マジックの本を称賛するだけの文章(ルポールのカードマジック)

注意:この文章ではただ私が私の感じるままに、マジックの良書を褒めるだけの文章です。

ルポールのカードマジック

タイトル: 『ルポールのカードマジック』
著者: P.  ルポール
翻訳:高木重朗
出版年: 1991 年
ジャンル: カード

『ルポールのカードマジック』はPaul LePaul氏が1949年に発表した書籍『The Card Magic of Le Paul』を翻訳した書籍です。この書籍はルポール氏の作品をまとめた書籍となっています。

この書籍は宝石箱のような本だと思っています。綺麗な装丁とオーセンティックな内容が同居しており、一つの完成形にも見えます。ルポール氏のマジックはとてもダイレクトで明確なため文章になっていてもその良さがよく分かります。同時に今のマジックには無い特徴も含まれており、現代でも十分に通用するようなインパクトの強いマジックであると同時に、マジックの進化を感じるような書籍なのです。

1949年という時代を考えると、この時代のスライトの完成度に驚かされます。現代の人が読んでも新しい発見があるのではないでしょうか。
私はこの書籍を入手してから数年が経っていますが、今でも時折、改めて読み返すことで自身の知識を確認するのと同時に、今まで目を向けていなかった新しい発見をします。そういったスライトがふんだんに掲載されており、書籍の半分を占めています。特に、第8章がお気に入りでたった数ページの短い章の中に一生使える知識が記載されています。持っている人はぜひ、改めて第8章を含め本書を読み返して見てください。

第2部には「カード奇術」として21作品が掲載されていますが、前述の通りインパクトの強い作品が多いことが特徴です。特に、「エースの体操」は現代のマジックでも目にすることの多い傑作です。私は特に「不思議なすり替え」という作品を推薦したいと思います。この作品はトランスポジションの作品としてはミニマルと言えるほどシンプルでありながら、奥が深いものになっています。一つひとつの行動が綿密で意味のあるものになっているため、ちょうどステーキのようにシンプルな調理でありながらも味わいの深い作品になっているのです。

また、あまり話題に上がりませんが、「即席の破ったカードの復活」は本書の中でも隠れた名作だと思っています。この作品がなぜ話題に上がらないのかといえば、これは私の想像ですが、現代のフォーマットに合っていないからだと感じています。現代的な「破ったカードの復活」とは異なる手続きの中で行われていますが、ここにも彼の知性が光るものがあるのだと思っています。実際に本書を持っている人はどうか、今一度読んで実際にやってみてください。「破ったカードの復活」という作品に対する観点が変わるほどの面白さが隠れていると思っています。

そして、現代のマジックに無い特徴について言及すると、「逆を向くカードの手順」の中で顕著に見ることができます。何がどう違うのかにまではここでは言及しませんが、当時と今の常識の違いが含まれている点が非常に興味深いです。この違いは実際興味深く、歴史的な観点からも、マジックの実演という観点からも、構成という観点からも本件は見直すだけの価値があると思っています。私自身はそこにリソースを割くだけの余裕が無く、限定的な追求しかできていませんが、こういった活動の中で今後、追いかけていきたいテーマの一つです。

まとめると、『ルポールのカードマジック』は、珠玉のカードマジックが多く掲載された宝石箱のような書籍になっています。愛好家には一度は読んでいただきたい書籍であり、一晩は簡単に語り明かせるほどの魅力が詰まっています。

以上が『ルポールのカードマジック』について勝手に本を称賛した文章でした。この文章は決して書評ではありません。ただ褒めるだけの文章です。力不足ながらも、この本が持つ魅力の一片を伝えられれば幸いです。

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