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クジラアタマの王様 伊坂幸太郎(2019)

将来の夢とかそっちの夢じゃなくて、寝る時の夢なんだけど。結局なんなんだろう、ユングもフロイトも齧ってないので語ろうにもよく分からないんだけども。
僕の場合夢を見る時は結構長い謎の創作物語が展開して、大体起きてちょっと経ったら忘れちゃうんだけど夢がなんか長かった感の認識はあるというか。
あれも潜在意識からのメッセージなのかな、そうならもうちょっと記憶させてくれてもいいのにと思ったり思わなかったり。

今回はそんな夢でゲームのRPGさながらモンスターと戦ってその勝ち負けと現実の出来事がリンクする不思議なお話。

面白かった点が2つあって、まず1つはその夢の出来事を表現するのに2〜3ページの漫画を毎回挿し込んでいること。
伊坂幸太郎さんの作品でこういう手法は初めてなんじゃないかな、素朴で絵本じみた表現が良かった。視覚的に分かりやすいし、雰囲気も伝えやすくなるし。

もう1つは、この小説が2019年7月のものってこと。
なんのこっちゃいって話だけど今回のは大まかに2つのパートがあって、前半は半沢直樹……ほどではないけどサラリーマンの哀愁みたいな感じで。後半は新型ウイルスによるパンデミックの中ワクチンの為に奔走する物語なんですよね。
刊行当時読まないで、今読んだだけになんか預言じみたものを感じるしまんまコロナ禍の今みたいな感じで興味深かったです。
ウイルスとワクチンの話なんてありふれてるのは承知の上なんですけどね、ワールドウォーZでワクチンのためにがんばるプラビも見ましたよ。
まあ読んでて思わずこれいつ刊行されたんだっけ?って思っちゃうくらいにはこういった話題には敏感な現代って感じですかね。

総じて面白かったです。
ただ、伊坂幸太郎さんの作品に共通することとして伏線が分かりやすかったり(回収はきっちりするけど)展開も王道だったりとかで、読みやすいしテンポも良いんだけど先が読めるとも言えて。僕は伊坂幸太郎さんのを久しぶりに読んだのも相まって3時間くらいで読んじゃったけど、こういうところは好き嫌い出そう。

余談だけど伊坂幸太郎さんの作品って大抵奥さんのキャラが濃かったりウィットに富んでたり大体一癖あるんですよね。
今回もそう、面白い奥さんでした。

おわり。

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