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寿司の進化を漫画で読もう『寿エンパイア』

海外の寿司店で人気があるカリフォルニアロール寿司がテレビとかで取り上げられると稀に「あんなのは本物の寿司じゃない」なんて事を言う人もいるけれど、自分はどちらかと言えば肯定派です。

なぜなら、日本料理の歴史を紐解けば、海外から入って来た料理を日本風にアレンジして取り入れる事で、料理への幅と深さを出し進めてきた食文化が日本にはあるからです。

今や国民食の代表と言っても過言ではない「カレー」も「ラーメン」も、元を辿れば外国から伝わった料理を日本人好みにアレンジを加えた料理であり、その原型となった国の料理とは大きくかけ離れたものになっている事もあります。けれど否定される事なく国民に愛され親しまれ食べられている。そんな料理が数多くあります。

日本【外国料理 → アレンジ → 外国風日本料理】
外国【日本料理 → アレンジ → 日本風外国料理】

前者はオッケーなのに後者は認めないというのは少し器量が狭すぎませんか?むしろ、個人的には寿司という日本の食文化が外国でも受け入れて貰えたと喜ぶべきなんじゃないかなと思います。

日本人が愛してやまない寿司は、今や国民食というだけではなく、世界の人々から愛され食べられる「SUSHI」というグローバルな料理として今なお進化しているのです。

しかし、歴史と伝統を重んじる日本の寿司職人達が試行錯誤と長い研鑽から作り出し洗練された寿司を、寿司の歴史の浅い国にそんなお手軽にアレンジされてたまるか!という気持ちも分かります。

日本の伝統料理か?海外の革新料理か?伝統か革命か

そんな世界の寿司職人達が己のプライドを賭け、バチバチに熱い戦いを繰り広げるのがこの漫画『寿エンパイア』なのです。

日本の料理界に燦然と君臨する
寿司の老舗 華山。
だが、その4代目華山剣蔵に
老いの影が忍び寄り、
寿司の帝国は静かに傾きつつあった。
亡き母親の足跡をたどって
ハワイからやってきた少年湧吾は、
華山の寿司職人となり、
熾烈な後継者争いに挑むこととなるが…

寿エンパイアあらすじより引用

この作品は主人公湧吾の寿司職人としての成長物語が本編ですが、その華山で働く切っ掛けとなった母親が過去に華山で起こしたとされる火事騒動を追うサスペンス部分、四代目の華山の店を継ぐのは血筋ではなく一番旨い寿司を握れる職人がなるべきとの発言から生まれた後継者争い。それら全てが渾然一体となってこの漫画の面白さになっている気がします。

そして作中には数多くの革新的な寿司が登場します。
3Dプリンターを駆使して作る3Dプリンター寿司の様な近未来寿司もあれば、海外や地方でしか食べられていない魚を使った寿司、寿司のネタといえば海水魚ですが淡水魚を使った寿司があったり、そもそもネタにはシャリという組合わせすら変えて出される寿司もあります。もはや寿司の定義とは一体?となる訳です。

そんな一風変わった寿司を握る職人達もまたクセの強いキャラクターをしています。作者のせきやてつじ先生の描く人物は目力がとにかく強い、目がギョロっとしている人物は間違いなく強キャラです。その中でも児島というとにかく嫌味を言ってやたらと主人公に絡んでくる嫌な奴が居るんですが、この児島、実はこの漫画一番の推しキャラです。

何でだよ!?と思った人、是非漫画読んでください。確かにめちゃくちゃ嫌な奴ではあるんですけど、しっかり自身がお手本を見せてからの嫌味だったり、それって遠まわしなアドバイスじゃないかって思ったりするんですよ。あとマメに主人公の勝負をチェックしていたりして、口では認めてないとか言ってるけど、一週回って好きなんじゃないか説まであります。番外編の流し料理人編もお薦めです。

そんな2人の直接対決が描かれる13巻発売まであと少し、これを機会に最新寿司漫画に触れてみませんか。うん、お寿司屋さん行きたくなって来た。

おまけ部分はまだ本編で描かれていない部分の考察をして13巻を待とうと思います。

華山の火事の犯人は母親なのか?

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