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僕らと日本円とビットコイン(bitcoin)。今から買っても大丈夫?

はじめに

この記事は元々、私のお客さんより依頼があって作成したレポートです。

私はMini統計沖縄という個人事業を営んでおり、近所の居酒屋や電機資材屋さんの『売れ筋商品の組み合わせ』や、『曜日別販売予測』、『利益率と原価率の相関』といったデータ分析を行っています。

その他、数学や統計学を利用して、資産運用のお手伝いなど(ファイナンシャルプランナーみたいなもの)をさせてもらっています。

そんな中、「ビットコインに投資してみたいけど、怖いしよく分からない。だけど、すごく興味がある。」と言った声をよく耳にしたので、投資用レポートを書いてみました。
軽い気持ちで書いてみたのですが、予想より好評だったのでWebで公開することにしました。

読者対象は、『まだ、ビットコインを買ったことがない人』です。


調べるのが面倒くさい。という方ほど、読んでもらいたいレポートとなっています。
「買う。買わない。」は、別としてビットコインがどんなものなのか?を知るくらいの気持ちで読んで頂ければ幸甚です。

「株式投資」に「iDeCo」に「NISA」。資産運用が身近で必至となってきています。
インフレ対策と経済の読み物としてご活用ください。

※上記ファイルは全文PowerPointで作成したスライド(PDF版)です。


序文

『貯蓄から投資へ』
2003年頃から、そう叫ばれて早20年が経過しました。
2023年現在も岸田政権下で同様の政策が進行していますが、 その意味は大きく変化しています。

2014年に、NISA(日本版ISA:少額資産非課税制度)が誕生しました。「100万円未満の少額投資で得た配当金や株式売却益には課税しない。」として投資を促す事を目的として発足しました。当時は繰越も5年限定でした。(※2024年度より新しいNISAが開始予定)

また、2001年に開始したiDeCo(確定拠出型企業年金制度)も『貯蓄から投資へ』を促す制度として存在しています。このiDeCoは確定給付型企業年金の不足など、懸念される年金制度への対応策として作られた制度であるため、日本政府からの最後通告(※年金に頼らず、自分で投資・運用して年金を確保して欲しい)と呼ばれることもあります。

更に、日本は人口減少に歯止めがかからず、インフレも加速している為、日本円(現金)以外の資産を保有する必要があります(物価上昇をヘッジする)。これこそが現在の『貯蓄から投資へ』という言葉の意味です。

そのような現状の中、ビットコインは私たちの資産としてどのような役回りを担ってくれるのか?ビットコインの性質とその価値について考察しながら、資産形成(ポートフォリオ)について纏めます。



目次

01:ビットコインとは?

2023年現在において、ビットコインという言葉を聞いたことが無い人はいないでしょう。
しかし、聞いたことがあっても、実際に購入したり、保有している人は想像より少ないというのが日本の現状です。
本章ではビットコインとは何なのか?について記述します。

ビットコインは電子データ

ビットコインは、インターネット上に存在する電子データのことを言います。
この電子データは、
1bitcoin = 100,000,000 satoshi(サトシ)という単位が付けられています。
現在、 1bitcoin =3,700,000円(米ドル:27,000ドル)の価値があります。
この電子データを構成する技術のことをブロックチェーンと呼んでいます。

何故電子データに価値が付いたのか?

“ビットコインを使用して最初に購入された物は、ピザ2枚🍕。 ”
この時のピザ2枚の値段が10,000bitcoinです。2010年当時のビットコインの価値が、(1bitcoin=約0.2円)でしたので、2,000円程度です。

その後、インターネットオタク達の間で徐々に人気が広がり、価格が急速に上昇していきました。
ビットコインの価値を急速に上昇させたのは、シルクロードと呼ばれる闇サイトでした。それらの歴史に関しては、『デジタル・ゴールド: ビットコイン、その知られざる物語ナサニエル ポッパー (著)』という書籍をご参考下さい。

ビットコインは、金(ゴールド)と性質が似ており、地球上に存在する量が限られています。その為、デジタル・ゴールドとも呼ばれます。
また、インターネット環境さえあれば、何時でも何処へでも送金可能です。また、銀行の預金口座の様に、自分以外の誰かに資金を預ける必要もありません。自分の資産を自分で管理できることが最大の特徴です。


ビットコインの管理方法


ビットコインの所有権とは秘密鍵のこと


02:貨幣と通貨

ビットコインは、世界共通の通貨なのでしょうか?
そもそも通貨とは何でしょうか?貨幣との違いはあるのか?
本章では貨幣や通貨とは何なのか?について記述します。

貨幣は通貨を包括する

一般に、貨幣には以下の3つの機能がりあります。
①    価値尺度 (どれくらいの価値?)
②    支払・流通手段(決済)
③    価値貯蔵(保管)
一方で、通貨とは世の中に出回っている貨幣という意味があります。つまり、上記【②支払・流通手段】がこれに当たります。
因みに、日本最初の貨幣は富本銭(ふほんせん)という銅銭です。

日本銀行HPより https://www.boj.or.jp/about/education/arekore2.htm


ビットコインは貨幣か?通貨か?

ビットコインは貨幣になったと言える
ビットコインはそのボラティリティの高さから、貨幣の機能【③価値貯蔵】が達成出来ていないと考えられていました。しかし、アルゼンチンペソの様に急速に価値を失う貨幣が存在するのが実際です(ビットコイン以上に価値が毀損)。

エルサルバドルで法定通貨化された
2021年にエルサルバドルで、ビットコインを法定通貨とする法案が可決されました。同国では米ドルに続き、二種類の法定通貨が誕生したことになります。これらを踏まえると、ビットコインは貨幣となったと言えると考えられます。※尚、国際通貨基金(IMF)と世界銀行は懸念を表明しています。

03:ビットコインの価値

これまで、ビットコインや貨幣について述べてきました。
では、ビットコインの価値は、一体どこにあるのでしょうか?
本章では、ビットコインの機能や性質から、その価値の源泉を考察します。

ビットコインの価値の源泉

発行上限 が存在
総発行数量が2,100万bitcoinという上限が存在。希少性があります。

発行方法(マイニング)
10分毎に複雑な計算を行い、最も早く正解を算出したコンピューターにビットコインが発行されます。

中央管理者不在
政府や中央銀行など、価値を保証したり、保護してくれる存在がいません。ビットコインの価値は市場が決めます。

取引改ざん不可能
すべての取引履歴は、誰でも閲覧可能なブロックチェーンに刻まれるため、現在の技術では改ざん不可能と言われています。


発行数量の減少がビットコインの希少性を高めている

ビットコインはProof of Work(プルーフオブワーク)と呼ばれる発行方法により生成されますが、その発行量は4年毎に半減していきます。
※現在は10分毎に6.25bitcoin生成される。
これは、半減期と呼ばれており、ビットコインのインフレを防ぐことを目的としています。
この採掘量が減少する事で、ビットコインの価値が毀損する事を防ぎ、その希少性が更に高まるという、好循環が生まれています。

ビットコイン最大の価値は【時間とロマン】

これまで、ビットコインの性質からその価値を述べまし。しかし、十分に納得できるものではありませんでした。
では、ビットコイン最大の価値とは何なのでしょうか?
その答えは【時間とロマン】だと思料します。

1つ目の【時間】は、信頼を表します。2009年に誕生して以来、ずっと機能し続けている点です。時間が価値を証明しています。

2つ目の【ロマン】は、歴史を表します。正体不明のサトシ・ナカモトと自称する人物の論文から誕生し貨幣の概念。それこそがビットコインです。これ程までに美しい性質を備えた創造物は中々世に出て来ません。ここに人々を惹きつける力があるのだと考えられます。

04:運用・投資手法

ビットコインの価値や性質を理解したところで、運用方法について考えていましょう。
世の中のあらゆる投資物件の価値は日々変化しています。原油に金、株式に米ドルまで。価値が変わらないものなどありません。
運用・投資にはタイミングと戦略が大切になってきます。
本章では投資手法について述べていきます。

時は金なり(time is money)

投資において、収益を予測したり、計算する時には時間という概念を大切にします。
基本は金利です。
金利5%という場合、通常は年利のことを指します。
例:100円×5%=5円(年間の収益:年利)
  100円×5%×1か月/12ヵ月=0.4円(月間の収益:月利)
これは365日間という時間が経過したときに得られる収益という意味ですので、時間=金利(時は金なり)という訳です。

ビットコインの基本運用手法

最もお勧めの投資手法は、『ビットコイン現物を購入して、放置すること。』

圧倒的なビットコインのパフォーマンス

上図は2019/1/1~2023/5/20現在までに価格が何倍になったかを表したグラフです。
ビットコインは世界を代表する株価指数と比較しても、圧倒的なパフォーマンスを発揮(2019年当時と比較して、現在7.5倍に上昇)。
この表がビットコイン購入後に、下手にトレードをしない理由です。


ビットコインの発行数量は減少し続ける


何故何もしないのか?

既に述べた通り、ビットコインはインフレを考慮されて構築された貨幣です。
その為、株式や法定通貨と違って、原油や金などの資源と同一の性質を持つため、本質的な価値が毀損しにくいと考えられます。

数ヵ月~1年といった短期間で収益を上げることを目標とせず、5年~10年単位で収益を上げることを目標とする方が、パフォーマンスが良くなる傾向があります。
下の図はポートフォリオの参考バランスです(※かなり強気のポートフォリオです)。

ビットコインに強気のポートフォリオ(参考)

05:生活とお金


最終章では、
『何故ビットコインを選ぶのか?』について記述していきます。
現金ではなく、株式でもなく、不動産でもない。
ビットコインを選択する理由と将来について考察します。


新型コロナは世界各国の中央銀行を団結させた

世界同時金融緩和
新型コロナの流行は、全世界を恐怖に陥れました。
パンデミックによる世界経済の減速を恐れた各国中央銀行は歴史上類を見ないほどの大規模緩和を実行。
それが世界各国で同時に起きたので、マネーは株式市場・仮想通貨、不動産に時計など、あらゆる方面に向かいました。


金融緩和の結果、全市場が過去最高値を更新。
インフレが急速に近づいてきた。

2020年4月に起きたコロナショックで世界株価は同時暴落した

2020年4月に株式市場は大暴落しました。
しかし、その後の各国の大規模緩和によって、株価は急速に回復しました。
現在までのチャートで見ると、コロナショックが無かった様に見えるほど、回復・上昇しました。

インフレーションの恐怖

貨幣価値の下落
インフレが起こると貨幣価値が下落します。100円で買えたものが120円になるといった具合です。

物価上昇
貨幣価値が下落していくので、自然と物価は上昇します。

実質賃金の低下
貨幣価値が下落するということは、毎月振り込まれる給料の価値も下落していくということです。実質賃金の低下です。

貯蓄の切り崩し
これまでと同じ生活水準を保つためには、給与の増加か貯蓄の切り崩しが必要となってきます。

金利上昇
政府や中央銀行はインフレを抑えるために、金利を上昇させます。発行し過ぎた貨幣を縮小して、貨幣価値を上昇させることが狙いです。

景気低迷
金利が上昇すると、銀行への返済が苦しいので、設備投資が鈍化します。お金が回らなくなり、経済が停滞。景気低迷へと繋がります。


一度インフレが定着すると、平時の経済に戻るのに長い期間を要します。
先ほどのスライドで示したように、悪循環が続いてしまう為、抜本的な解決が非常に難しいのです。
その為、価値が下落しにくい資産を保有する必要が出てきます。
代表例が株式、金、不動産などです。

何故ビットコインを選択するのか?

では、株式や不動産だけではなく、何故ビットコインを選択する必要があるのかを考えてみましょう。

端的に言えば、株式や不動産には理論上、その値段が計算出来るのです。つまり、その企業の当期純利益や内部留保から理論株価を算出できるわけです。
不動産においても、周辺の土地価格や建築資材の値段などから、理論価格が計算できます。

しかし、貨幣そのものであるビットコインの価値は計算不能なのです。
『米ドルや日本円と比較して、いくらの価値を持つ。』
などと、相対的なものでしかない為、1bitcoin ≒ ??円 という計算が出来ないのです。
発行上限も限られている為、正に市場だけがその価値を決められるということになります。これがビットコインを選択する理由です。

如何でしたでしょうか?
全体を通じて、『何故ビットコインを選ぶのか?』について記述してきました。
本スライドが、現在の世界や日本経済状況を理解するのに、少しでも役に立ったと感じて頂ければ、幸甚です。


参考文献

  1. そもそも「日本版ISA」って何?http://www.nomura-am.co.jp/nisa/common/pdf/pdf_130201_about-isa.pdf

  2. いつ、なぜiDeCoの制度は生まれたのか?https://go.sbisec.co.jp/prd/ideco/ide-column-20210115-04.html

  3. ビットコインピザとは?初めて交換された時の値段や歴史についてhttps://coincheck.com/ja/article/199

  4. ブロックチェーンとは?仮想通貨(ビットコイン)の活用だけでは ... https://biz.kddi.com/beconnected/feature/2021/210303_2/

  5. GBTC(グレースケールビットコイン投資信託)https://coinpost.jp/?post_type=glossary&p=234741

  6. ビットコインの「秘密鍵」はどんな存在?https://bitcoin.dmm.com/column/028

  7. デジタル・ゴールド: ビットコイン、その知られざる物語https://amzn.to/3MJitzB

  8. お金の話あれこれ(2)お金をいろいろ比べてみたらhttps://www.boj.or.jp/about/education/arekore2.htm#p01

  9. ビットコイン法定通貨化の最新動向。エルサルバドルと中央 ... https://news.yahoo.co.jp/articles/76cd9ecb597ce67567e23391757cde832cfb1401

  10. ビットコインの半減期とは何ですか?https://www.coinbase.com/ja/learn/crypto-basics/what-is-a-bitcoin-halving

  11. ビットコインを生み出す採掘 | 仮想通貨ビットコイン(Bitcoin)の ... https://bitflyer.com/ja-jp/s/learn/bitcoin-mining

  12. ビットコイン: P2P 電子通貨システムchrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://bitcoin.org/files/bitcoin-paper/bitcoin_jp.pdf


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