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【島根の旅:島根県立美術館編】

※Tumblr掲載の過去記事からの移設です。(旅行:2015年4月)

なにかとマイナーに思われがちな日本海側ですが、日本海側の海=夕日はやっぱり特別です。
日本海でなきゃ見られないというのではないのですが、 晴れてる→今日絶対夕日綺麗だな→海に行こうっていうのは、 太平洋側ではあんまりないんじゃないかな〜と思います。
新潟に住んでいたとき歩いて10分で海だったのでそうなっただけかもしれないけど(笑) 大きな魅力の一つであることはまちがいないかなと!

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島根の綺麗な夕日もとても有名で、日本海だけでなく宍道湖に沈む夕日は絶景です。
前回訪れた時はお天気に恵まれて、真っ赤な夕日が沈んでいくところに立ち会えました。
あの感動が忘れられず、今回も同じ夕日スポットへ足を運びました。
宍道湖の湖畔にある島根県立美術館は、松江駅からも近くい夕日スポットです。
美術館の周りの公園にも様々なオブジェや作品が並んでおり、 散歩していても楽しいし、夕日に映える姿もステキです。
中でも人気なのは「宍道湖うさぎ」! ぴょんぴょんはねていく姿が12羽連なって並んでいるのですが、 前から2番目のうさぎをなでると幸せが訪れるとのうわさで人気だそうです♪♪
…ここにもやっぱりハッピージンクスがある徹底っぷり(笑)。

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今回も美しい夕日をおさめるべく、デジタル一眼レフを持っていったのですが、 ギリギリ雨が降っていないくらいの、
あいにくの曇り空… 夕日を拝むのは難しいかなとあきらめかけていましたが、とりあえず美術館へ。
日の入りまではまだ時間があったので、展示を見ることにしました。 このとき開催されていたのが、川端康成と東山魁夷の展示でした。

かの有名な芸術家ですが、展示を見るまでこの2人につながりがあったことは知りませんでした。
川端康成の作品に東山魁夷が挿絵を描いていたり、美術品コレクターとしても共通していたり、 新発見がいっぱいでとても見応えがありました。
この展示を見るまでは、4年前の真っ赤な夕日しか頭になく、 あれより綺麗な夕日が見れないなら行くのやめようかくらいに思っていたのですが、 展示を見たあとに傾いてきた今日の陽をみて、そんなこと思っていた自分が恥ずかしくなってしまいました。

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確かに青空でも真っ赤な夕日でもなかったのだけど、 それは、今日この瞬間でしか見られなかった表情の夕日でした。
薄い雲に光が広がっていて、何色と言っていいのかわからない中間色の空。
とろけるように広がる太陽の光は、やっぱり美しかったです。
当時某カメラ屋さんで働いていて(カメラは売っておりませんでしたがw)、 おもしろそうだなと一眼レフを初めて買ったのは、もう6〜7年くらい前になります。
そのころは、くっきりはっきり鮮やかな色の写真がキレイで上手い写真だと思っていました。
コントラストの高さこそ命だと思って、露出をいじったりしていました。 真っ赤な夕日をおさめられた前回の島根旅行もそう。
太陽の光と風景のシルエットのコントラストがたまらなく、 そんなところを上手くおさめられた=いい写真が撮れたと思っていました。
でも、東山魁夷の絵を見ていたら、この日の夕日がすごくいとおしく思えてきました。

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絵画でも、本物そっくりに描くことだけが上手な絵ではないし、 東山魁夷の独特の柔らかい雰囲気は、印象は優しくてもいろんなことをうったえかけてきました。
自分の感じたことをそのまま表現することが芸術なんじゃないかな。 この人もきっと、上手い絵を描こうなんて思ってなくて、 感動した景色を感動したままに残したからこそ、たくさんの人にそれが伝わる作品になっている。
本当に当たり前のことなんだけど、どこかで勝手に上手い下手とか考えてて、 大事なことを見失っていたような気がしました。
自分のただの思い込みと言うか、妄想が発展して勝手に衝撃受けただけなんですけど、 展示を見終わって外に出た時の景色が、今さっき東山魁夷の絵でみたような風景だったんです。
やわらかいタッチと、絵の具を混ぜなきゃ作り出せないような色が、 目の前に広がっていて、奇跡としか思えませんでした。 今のこの気持ちを残したくて、必死にシャッターを切りました。
誰かになにか伝えられるかはわかりませんが、今日この日この場所にいた、 そのことを絶対に忘れたくなくて、カメラに収めました。

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ここには、4年前のオレンジ色の夕日の写真も一緒に載せておきます。
あのときも、このときも、おなじ場所で感動できたことには大切な思い出です。
写真としての好みは人それぞれだと思いますが、 いろんな表情を見せてくれる島根の風景には、またここに来たいと強く思わせられます。
大好きな場所に出会えて、本当に良かった。ありがとう。

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