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Gとの遭遇、Gの衝撃、Gとの闘い

出勤後に、朝イチで給湯室で洗い物をしていたら横を誰かが通った気配がする。

恐る恐る横目で確認する。

体調5cmぐらいのGと遭遇したことに気づく。
「ぎゃー!!」

朝一番から変な声が出た。
腰を抜かすかと思った。

スポンジや洗剤を置いている箇所をとっとこと歩いており、流し台の奥に入っていった。
そういえば、私の職場の隣にある別会社の人から、給湯室にGがいたと数日前に目撃情報を聞いていた。
ひょっとして、このGのことか。
朝からGを見かけるなんて何かの予兆なのか。ちょっと嫌な予感がする。

ここの給湯室は何社かが共用で使っている。
とりあえず、ここでなんとかしておかないと、次に給湯室を使う人が困るかもしれない。
職場に戻って殺虫剤を取りに行こうとしたが、その間に逃げられるかもしれない。
給湯室から近い場所に会社があり、そこの会社の人に「で…で…でたんです!あれが!!たっ、た、たすてください!殺虫剤を…」と半分片言の日本語で援護を頼んだ。

Gの何がゾッとするかと言ったら、羽を持っていて急に飛んだりするところと、予測不能の動きをするところだ。
今回も飛ばれたらかなわない。

小学生の頃、家のトイレに行こうと、トイレの照明のスイッチを入れた瞬間、私の顔面に向かって飛んできた時は心臓が出るくらいにびっくりした。

何が起きたか一瞬わからなかったが、飛翔体と目が合ってすぐにGとわかった。

冷静になってからこの出来事を考察してみたが、なんと電球にGがくっついていたところ、私は何も気づかずに電気のスイッチを入れてしまい、Gがびっくりして訳も分からず私の方に飛んできたのだろう。
私は咄嗟に危険を察知し、顔面に飛んでくるGを叩いた覚えがある。

思わず「ギャー!!!」と叫び、部屋にいた家族が「どうしたんだ?!」と飛んできたことを覚えている。
この出来事がトラウマになり、予想外の動きをするGに対して恐怖を感じるようになった。

今もこうやってGが流し台に姿を現している。
「私が…殺虫剤で…やります」とひとこと私は言ったが、援護を頼んだ別の会社の人は怯えながらも、「いえ、ここは私がやります!」と頼もしく闘いを引き受けてくださり、殺虫剤スプレーのノズルをGに向ける。
私はその会社の人の後ろ側に回り、闘いの行く末を見ていた。
1、2回スプレーした後にGの身体はひっくり返り、足をバタバタさせている。
「やっぱり怖い…」と会社の人は弱音を吐きながらも、その後も必死にGに向けてスプレーしてくださった。
たとえ害虫だとしても殺生することに対しては複雑な感情になる。
Gが動かなくなったのを目視で確認し、私はペーパータオルを何枚か重ねて包んだ。

寝不足で眠いなあと思いながら朝イチで食器洗いしていたが一瞬で目が覚めたし、
朝から別の会社の人を巻き込んでしまって「すみませんでした」と思う気持ちと、朝から一仕事を終えたような気持ちでどっと疲れた週末の朝だった。

それにしても、職場は都市部にある 10階のビルなのにGに遭遇するとは思わなかった。
ビルには出ないという噂はウソなんだろうか。

ちょっと前まで寒いと言ってたのに、いまや暑い暑い言ってるから出てきてもおかしくないか。
Gが出ないようにするには、とにかく生ゴミをそのままにしない、水気を残さないことが大事らしい。
週末だし買い物でもして帰ろうと思ったけど、帰ったらまずは自分の部屋を掃除しようと心に決めた。

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