なぜ持ち物に名前を書くか?
精神科病院には不思議なルールがいくつかある。
その一つに入院するとありとあらゆる持ち物に名前を書くことを要求されるということがある。
コップ、ノート、服、靴 など、本当にありとあらゆるものに名前を書く。
ちょっとやりすぎでは?
退院したら使えないのでは?
と思ったりするものの、基本的に今まで働いた精神科病院ではそうである。
もちろん理由はある。
自分のものと他人のものの区別がつかない人が病棟内に必ず数人(時に数十人)は存在するため、名前を書いておかないと、あっという間にどれがどの人のものか分からなくなる。
病棟には60人弱の人が入院しており、職員数も他の科に比べて少なく、どれがどの人のものなのか覚えていられない。
かといって自分のものと他人のものの区別がつかない人を他の人と接触しないようにすることもできない。
そういったこともあり、持ち物に名前を書きどれが誰のものか分かるようにしておく。
個人的には、名前だと退院した後に使いづらいため、名前ではなく記号にしておくのが良いと思うものの、記号は本人は嫌がり、職員は分かりづらいと嫌がる事が多い。
カルテ番号は刑務所と変わりなくなってしまう。
結局全ての物に名前を書くことは、病棟内を平和にするために必要な方法である。
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