私にとっての伝説のライブ


プロアマ問わず相当な本数のライブを観てきていますが、私の意識を変えてくれたライブがあります。
おそらく1990年頃だと思うのですが、当時はレコード会社で新人開発担当だったので全国を飛び回っていましたが、大阪担当の部下から「いいバンドがいるから観に来て欲しい」との連絡があり、大阪は十三(じゅうそう)のファンダンゴという老舗のライブハウスに行ったのです。

部下が観に来て欲しいと言っていたバンドは「ウルフルズ」で、三組の対バンのトップバッターとして勢いやエネルギーがある素晴らしいライブを観せてくれました。
そして二番目の出演者はお笑いタレントの「テント」さん。
出番を終えたウルフルズのメンバーも、客席でテントさんのコントに腹を抱えて笑っていたことを覚えています。
そして最後の登場は「モダンチョキチョキズ」。
ボーカルの濱田マリちゃんを中心に大人数のブラスセクションが加わったバンドで、ステージ上もギュウギュウ詰めでしたが素晴らしいパフォーマンスを観せてくれました。
実はこの日に「モダンチョキチョキズ」をスカウトし、デビューまでフォローをすることになったのです。

今では音楽とお笑いの融合なんて当たり前の話ですが、当時東京ではライブハウスにお笑い芸人が出るなんてありえない時代でした。
ジャンルは違えど3組〜4組のバンドが対バンを組むというスタイルが主流でしたから、3組の真ん中がコントというのはメチャクチャ衝撃でした。
関西ならではだなぁと思いましたが、「これは面白い!」と感じた私は、下北沢に出来たばかりの北沢タウンホールで「ばぶるあわぁ〜」というイベントを立ち上げて、半年間で計6回の公演を行いました。

お笑い芸人は「バッファロー吾郎」や「中川家」といった若手を中心に大阪から招き、バンドは「モダンチョキチョキズ」「すかんち」「真心ブラザーズ」や大御所の「キングトーンズ」など、とてもバラエティーに富んだ楽しいイベントとなりました。
基本的には新人開発が目的なので、出演させる新人アーティストを探していたのですが、噂を聞きつけた人たちがいろんなアーティストや芸人を紹介してくれるんです。
出演には至りませんでしたが、「極楽とんぼ」のお二人もこの時に紹介されてお会いしています。

スタートした時は、モダンチョキチョキズが大阪のノリでギャグを飛ばしても、会場が引いてしまいメンバーが落ち込むといった場面もあり、今ではボケやツッコミは誰でも理解していますが、当時東京では「え?何この人たち」という反応でした(笑)


イベント的には成功を収めましたが、きっかけは大阪のファンダンゴで観たライブだったのです。
この日にライブを観たことで、ロックバンドとお笑いが同居しててかまわないのだというヒントを得、その後のイベント制作に大きく影響しました。

なぜ今日この記事を書いたかというと、今朝のニュースでテントさんが交通事故で亡くなられたことを知ったからです。
ある意味マニアックかもしれないけど、独特の語り口やギャグで笑わせてくれるテントさんが大好きでした。
本当に残念です。
ご冥福をお祈りいたします。




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