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「うたわれるもの」ミリしらプレイレポート~偽りの仮面編~

こんばんは。

今回は『うたわれるもの 偽りの仮面』のミリしらプレイレポートとなります。

『うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄』はプレイした上での取り組みとなるため、この記事でもそこを通過している前提で記憶を残そうと思います。

プレイ期間:3/5-3/13
プレイ時間:31時間(ゲーム内30時間)

…前作と比べると公称されていたプレイ時間と差がなかった

ストーリーについて:前編

非常に美麗なオープニングに迎えられて始まる今作。
このアニメーションのクオリティは相当なもので、テーマ曲『ヌエドリ』と合わせて壮大な物語を予感させました。

▲スクショで切り取ってなお美しい陰影、背景、キャラクター。見惚れます

今作も、記憶を失った青年が、少女の膝元で目覚めるというはじまりは踏襲されています。

▲既視感あるはじまり

違いとしては早々に戦闘が発生したことでしょうか。
ADVとSRPGの二面性がすぐに示された点は良いですね。
この流れで、前作プレイヤーは「あっ」となる場面が早速登場。どういう流れとなるのか、気になるばかりでした。

▲いきなり出てくる人間の成れの果て。考察が加速する

ハクは面倒事は嫌いだしがめつい。楽しいことは好きという三枚目よりなキャラクター。

▲主人公の立ち絵が結構出番あるのも新鮮だったり

まぁ後味の悪いことはキライという一点でやることはやるし機転も利かすのでハクオロとは別のベクトルで好かれる人物になっているのが良き。
そして、山村でなく都が主な拠点ということもあり、出会う人たちも華やか。あらゆる面で前作と作品単位のコントラストを描いています。

▲今作はシンプルにルルティエが好み
信念を持つキャラも好きですが、護ってあげたいキャラもまた良いものです

前作が常に争いの中にあるストーリーであったことに対し、今作はオシュトルの隠密として遊撃めいたミッションが多くそれらも後ろめたいことが少なかったこともあって、明るいムードがだいぶ続いたのも特徴。

▲ウズールッシャとの戦争中もこんな感じ
いつシリアスに?とずっとスタンバってました

トゥスクル侵攻時もハク一行は物資を届けるだけであり、どちらかといえばクオンの葛藤とクロウとの対話に重きを置かれましたし。

▲クロウは結構好きなキャラだったんで出番がきっちりあって嬉しかったり

それだけにシリアスになってからは感情を追いつかせるのが大変になったり。続きは後編へ。

SRPGパートについて

さて、いろいろ極端という短評だけ存じていた戦闘面。
向きによる基本ダメージへの倍率概念がなくなった以外の変更された要素・追加された要素のすべてがハイリスクハイリターンに転ずる仕組みになっているのが問題。

  • レベルの値が攻撃力に乗算する形でダメージ基礎値が決定しているのでインフレしやすい

  • 防御側ダメージカットの基礎値は1/3されるため影響が小さい

  • 戦闘回想を縛ると相手の平均レベルは基本的に自軍平均より平然と高い

以上のことから中盤以降は互いに相手を一撃で倒しうる火力バランスに。
「ユニットの向き」は撤廃されましたが、裏を返せば弱いユニットで背後を奇襲できず、能力勝負になることを意味します。
敵を釣り出す際も誰なら攻撃を受けられるか、きっちり検討する必要が出てきます。

気力に関する変更点もやはりハイリスクハイリターン。

  • 気力100で全開状態になり、次行動に割り込める

  • 攻撃だけでなく防御時の錬技成功でも気力がたまるように。一方通常防御側は気力を貯められない

劣勢時の巻き返し、連続行動によるヒット&アウェイみたいな運用もできる一方、敵のボス格も錬技をバカスカ使うため、一斉攻撃してたら気力貯められた→気力全開で割り込み必殺技or範囲スキルで自軍壊滅…なんてことも。

▲ラスト1個手前。ヴライのオシュトル狙いAI&オシュトルが万死一生持ちでなかったら
多分再挑戦ナシの撤退ゼロは相当きつかった

私は巻き戻しはアリとして戦闘回想を縛り、かつ全ステージで撤退ユニット0を掲げていたこともあって、終盤は前作以上にパズルを解く感覚で臨むことに。最終的に無事ノー撤退は完遂させられました。
全ステージ敵殲滅だけは1ステージだけ取り逃した

▲活性化の都合上なかなか発動機会のなかった必殺技。
カットインが墨絵チックで統一感があってよき

さて戦闘面でのキャラ短評ですが、上述の都合でとにかく無射程の攻撃オンリーユニットが活躍させられない。
1対多になった瞬間撤退が見えるため迂闊に攻め込めないんですよね。
なのでオウギやヤクトワルトの出番がどうしても少なくなってしまいました。ルルティエも愛ゆえに頑張って出撃させてましたが、やはり分が悪い場面は多かった。
火力が高く射程も広いウルゥル・サラァナ姉妹、有射程かつ連続連撃が可能なキウル、攻防手厚くサポートできるネコネはスタメンでした。
クオン、ハクもそれなりに活躍させましたが、序盤他よりレベルが一段低い水準にあるのが辛かった。
特にハクは出自と役割を考えたらフレーバーとしてはそうなるのはわかるのですが…

▲初回クリア時。ハクとクオンの遅れだけはどうにか巻き返した

なんとなく、ピーキーな戦闘システムとは聞いていましたが、本当に癖のあるシロモノでした。

ストーリーについて:後編

さて、偽りの仮面を完走しての感想ですが、さすがに「続編がある前提の終わり方である」と評せざるを得ません。
途中までは、紆余曲折遭って後ろ指さされてもハクが帝の立場を継ぐところまで進むと思ってたんですが、終わってみればエンナカムイで決起するところで終わってしまいます。
ヤマトは混乱したままでありホノカはともかくエントゥアやムネチカなど動向がわからないまま終わってしまったキャラもいる始末。
前作で言うところの「ハクオロ主導の内乱開始」、あるいは「トゥスクル建国」までしか進んでない状態です。
前作は切なくも物語としてはきっちり区切りをつけていたこともあって、この作品単体で感慨にふけらせてほしかったです。

キャラの掘り下げも足りない印象を受けます。
純主役格であるネコネやオシュトルはきっちりとハクたちとの関係を描いていますし、クオンが恋心に気づく過程は丁寧でした。
ただ、ヤクトワルトの過去やシノノン、エントゥアとの関わり、キウルのネコネへの感情の変化などはほとんど掘り下げられていないように思えるため、消化不良でした。

▲戦闘中だけでなく、もうちょっと進展というか絡みはあってほしかった

極めつけは八柱将。オーゼンに至っては一言もしゃべってないし朝議に顔すら出してない。(当然CVもついてない)
同じく仲間内に近親者のいるソヤンケクルとの差はどうしてついた…

▲この暑苦しさで短いながらもきっちり存在感を出していたアトゥイ父

前作キャラの登場具合や活躍度合は前作を知らないユーザーでもなんとかついていけるように見えます。
トゥスクル生まれのクオンの育ての親たちであることは概ね伝わりますし、過剰にでしゃばるでもなし。それでいて前作を知るものは今の動向やクオンとの会話にクスっとくること請け合い。

▲このお飾り感、美しく育ってもアルルゥであった

とはいえエンディング後の描写は前作未見だと「???」が飛び交うことでしょう。
クオンの描写に至っては、ユズハ(本来1つの神しか宿さぬはずが4神すべて宿す)と、ハクオロ(禍日神そのものにしてデコイの文化を生み出した存在)の血を継いだ子どもであることを知らないと一切理解が追い付かないのが正直なところ。(必殺技で付与する状態異常が恐怖であること以外フレーバー的にヒントもナシ)

などなど、続編前提の描写に留まっているものが多かったというのは拭えません。この点は色々惜しい。
しかし、これらを補ってドラマティックな展開もちゃんと描かれていたので、この後はそこに触れていきます。

目が離せなかった最終盤

正直なところ、初対面でハクを信用してくれたウコンはどこかで退場するのでは(いわゆるテオロ・トゥスクルポジ)と思ってました。
そしてそのウコン=オシュトルが確定した時点で、この仮面をハクが受け継ぐことも想像できたわけです。
(長めの髪を後ろでまとめるというメタ的な類似点もあったし)

▲名前が思いっきりヒントであった


となるとどんなシチュエーションで?と想像は巡らせていたのですが、結果として最もドラマチックな展開でした。

オシュトルはヴライと決着をつける闘いに満身創痍のまま赴き、壮絶な死闘の末に勝ってみせます。
それまでに囚われの身になりボロボロで救い出されたら何するか読めないエントゥアが付き添うなどフラグを積み重ねてはへし折り、相討ちでもなく勝利してみせた。
そして、力を行使しすぎた代償としてその身を散らすのです。
こんなカッコよく意志を託されることになるとは思っておらず、あまりの熱さに思い出すたびに目が潤んでしまいます。
もう一つ言うと、このタイミングで『キミガタメ』のオーケストラアレンジを流すのはズルすぎる。

▲ウコンとしてハクと接した時間が一番好きだったのだろう
最期の言葉がこれだった時、ついに涙が零れた

その一方で、戦が引き起こす悲しみを一身に背負ったのがネコネでした。
オシュトルが渾身の一撃を決めるタイミングでネコネは兄を護りたい一心で介入、兄妹は致命的なすれ違いを起こしました。
このすれ違いはネコネ自身の幼さに加え、兄との触れ合いが満たされていなかったことの表れにも思うんです。

▲ネコネとオシュトルが、普段から寄り添えてたらどうなってただろう

結果としてその行動で、オシュトルだけでなく(その意志を継ぐため名を封じた)ハクも失ったようなもの。(なお戦闘描写を考えるとネコネの介入がなくてもオシュトルが生き延びた確証はない)
手を出してしまったネコネの気持ちもわかるだけに、エンナカムイへ辿り着いたときのネコネの振る舞いには心が抉られました。

▲この時の自責の念の深さは私なぞには推し量れない…

そして、オシュトルの強さと覚悟を前に、自分を殺し偽りの仮面を被る決意をした最後の人間・ハク。
前作ユーザーとしてはハクオロの仮面以外はまがい物と判断し、そこにサブタイトル「偽りの仮面」を結びつけるわけですが、ラストのラストで真の意味が明かされるというのはやはり見事でした。

この章の初めにあるように「仮面をハクが受け継ぐ」と予想はしていたのですが、ハクという名と存在を捨ててまで、とは考えていなかったので衝撃は大きかったです。

▲仲間にすらハクであることは告げられない。ここも胸をぎゅっと掴まれる

兄である帝が崩御し、すべての人間が肉塊に変わる理を与えられた作中において、真人としての強化を受けたとはいえハクは最後の人間という立ち位置も担っています。
けれど帝が、ハクに人間として成してほしかったことはわからないまま。
その真意と、ハクが人間である事実を知るのは恐らく最期を看取ったであろうホノカただ一人。
果たしてハクが人間として成すことがあるのか、これは次作まで持ち越されることに。こういう点が持ち越しても良いやつ

ネコネが無我夢中で走り出したその時から、どう着地するのか最後までわからない怒涛の展開で、本当にハラハラさせられました。

すべてのバトンは次作へ

『偽りの仮面』発売時点で、次作『二人の白皇』の発売は決定しており、『散りゆくものへの子守唄』を含めた三部作となることは明かされていたと聞いています。
その結果なのか、ボリュームが薄いとは思わなかった一方、ソフト単品として物語がキレイに締めくくられているわけではなく、もやっとする部分があったことも確かです。
特にヤマトが小康状態にすらならず混乱したままな点がマイナスかなぁ。

▲イレギュラーと最大の切れ者と姫殿下最後の砦をまとめて隣国へ追いやった
こいつも謎しか残してませんしね

SRPGとしても、ユニットの使い勝手の差など埋まらなかった部分はそのままにリスクとリターンがより激しく、ピーキーになっていました。

もちろん、作品単体でオシュトル絡みは非常にドラマチックだったり、前編と捉えるなら丁寧に描かれたところが多いとも取れます。
わたしは手元に続編がある状態でやっているし心構えもあったのでそこまでマイナスと捉えていませんでしたが、「これは俺たちの戦いはこれからだENDではあるよなぁ」と思ったことも確か。

▲ハクとクオンも最後はすれ違ってしまって終わる。
でも端から見たら希望が残っているため、どうなるかが、気になります!

なので、大過なく『二人の白皇』で締めくくってくれるのかが気になるばかり。今回顔みせすらしなかった前作のキャラもおりますし、ちらちら気になるものは残っています。
グンドゥルアの行方、エントゥアの真意とウォシスの企み、ホノカと帝で交わされたであろう会話…そして帝が創り将に与えた仮面ハクオロの仮面の関連性などは特に関心事。どういう代物なのか、本質が明らかになるといいなぁ。
あとユズハがハクオロから持ってった複数の髪の毛と鈴のことも忘れてなかったり

そして何より、クオンとハクの物語の行方でしょう。
オープニングアニメで示唆されていますが、おそらくクオンがハクを見つけた真の経緯はボカされています。中盤にオンヴィタイカヤンを目の当たりにした際の反応も考慮すると、まだまだ語られてないことも多いはず。

▲OPは本編で描かれなかった幕間の描写が多い
となればこの施設は…

その上で、名を偽り生きる決意を固めたハクと、そのハクがもういないと思っているクオン。居場所すら分かたれてしまった二人はどうなるのか…

と、そんなところで今回はこれまで。
クリアからだいぶ期間が空いたのは、ダメージの計算式を自力である程度割り出すのに文を書くリソースが割かれたためでした。スマートに解きたかったし完全に割り出せたわけでもないんですがね

また次の記事でお会いできれば。

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