マガジン

  • クラミジアのまとめ

  • 梅毒のまとめ

    梅毒についての情報をまとめます。

最近の記事

アデノウイルス尿道炎

アデノウイルスは、風邪の原因ウイルスの一つですが、その他に結膜炎の原因としても知られています。「プール熱」(咽頭結膜熱)や「はやり目」(流行性角結膜炎)です。 そんなアデノウイルスですが、尿道炎の原因にもなることが最近分かってきました。まだまだ有名ではありませんが、外来ではたまに見かけます。 この記事ではアデノウイルス尿道炎について説明します。 症状、潜伏期間潜伏期間は1週間〜10日くらいで、症状は尿道の痛み(特に排尿時痛)が中心です。時間が経つにつれてだんだんと痛みが強く

    • クラミジアの治療

      クラミジアは、抗生物質を使って治療します。今は1回飲むだけで済む薬を使うことが多いです(状況によっては違う薬を使う場合もあります)。 薬を1回飲めば治療が終わるため、「1日で治ってしまう」という誤解がたまにあります。確かに薬を飲むのは1回だけで済むのですが、それはこの薬が長期間体に残って効き続けるからです。クラミジアの場合、薬が効いても1週間は菌が生き残っている可能性があります。そのため、この1週間以内に性行為を行うと、他人に感染させてしまう可能性もあります。この点は注意が必

      • クラミジアの症状、検査

        クラミジアは一番数が多い性感染症(性病)です。 代表的な性感染症の数を比べると、男性はクラミジアが一番多く、次に淋菌がきます。ヘルペスとコンジローマは大体同じくらいです。下のグラフは昨年(2018年)1年間の日本全国の統計です。 女性もクラミジアが一番多いですが、その次はヘルペスで、その後はコンジローマ、淋菌と続きます。 このように性感染症の数には男女で違いがあるのですが、クラミジアが一番多いという点は男女とも共通しています。 クラミジアは感染しても症状が出なかったり、

        • 性感染症の検査は何を受けたら良いか

          性感染症の検査って意外と種類が多く、普段あまり聞かないようなものや、名前を聞いたことくらいはあるけどよく知らないものもあって、正直何を受けたら良いか分からないという方が多いです。 そのため、どの検査をやれば良いですか?とよく聞かれます。 症状がある場合には、その症状に応じた検査を行う必要があるため、診察を受けましょう。今回は、全く症状がない場合にどういう検査を受けたら良いか、という話です。 結論を言うと、検査しておいた方が良いのは ・HIV ・梅毒 ・B型肝炎 ・クラミジア

        アデノウイルス尿道炎

        マガジン

        • クラミジアのまとめ
          1本
        • 梅毒のまとめ
          5本

        記事

          梅毒の治療について

          この記事では、梅毒の治療についてまとめます。 ※神経梅毒や先天梅毒(赤ちゃんの梅毒)の場合は治療内容が変わってきますが、この記事では扱いません。 さて、梅毒治療の基本はペニシリン系の抗生物質です。ペニシリンは70年以上前から梅毒の治療に使われていますが、今もよく効きます(これまでにペニシリンが効かない梅毒は報告されていません)。そのため、アレルギーなどの理由で使えない場合以外は、ペニシリン系の抗生物質で治療します。 日本以外のほとんどの国ではペニシリンの注射で治療するので

          梅毒の治療について

          梅毒の診断

          他の記事でも書きましたが、梅毒の検査は血液検査が基本です。 梅毒の検査(https://note.mu/stdinfo/n/ne16f1cf059d0) しこりや潰瘍などに梅毒スピロヘータ(梅毒の原因)がいるかどうかを直接確認する検査もあるのですが、こういう検査を行なっている病院はほとんどありません。ほとんどの場合は、血液検査と症状を組み合わせて診断します。 梅毒の検査は大きく分けるとTP検査(TPHA、TPLA、TPAbなど)とRPR(STS)の2種類があります。この2

          梅毒の診断

          梅毒の検査

          梅毒の検査は、ほとんどの場合は血液検査です。 ※病変に原因菌がいるかどうかを調べる検査法もあり、そういう検査を行っている医療機関もあるのですが、非常に少ないです。 さて、梅毒の血液検査は大きく分けて2種類あります。 一つは、最初の2文字が「TP」の検査(TP検査)です。具体的にはTPHA、TPLA、TP抗体(TPAb)などという名前が付いています。検査法の細かい違いはありますが、基本的には同じような性質の検査です。 このTP検査は、梅毒以外の原因で陽性になりにくいという

          梅毒の検査

          梅毒の症状

          梅毒は性感染症の一つで、名前は有名なのですが患者数は非常に少ない状態が続いていました。しかし、ここ数年患者数が急増しており、問題になっています(ちなみに梅毒患者は日本だけでなく、世界的にも増えています)。 梅毒は、感染してから経過した時間と症状によって、 1期 2期 3期 無症候期 の4つの時期に区別されます。「4期」という単語を時々見かけますが、通常の診療や統計では使いません(国の統計でも、4つに区別しています)。 この記事では、数が多い1期と2期の症状について説明しま

          梅毒の症状

          クラミジア治療薬の有効性

          クラミジアの治療には、アジスロマイシンまたはドキシサイクリンという抗生物質を使用することが多いです(というか特別な理由がなければまずどちらかを使います)。 どちらも同じくらい有効なのですが、ドキシサイクリンが1週間飲み続けないといけないのに対して、アジスロマイシンは1回飲むだけで治療が終わるので、アジスロマイシンが処方されることが多いです。飲み忘れを心配する必要もないですからね。 この2種類の薬について、数年前にユニークな論文が発表されました。 クラミジアに感染した若者

          クラミジア治療薬の有効性

          治療後の再検査の時期

          性感染症はきちんと治療すれば治るものが多いです。ただし、残念ながら1回の治療で治らなかったり、治った後でまた感染することもあるので、治療の後には治ったかどうかを検査で確認することが大切です。 ※ヘルペスやカンジダ症など、再検査の必要がないものもあります。 治療が終わった後、どのくらいのタイミングで再検査を受ければ良いのかをまとめてみます。 クラミジア 治療が終わってから3週間以上経ってからの再検査をおすすめします。3週間以内に再検査することも可能ですが、死菌の影響で(実際

          治療後の再検査の時期

          喉にクラミジアや淋菌が感染している割合はどれくらい?

          クラミジアや淋菌は、性器だけでなく喉(のど)にも感染します。 (※その他にも肛門・直腸や眼にも感染します) 性器にクラミジアや淋菌が感染していた場合、喉に感染している割合はどのくらいでしょうか。最近当院のデータを基に、大雑把に計算してみました。ちなみに今回は、女性のデータです。 まず、クラミジア。性器にクラミジアが感染していた人のうち、約25%が喉にも感染していました。この数字は、過去の報告と同じような感じです。 次に淋菌。クラミジアと同じような感じかな、と思っていたの

          喉にクラミジアや淋菌が感染している割合はどれくらい?

          リステリンで淋病が予防できる?

          「うがいって性感染症予防に効果ありますか?」という質問を時々受けます。 多少は効果がありそうな気もしますが、「分からない」というのが正直なところです。ただし、ヒントになりそうな研究はいくつかあります。 リステリンで淋菌を減らせるのではないか、という研究結果が2016年から2017年にかけてオーストラリアから報告されました。 この研究では、のどに淋菌が感染した人を2つのグループに分けて、片方のグループは食塩水で、もう片方のグループはリステリンでうがいを1分間行いました。そ

          リステリンで淋病が予防できる?

          HIV検査で陽性→感染している可能性はどのくらい?

          HIVは、いわゆる「即日検査」で調べることが多いです。採血して30分も待てば結果が出るので、とても便利です。 この即日検査で「陽性」という結果が出た場合、本当にHIVに感染している可能性はどのくらいあるのでしょうか。答えは最後の方に出てきますので、結論だけ知りたい人は途中の計算は飛ばしちゃってください。 今回は、保健所のデータを使って考えてみます。ちょっと古いデータなのですが、現在に当てはめてもそんなに違いはないと思います。 まず、保健所でHIV検査を受けた人の中で、H

          HIV検査で陽性→感染している可能性はどのくらい?

          クラミジアを治療するときに知っておいて欲しいこと

          「クラミジアを治療した後,いつから性行為を行って良いですか?」 これもよくある質問です。 答えは,「1週間後」です。 これはアメリカのガイドラインにはっきりと書かれています(日本のガイドラインに書いてあると良いんですが,残念ながら書いてありません)。 クラミジアは,抗生物質の飲み薬で治療します。よく使われる薬が2種類あり,1つは1回飲んでおしまい。もう1つは1週間飲み続ける必要があります。ちなみに,効果に差はありません。 1回飲んでおしまいの薬の場合は,飲んでから1週

          クラミジアを治療するときに知っておいて欲しいこと

          マイコプラズマとウレアプラズマを治療するべきか

          最終更新日:2019年6月9日 最近、マイコプラズマやウレアプラズマについて相談を受ける機会が増えてきました。検査を受ける方が増えてきたということなのかもしれません。 ただ、これらの菌の扱いについては注意が必要です。 マイコプラズマとウレアプラズマはそれぞれにいくつかの種類があるのですが、現在検査の対象となっているのは ・Mycoplasma genitalium ・Mycoplasma hominis ・Ureaplasma urealyticum ・Ureaplasm

          マイコプラズマとウレアプラズマを治療するべきか