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生活保護は希望したら終了できるとは限らない

先日 生活保護を受給している人が生活保護をやめたいと思ってもやめさせてくれないという出来事があった。

個人的には生活保護は福祉サービスであり、対象になる人はみんな、堂々と受けたらいいと思っている。

その人の場合は、いろいろな事情で生活保護をやめたほうがよさそうなので(詳細の説明は省略)、私も「やめたらいいよ」と話をしていたので、「だめ」と福祉から言われてちょっとびっくりした。

ネットなどでも、

各種収入が最低生活費を超えていなくても生活保護を辞めたい場合は、生活保護の辞退届を福祉事務所に提出することで、生活保護を辞めることができます。手続きは非常に簡単で、印鑑を持って福祉事務所に行き、その場で辞退届に必要事項を記入し、押印することで、すぐに生活保護を辞めることが可能です。

生活保護総合情報サイト 生活保護を学ぼう

などと書かれてあることが多く、実際 福祉担当者に「やめたい」といって辞めた人もいる。

なぜ? と思って調べてみた。


生活保護は辞退できるのか

以下は、東京都生活保護運用事例集2017を自分なりに要約したものである。

問8-46 生活保護の辞退 p394(要約)

保護の廃止は、①十分な収入が継続する場合、②指導指示に従わず機会を与えても適切な弁明をしない場合、③生活保護の受給要件を満たさなくなった場合に、福祉事務所が職権で行うものである。

本人が辞退を希望しても、保護の受給要件を満たしているときはすぐに保護を廃止することはできない。

直接面接を行い、①本人が保護の受給要件や廃止理由を十分に理解しているか、②保護が継続できることを理解した上で本当に心からやめたいと思っているのか、③保護をやめてもすごく困った状態にならないか、を確認する必要がある。

つまり本来は生活保護を継続することができる状況である限り、本人が希望してもやめることができない制度なのである。

上記運用事例集のなかで「保護の受給要件を満たしている人に福祉事務所から辞退を進めることは許されない」と明示されており、福祉担当者が生活保護受給者を半分だまして生活保護を終了させないためルールという意味合いが強い気はする。

今回のケースは、①②は問題なかったものの、③保護をやめてもすごく困った状態にならないか、がひっかかり不許可になったようであった。

緊急性が高い人は本人が拒否しても生活保護になる

他にもそうなんだと思った部分があるので紹介しておく。

問8-47 急迫した要保護者を発見した場合 P395(要約)

緊急性が高いときには、本人が申請しなくても、本人が拒否しても、保護の要件を満たしていない可能性があっても、生活保護を開始しなくてはならない。

ここまではっきりと明示されているにも関わらず、実際に福祉事務所が動いてくれることはあまりない。

次からこれを根拠にもっと強く保護するよう要求していこうと思う。

ただし最大の問題は東京都以外の県はどのような運用基準なのか?である。

病院より福祉事務所のほうがえらい

問8-42 自己都合による退院ケースの取扱い p391(要約)

入院は福祉事務所の助言及び指導のもと、病院への委託によって行われる。

病院は懇切丁寧に医療を担当しなくてはならない。また都道府県知事の指導に従わなければならない。

本人は福祉事務所の保護の目的達成に必要な指導又は指示に従うことが求められる。

入院治療は、福祉事務所が主体となって判断し病院に委託して行うことらしい。

「懇切丁寧」と言われなくてもしてますが・・・と言いたくなる。

ちなみにこのQ&Aのメインの話は、本人が勝手に退院したからと言って生活保護を終了させたらダメだよということである。

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