見出し画像

映画館CINECITTA' のLIVE ZOUND の音響が本当に良い

もるキョンシー
https://twitter.com/morukyon

 本稿は筆者が、神奈川県川崎市にある映画館CINECITTA'(以下、チネチッタ)にて『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(以下、劇ス)を鑑賞した感想文である。筆者にとって初めての論文っぽい文章の執筆であり、元々筆下手でもあるため読み辛く、また、拙い部分が多々あるだろうがご容赦いただきたい。

 この本を手に取っている方の中にはご存じの方もいるかもしれないが、まずはチネチッタ、ならびにLIVE ZOUNDについてご紹介する。

 チネチッタ(神奈川県川崎市)は、JR川崎駅から徒歩10分ほどの位置にある複合商業施設LA CITTADELLA(以下、ラ・チッタデッラ)に属する施設の1つだ。イタリアのヒルタウンをイメージした作りの区画には映画館だけでなく飲食店やチャペル、ライブハウスをはじめとした多くの商店が並んでいる。中心エリア「マッジョーレ」の広場には噴水があり、定期的にイルミネーションを交えたショーが開催され、隣り合う銀柳商店街とは全く違う風景で多様なエンターテインメントを提供している。この噴水広場の目の前にチネチッタは位置している。ガラス張りのロビーにホテルのような高級感の漂う内装の4階建て、12スクリーンの大箱の映画館で、オープンは1987年と、ラ・チッタデッラよりも古い(*1)。

写真 チネチッタ(筆者が2022/3/9に撮影)

 そして、LIVE ZOUNDとは、12個あるチネチッタのスクリーンのうちの8番と12番の2つのスクリーンにて提供されるサウンドシステムの名称だ。細かい機器の説明などは省略するが、18台のラインアレイスピーカーをはじめとした音響機器の数々で上映される作品を彩る。音楽映画・ミュージカル映画に適した、調和重視型の「ハーモニクス」、劇場が狂震(きょうしん)する超迫力重視型の「ハードコア」、そして大迫力と調和を兼ね備えた万能型の「ハイブリッド」の3種類があり、作品ごとに適したタイプに切り替えて上映されている。劇スは2021年6月から、「ハイブリッド」タイプのLIVE ZOUNDで上映されていた。そして2022年3月の前半に、突如として劇スのハードコア上映が決定されたことは記憶に新しい。

 筆者は2021年7月にハイブリッドを、2022年3月にハードコアを1回ずつ鑑賞している。先に見たハイブリッド上映を見る前にも6回劇スを浴びており、ハイブリッド上映に足を運んだ際には「まあ、調べた限り音に力が入っているんだろうな」程度にしか思っていなかった。上映が始まってみれば毎回開演の度に大きな音に驚かされていたトマトの破裂音から直後のBGMま
で、とにかく音が綺麗なのである。筆者には語彙も無ければ文才も無いので只々安直な表現となってしまうのだが、どの音もとにかく澄んでいて、ひたすらに綺麗なのだ。それでいて盛り上がる場面ではしっかりと迫力のある大音量が響く。例えば「皆殺しのレヴュー」で変形しステージに変わった列車がトンネルを抜けてアフリカ民族音楽風に曲調が変わるシーンや、「最後のセリフ」での『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のオマージュのシーンなどが顕著だ。ビリビリと肌の表面で空気が震えるような感覚を味わいながら映画の世界に没入する。4DXや爆音上映といった類のものを体験したことのない筆者にとってとても衝撃的な体験であり、ただ大きな画面、音響で作品を楽しむのとは明らかに違う体験がそこにはあった(*2)。

 そうして迎えた2度目のLIVE ZOUNDであるハードコア上映。「ハードコアとは言ってもまぁ音が大きくなるぐらいだろう」と筆者は高を括っていた。ここでチネチッタ公式Twitterから、ハードコアに関するツイートを引用する。

 劇場も覚悟を必要とするサウンドシステムとは何なのか。ただ音が大きいだけでは下の階まで閉鎖することはまずしないであろう。上映が開始されると、ハードコア上映はハイブリッド上映と比べて、端的に表現するのであれば暴力的な音響だった。とにかく音量が大きい。音圧が強い。ハイブリッド上映の際に感じた「大きな音の部分では空気の振動が体に伝わるぐらいだった」どころではない。さながら映画館で映画を観ているはずなのにライブハウスや大きなドームのアリーナ最前にいるのかと思ってしまうほどに、只々音の迫力が凄いのだ。音が滅茶苦茶に大きいとはいえハイブリッド上映と同じサウンドシステム、音の美しさは損なわれていない。最も顕著だったのが、「狩りのレヴュー」において大場ななが巨大な矢を一刀両断にするシーンだ。筆者は正直に言うと金属が擦れ合う音や金属を裁断する類の音があまり得意ではなく、通常の劇場で劇スを鑑賞する際にも該当のシーンでは身を縮こまらせていた。ハイブリッド上映に際してはこの場面の印象はさほど通常の上映と変わらず、強いて言えば高音の部分がより綺麗になっているなと思った程度であった。しかし、ハードコア上映においてはこの高音の圧がとにかく凄い。衝撃音や重低音だけでなく、高い音も等しくハードコアになっているのである。ちなみに筆者は耳が痛くなるほどの金属音に思わず目を瞑ってしまっていた。

 纏まりの無い文章となってしまったが、以上をもって筆者がチネチッタにてLIVE ZOUND上映を鑑賞した感想とする。少しでもLIVE ZOUNDの魅力が伝われば嬉しい。残念ながらチネチッタにおける劇スの上映は2022年3月31日が最終日となっており、以降の上映の予定は発表されていない。しかし、封切されてから1年経とうとしている執筆現在でも舞台挨拶付きの上映が発表されるなど、劇ス上映の動きは完全には途絶えていない。もし本合同誌が刊行されたタイミングでまだ劇スがチネチッタにて上映されていたら、鑑賞を検討されてはいかがだろうか。勿論、劇スに限らず様々な作品がLIVE ZOUNDにて上映されている。機会があれば、是非ともチネチッタにて最高の音響体験をしてほしい。


*1 ラ・チッタデッラのオープンは2002 年。

*2 決して比較して通常の上映とどちらが優れているかを語るものではない。通常の上映も勿論素晴らしい体験ができる。

参考文献



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?