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【イギリス留学体験記】ロンドンの交通事情。

 ロンドンは交通網が極めて充実している。

 その中でも特に、「UNDERGROUND」の名で知られる縦横無尽に張り巡らされた地下鉄網はロンドン中の至る所からアクセスができ、どんな場所にでも連れて行ってくれる。

 路線が複雑かといわれればそうでもない。日本ではスマホの乗り換え案内アプリに頼っている私も、ロンドンでは駅構内の路線図に目を通し、簡単に現在地と目的地をつなぐプランを見いだすことができる。

 
 UNDERGROUNDを利用する際の必需品は、何と言ってもOYSTER CARDだ。日本でいうSUICAやPASMOに当たるカードである。

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 「地球の歩き方」でロンドンの交通事情についてばっちり予習していた私は、空港に到着してから真っ先にこのカードを購入した。カード自体の値段は5ポンドと比較的安価であり、これを用いることでそれ以降の運賃がカード無しの場合と比べて半額になることを考えれば極めてコスパがいい。

 なぜOYSTERなのかということは私もロンドンに行く前から気になって調べたが、どうやら「THE WORLD IS YOUR OYSTER(なんでもあなたの思い通り)」という慣用句が起源らしい。地下鉄網の縦横無尽さを指して言っているのだろう。さらに調べるとこの慣用句、シェイクスピアの劇から取ったもののようだ。地下鉄のカードの名前がシェイクスピアに遡るとは、いかにも長い歴史と伝統に裏付けられたイギリスらしいではないか。 

 
 地下鉄に次いで私が頻繁に利用したのは、レンタル自転車だ。

 ロンドンでは町中に「SANTANDER CYCLE」のロゴが入ったレンタル自転車ステーションが点在している。各ステーションは自転車で5分の圏内に存在しており、「至る所」という表現がふさわしい。24時間の利用でたったの2ポンドしかかからず、コスパも極めていい。2010年、イギリスの現首相を務めるボリス・ジョンソン氏がロンドン市長だった時代に導入した制度だという。

 これを使わない手はないではないか。

 おかげで私はロンドン市内をレンタル自転車でわがもの顔で駆け回り、ロンドンの空気を胸いっぱいに吸いながら観光名所を制覇していくことができた。道路において自転車が占める地位は極めて高く、バイクと同じ扱いを受けて車道を堂々と走れる一方で、ひとたび自転車を降りて歩けば「歩行者」扱いで、自転車を引いて歩道をゆっくりと歩くことができる。メリットしかない。

 
 ところがこのレンタサイクル制度、一つ欠点がある。ステーションの空き具合が場所や時間帯によってかなりまばらで、予測不可能なのだ。事実私はあてにしていたステーションが満杯だったせいで授業に遅刻しかけた。だがスマホアプリを利用すればステーションの空き具合まで把握することができるらしい。この欠点さえ克服されるなら、SANTANDER CYCLEは無敵である。


 交通事情として他に述べることがあるとすれば、赤信号についてである。日本では「赤信号 みんなで渡れば怖くない」という言葉があるが、ロンドンではむしろ「赤信号 渡って何が悪い」という言葉の方がしっくりくる。一週間滞在して感じた範囲で述べるが、どうやらロンドンでは「車が通ってさえいなければ赤信号でも渡って良い」というのが社会常識のようだ。

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 車の視点に立って考えてみれば、歩行者がいつ飛び出してくるかわからないことに加えて、自転車も至る所走り回っている道路は恐怖でいっぱいに違いない。

 ロンドンでは絶対に自動車は運転しまいと心に決めた。

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