梅毒の検査

梅毒の検査は、ほとんどの場合は血液検査です。
※病変に原因菌がいるかどうかを調べる検査法もあり、そういう検査を行っている医療機関もあるのですが、非常に少ないです。

さて、梅毒の血液検査は大きく分けて2種類あります。

一つは、最初の2文字が「TP」の検査(TP検査)です。具体的にはTPHA、TPLA、TP抗体(TPAb)などという名前が付いています。検査法の細かい違いはありますが、基本的には同じような性質の検査です。

このTP検査は、梅毒以外の原因で陽性になりにくいという特長があります。しかし、一度陽性になるとほとんどの人は一生陽性の状態が続きます。陽性の状態が続くこと自体は問題ではありませんが、そういう性質があるため梅毒が治ったかどうかの判定には使えません。また、過去に梅毒に感染したことがある人が「また感染したかもしれない」、という場合のチェックにも使えません(感染していなくても陽性になってしまうため)。
治ったかどうかの判定や、過去に感染したことがある人が再び感染したかどうかの確認は、これから説明するもう一つの検査を使って行います。

そのもう一つの検査は、STSやRPRと呼ばれます(RPRと呼ばれることの方が多いです)。

このRPRは、上に書いたように、梅毒が治ったかどうかの判定や、再感染の確認に使うことができます。しかし欠点もあり、それは梅毒以外の原因で陽性になることが時々あることです(とは言ってもそんなに多くはありません)。

梅毒の治療がうまくいくと、RPR(STS)の数字が下がっていきます。この特徴を使って、梅毒が治ったかどうかを判定します。梅毒の治療をした後は、定期的にこの検査を行って、基準を下回ったら治ったと判断します。

このように、梅毒の検査はそれぞれ長所と短所があるので、状況に応じてうまく使い分ける必要があります。

以前はRPR(STS)の方が早く陽性になり、TP検査が遅れて陽性になると言われていましたが、検査法が進歩してこの差は無くなってきました。今ではTP検査が先に陽性になることも普通にあります(どちらの場合でも、時間が経つと両方とも陽性になります)。

また、TP抗体がずっと陽性のままなので「治っていない」とか「梅毒は一度感染すると治らない」と誤解している人がいますが、治ったかどうかには関係ありません。ここは紛らわしいですが、注意が必要です。梅毒はきちんと治療をすれば治ります。


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