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嫉妬とかマウントとか

やだなぁ。

最近、柚木麻子さんの『伊藤くんA to E』という小説を読んだ。ここに出てくる2人の女性の関係性を見て、「あ〜この感じわかるわ〜私とあの子もこんなのあるわ〜」となったことを書きたい。

まず簡単に内容を書くと、伊藤くんを取り巻く5人の女性に関する物語で、もちろん恋愛を取り扱っていた。その1つに幼い頃から親友同士の聡子と実希が出てくるんだけど、一見気楽で楽しそうに見えるその関係性の、裏にある複雑さとかお互いの汚さが、すっっっごく嫌なやつだった。女としてすごく嫌悪感を抱いてしまった。

背が低くてバカで愛想が良くてすぐ股開くくせに、一度も愛されたことがないとか言う系の聡子と、美人で頭が良くて伊藤くんに叶わぬ片思いを続けているほど恋愛に不器用で、けど純粋が故のイタさも持ってて、貞操性とか不器用さにアイデンティティを認めているであろう実希。弱った伊藤くんにつけ込まれているだけなのに、恋人ごっこに浮かれている純粋な実希に対して、聡子は表では褒めながらも、内心引いていたりバカにしていたりする(結局伊藤くんを誘惑して股を開く、最悪)。奔放な性生活や薄い恋愛について語る聡子に対して、実希は表では親身になって相談に乗りながらも、「中身のないからっぽな女」と形容してしまう。これの何が気持ち悪いって、まず“純粋な恋愛を語る実希”も“奔放な性生活を語る聡子”も、そうやって自分と対照的な相手に語ることで、自分の優位性や相手への軽蔑をひっそりと半分無意識的に示していること。あともっともっと気持ち悪いのは、このマウンティングや軽蔑が、お互いに対する憧れやそこから生まれる嫉妬から来ている部分があること。恋愛を拗らせて重いことに悩んでいる実希は、たくさんの人に言い寄られて恋愛経験豊富な聡子に憧れ羨ましく思っていたし、それと反対に、仕事も中途半端で誰からも大事に扱ってもらえない聡子は、才色兼備で純粋な実希に憧れ羨ましく思っていた。

自分と違うものへの羨望

嫉妬

嫉妬心を解決するための軽蔑・嫌悪

相手と対照的な自分自身の優位性
(マウンティング)

この感じの流れ。うーん、きもいよね。人間のあらゆる感情の中で、一番汚い気がする。ここまで嫌悪感を抱いてしまうのには理由があって、それは私とある友達との関係性に似たようなものがあるから。恋愛に疎い私に対して「芯があってかっこいいよ」と過剰に褒めてくるくせに、「あの子って恋愛しないことにアイデンティティを見出してるんだよね」と他の友達のことを私に説明してきたビッチ。「本当モテるね!まあ遊ぶのもありなんじゃないかな」と言いながら、「こいつまさにサゲマンだな〜」と思っている私。すっごく省いたから雰囲気は伝わらないだろうけど、まあたまにぎすっとする時がある。こういう温度感って、多分お互い分かってるというか、なんか踏み込まないようにしてるだけで、分かり合えてないことは分かっている(?)というか… この前私が「アプリでいい人いた!」って言った時の面白くなさそうな顔、忘れられないなーーー。伊藤くんとの話をする実希に対して、聡子が感じていたものと同じようなものを心に持ってたんだろうな〜と読みながら思った。

私もその子にちょっとした憧れがあるから、嫉妬したり否定したりしたくなっちゃうんだろうなと。それもすごく嫌だ。結局疎遠になった実希と聡子を見て、私もその子と距離を置くべきかなと思っている。悩ましい。

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