梅毒の症状

梅毒は性感染症の一つで、名前は有名なのですが患者数は非常に少ない状態が続いていました。しかし、ここ数年患者数が急増しており、問題になっています(ちなみに梅毒患者は日本だけでなく、世界的にも増えています)。

梅毒は、感染してから経過した時間と症状によって、
1期
2期
3期
無症候期
の4つの時期に区別されます。「4期」という単語を時々見かけますが、通常の診療や統計では使いません(国の統計でも、4つに区別しています)。

この記事では、数が多い1期と2期の症状について説明します。

1期梅毒(感染後数日〜3ヶ月)

梅毒の原因菌(梅毒トレポネーマ)が侵入した場所にしこり潰瘍ができます。侵入する場所として一番多いのは、性器とその周辺です。その他、口の中や喉(のど)、唇、肛門・直腸などにもできることがあります。
※しこりを「初期硬結(しょきこうけつ)」、しこりが潰れてできる潰瘍を「硬性下疳(こうせいげかん)」と呼びます。

初期硬結や硬性下疳は痛みや痒みが無いことが多いのですが、痛みや痒みを感じることは決して珍しくはなく、自分の勤務先で統計を取ったら、潰瘍については3~4割の人が痛みや痒みを感じていました(半分近くの人が痛みを感じていたという報告もあります)。というわけで、「痛みがあるから梅毒ではない」というわけではありません。

また、しこりや潰瘍の数は1個のことが一番多いのですが、複数できることも普通にあります。中には潰瘍が5個以上できていて、しかも痛みもあるのでヘルペスと間違ってしまいそうになるようなケースもあります。
しこりや潰瘍ができた場所の近くのリンパ節が腫れることがあり、この腫れは痛くないことが多いです。腫れる場所は足の付根が多いですが、口や喉から感染した場合は首周りのリンパ節が腫れることもあります。

1期梅毒の症状は、治療をしなくても大体1ヶ月くらいの間に自然に消えていきます。しかしこれは梅毒が治ったというわけではありません。菌は体の中に残っていて、治療しなければ病気は進行していきます。

2期梅毒(感染後6ヶ月以内)

2期梅毒は全身の広い範囲に症状が出るのが特徴です。一番多いのは、皮膚の発疹で、バラ疹が有名ですね。ただし梅毒の発疹には色々なパターンがあり、見た目で「これは梅毒が怪しい」ということもあれば、見た目では梅毒には見えず、中には他の病気と診断されていることもあります。正直、発疹の見た目だけで梅毒を完璧に診断することはできません。そのため、感染の可能性がある場合には積極的に検査をすることが大切です。2期梅毒では、検査は確実に陽性になります。

発疹の他、全身のリンパ節の腫れ、脱毛、発熱、食欲不振、倦怠感(だるさ)、咽頭炎などの症状が出ることもあります。ただしどれも梅毒に特徴的とまでは言えないので、症状だけで診断することは難しいです。やはり、感染の可能性があれば積極的な検査が大切です。

梅毒のステージ、症状と検査

梅毒は症状が出ると、検査で陽性が出る可能性が急激に高くなっていきます。ただし、1期梅毒の場合は症状が出ていても検査が陰性となってしまう場合があるので、怪しい場合には繰り返し検査を行います。過去には1期梅毒の症状が出てから1ヶ月経って、ようやく検査が陽性になったケースもありました。
また、上にも書きましたが、2期梅毒に進行している場合は、検査は全て陽性になります。

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