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全部写さない、ボクの写真

ボクの写真撮影におけるバックボーンにあるのは「建築」。
建築写真を撮るためにボクはフィルムカメラを使っていたし、仕事として建築設計に関わってきた関係から、写真を通して建物の魅力を伝える必要があると思っていた。

そしてそれはどうしても広角写真を使って建物全体(もしくは室内全体)を写すことに注力する考えになってた。
でもデジタルカメラを使うようになって、写真がもっと身近なものに変わりHIROMIXみたいな新しい写真の形をボク自身も撮れるようになってきたけど、それでもやっぱり「全部写さないとダメ」の枷にボク自身がハマっている気がした。


写りすぎないカメラ

ボクが最近よく使っているカメラといえば、ライカM10やRICOH GRなんだけど、どれもすごくきれいに写るカメラでパンフォーカスに設定すれば簡単にきれいな写真を量産できる。

いい写真も撮れるし気に入っているんだけど、片方でプラスティックでできたおもちゃみたいなフィルムカメラも使ってる。
それがKodak EKTAR H35N。

ボクはこれを発売と同時に購入して使い続けてきた。F値固定、シャッタースピードも1/100固定のカメラ。
しっかり脇を閉めて撮らないとすぐにブレてしまうし、被写体が動いていると被写体ブレも発生する。パンフォーカスなのにどこにもピントが合わないと思ったら、狙い通りにピントが合ってる時もある。
つまり自分の思い通りにならないカメラ。

別のいい言い方をするなら『写りすぎないカメラ』とも呼んでいいのかもしれない。

とあるオファーと作品撮影のプレッシャー

これまで何も考えずにシャッターフィーリング好きだからって理由だけで写真を撮り続けてきたようなボクだけど、ありがたいことにとあるオファーを受けてこの春はEKTAR H35Nで写真を撮り続けてきた。

なんとか納得してもらえる写真を撮らないと!と意気込んでみても、H35Nは思い通りにならないカメラだから心配で心配で、、、
でもだからこそ肩の力を抜いてもっと気楽に『写りすぎないカメラ』の考えでシャッターを押していこう!って頭を切り替えた瞬間から、ボクの写真は一段良くなったような気がした。

「写らなくてもいいや」気持ちになった瞬間に、いろんなものが見えてくる「写真」ってやっぱり奥が深いなぁって思う。だったどれもはっきり写ってないのにすごくいいんだよね。

南禅寺のブルーボトルでピントは合ってないけど笑っているのはわかるよね
被写体ブレも手ブレもしてるけどそれが逆に躍動感を感じる
タバコ吸ってるおじさん ポーズを取ってくれてる
全てがブレてるのにブレ幅のおかげで奥行きが生まれてる不思議な写真
ぶちゃいくなワンコ


シャッターを押すことが一番大事

下手でも、よく写らないカメラでもいいから、シャッターを押すことがボクは一番大切なんだなって改めて思った。
ピンぼけでもいい、ブレててもいい、でもその空間にある楽しさや気持ちよさは確実に写真から伝わってくるはずだから。

そう考えた時、カメラのスペックや解像度を追い求めているボクたちカメクラの存在意義ってなんなんだろうって思っちゃうよね💦

でもそれはもしかしたら「海外旅行に行く」と言ってハワイに行く人もいれば韓国に行く人もいれば、アフリカに行く人もいるかもしれない。本当にもしかしたら埼玉に行く人もいるかもしれない。
それくらい、カメラで成し遂げようとしているものは人によって違うんだろうし、それはそれでいいのかもしれないね。

そして
「写真って深いなぁ」
ってことを実感しながら、今日もボクは写真を撮り続けるよ。

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