデータ漏洩事件を起こし、約1億4,700万人の個人情報が盗まれる事態となった。

エスコート・ロマンス詐欺

主に東アジアで頻繁に見られるこの詐欺では、詐欺師は男性に対して恋愛感情を装い、徐々に豪華な贈り物や金銭的援助を要求するという手口だ。

宝くじ詐欺

詐欺師は電子メールや手紙で犠牲者に連絡し、彼らが宝くじに当選したと伝える。

ところが、賞金を受け取るためには先に税金や手数料を支払う必要があると連絡してくるのである。

当然だが、これは全て詐欺であり、宝くじは存在せず、先に支払ったお金も回収することはできない。

投資セミナー詐欺

詐欺師は高い投資リターンを約束するセミナーを主催する。

参加者は高額のセミナー費用を支払うが、約束されたリターンは存在せず、詐欺師はセミナー費用を詐取するというスキームだ。

オーストラリアでは近年このようなケースが頻繁に報告されている。

疑似科学商品詐欺

詐欺師は存在しない科学的根拠を引き合いに出して、健康に関する奇跡的な結果を約束する商品を販売する。

これらの商品は通常、高価であり、その効果は全く確認されていない。

とりわけダイエット商品や健康サプリメントの業界で一般的な詐欺手法となっている。

仮想通貨詐欺

詐欺師は高いリターンを約束する仮想通貨の投資機会を提供するが、実際にはその投資の機会は存在しないか、あるいは詐欺師が投資資金を不正に取り込むものというパターンだ。

例えば、BitConnectという仮想通貨スキームでは、多くの投資家が大きな損失を被っている。

旅行またはバケーション詐欺

詐欺師はリゾートの滞在やクルーズ船の旅行を驚くほど安い価格で提供する。

ところが、予約を確定させるためには先払いが必要だとされ、一度支払うと詐欺師は連絡が取れなくなるというものだ。

旅行や宿泊施設は実在せず、被害者はお金を失うことになる。

移民詐欺

詐欺師はビザ、市民権、パスポート等の移民文書の取得を約束するが、そのためには事前に手数料を支払う必要があると連絡してくる。

一度支払われると、詐欺師は姿を消し支払ったお金が戻ってくることはない。

偽装結婚詐欺

これはビザを得るため、または移住の機会を得るために偽の結婚をする詐欺だ。

詐欺師は通常、一定の金銭的報酬を提供するが、結婚の後すぐに消える。

この種の詐欺は、特に移民法が厳しい国で一般的なものとなっている。

フォームジャッキング

これは詐欺師がウェブサイトのチェックアウトフォームをハックして、クレジットカード情報などの重要な情報を盗む詐欺だ。

2018年には、詐欺師が多数の企業のウェブサイトをハックして、何十万人もの顧客情報を盗んだ事件が起きている。

マルウェア詐欺

詐欺師がユーザーにマルウェアをダウンロードさせることで、パスワードや銀行情報などの重要な情報を盗む詐欺だ。

これらのマルウェアは通常、偽のメールリンクや危険なWebサイトによって配布される。

疑似リモートテクニカルサポート

詐欺師は電話やインターネットを通じて被害者に接触し、そのコンピュータに問題があると告げ、修理費用を詐取するか、リモートアクセスを求める。

ここで、詐欺師は重要な個人情報を盗むことができるというわけだ。

まとめ

様々な詐欺の手口を紹介していったが、現代で起きている詐欺の手口はインターネットの普及が大きく影響しているものが多い。

テクノロジーは人々の生活を便利にする一方で、こうして悪用する一定数の人たちが登場することも否定できない。

2023年にChatGPTが一気にAIという新たなテクノロジーを身近にさせた。

AIで音声を作ってそれを使った詐欺がすでに行われているなど、AIがさらに詐欺の手口を加速して拡げていくことは現実に起きるだろう。

そういった詐欺から身を守るためにも、新しいテクノロジーや技術に触れなくとも知っておくということは重要だということは、改めて主張しておきたい。


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植田 振一郎 Twitter

株式会社stakは機能拡張・モジュール型IoTデバイス「stak(すたっく)」の企画開発・販売・運営をしている会社。 そのCEOである植田 振一郎のハッタリと嘘の狭間にある本音を届けます。