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【感想】『色づく世界の明日から』

色の無い世界。
それが、私の世界。私が決めた正解。

私は生まれてくることを、望まれてはいなかったらしい。

私は生まれながらにして。
魔法で人を不幸にしてしまった。


生まれながらにして犯した罪。

私も母を傷つけたかった訳ではない。

私の意思とは関係なく。

私がいる、そのことだけで人を不幸にしてしまった。


これ以上母を不幸にしたくない。
私が生まれてしまったから。
私が魔法を使えてしまったから。

それなら私は石にでもなってしまえばいい。
色を無くし、喋りも喜びも悲しみもしない、石になってしまえばいいのだ。




私には、色が見えない。

小さいころには、色が見えていたのを覚えている。
でも何故か、ある時から世界から色が消えてしまった。


色の無い世界。
そんな世界でも、少し寂しいけれど、大丈夫だと思っていた。

けれど、貴方は私に色を思い出させてくれた。

空は、海は、青く。
数多の色の魚が宙を泳ぐ中に、金色の魚。

決して見たことが無い世界。
その世界だけが、私に再び色を教えてくれた。




僕の絵の、どこがいいのだろう。
僕自身、それがわからなくなっていた。

僕は僕の心を、この世界に映していただけ。
それだけだったはずなのに、今はあの黄金の魚を探して、泥の沼を歩いている。


そんなとき、鈍色(にびいろ)の少女が現れて言った。

貴方の絵にだけ、色が見える。

貴方の絵を、また見せて欲しい。


鈍色の彼女は、僕に数多の星を。
その中に泳ぐ黄金の魚を見せてくれた。

彼女は魔法使い。
僕の絵が見たいと言ってくれた彼女には、僕には見えなくなった世界が、魔法で見える。
そんな彼女が、僕の絵を欲してくれた。

君は、僕が絵を描く理由になってくれたんだ。

"人に喜んでもらうこととか。
絵を描く楽しさとか。
そういうことを思い出したんだ。

瞳が僕の絵に、光を差してくれたんだ。"




色の無い世界。
それが、私の世界。私が決めた正解。

それが正解だって思っていたのに。

石になった私が、あまりに多くの光を取り戻した。
貴方のおかげ。


あなたが私を必要としてくれた。

"絵を見せてもらって。色を見せてもらって。
魔法を褒めてもらった時、嬉しかった。

嫌いだった自分を見せても、変わらずにいてくれた。

私を全部受け止めてくれた。
一緒にいるだけで、幸せだった。"

もう、想いを閉じ込めることなんかできないよ。




"俺たちはきっと、お互いの色を取り戻すために出会えた。"




"それから、ふと考えました。
私の色は、何色かしら。"

"海が青くてよかった。
空が青くてよかった。

貴方がくれた色。
私の明日には、たくさんの色がある。"

『色づく世界の明日から』





縦書きタイトルロゴは知的でおしゃれな雰囲気出ていいよね。

ここから感想です


 P.A.WORKS が超純度の青春ファンタジーを描いてくれました。
 ありがとうございます…ありがとうございます…。


ホームページのトップにでかでかと
「『凪のあすから』の篠原俊哉監督が紡ぐ」
と書いてありますが、どうやら本アニメの声優番組を聞いているとその他スタッフも大分共通する人が多いようですね。

未来世界の描写で水色が差し色に入った制服を着ていたり、ウミウシモデルの船舶が稼働していたりするのは、きっと凪あすファンへのサービスでしょう。




本作品の第一印象

1話を見た時、僕は『凪のあすから』を見た直後でした。

 『凪のあすから』は2013年の作品で、この作品でも画の美しさにとても感動しました。

 本作品『色づく世界の明日から』も多くの共通のスタッフがいるということで、背景美術の美しさにまず度肝を抜かれました。

 次に驚かされたのが、不思議な世界観です。
「未来世界」×「魔法世界」というとても大きな設定が同時に存在する世界から始まり、
そして1話から「未来世界」から「現実」に向かう、という視聴者側からすると世界観の転換に振り回されまくる展開となり、
「な、なにが起こってるんだってばよ…」

1話見た時は脳の整理がなかなかつきませんでした。




物語が動き出す6話

 この物語の前半は未来から来た主人公・瞳がこの「現代」に馴染んでいくような期間で、彼ら彼女らの恋物語が大きく動き出すのは6話からです。


この6話から、突然物語がめちゃくちゃ面白くなり始めます。

『凪のあすから』を彷彿とさせる「多角関係恋物語」が本格的にスタートし、これまでのほのぼの学園生活編からハラハラ恋物語へと大きく変化します。

そして、最終話で、きっとあなたはP.A.に泣かされる。
きっと想定外の感動に脳が殴られるでしょう。




ところで誰が好きですか

純粋にかわいい(突然脳が馬鹿になる)。

風野あさぎ(cv. 市ノ瀬加名)

ただ、作品を通して僕は胡桃さん(cv. 東山奈央)と千草くん(cv. 村瀬歩)の夫婦漫才が大好きでした。
なんか、結構アドリブが多量に含まれているらしいですよ?(なおぼうも村瀬くんも最高だよほんと)




『色づく世界の明日から』はいいぞ


どうも、「『色づく世界の明日から』はいいぞ」おじさんです。

この作品は、放送された当時はアマプラ独占だったのであまり知名度が高くないかもしれませんが、
P.A.WORKSの作品が好きな方、『凪のあすから』が好きな方、
おすすめです。
(私はなおぼうが好きだからという理由もありました)


この作品を、1話を『凪のあすから』視聴直後に、
また7話以降をP.A.WORKSのお仕事シリーズ最新作、映画『駒田蒸留所へようこそ』の先行上映を見てきた直後に見ることが出来て、

P.A.WORKSに満たされながら見ることが出来たのでとても幸せです。

(『駒田蒸留所へようこそ』の感想については、まだ公開前なので11/10に公開されてから感想を書きます。ちなみに、マジで良かった。
 特に、ライターのお仕事をされている、したことがある方にはおすすめです。何故かは言えませんが、見ていてとても楽しいと思います。)


 またね。

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