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US MBA受験とはなんだったのか?

2022年秋口から1年半近くかけて準備をしてきた、2024年入学目標のUS MBA受験が全敗で終わってしまいました。出願校だった、Stanford, Harvard, UC Berkeley, MIT, Columbiaの5校はいずれも面接にすら、たどり着けませんでした。その理由について、私なりに考えてみました。

そもそもMBA受験は入学審査官を説得するゲームであると、私は考えています。保守的な入学審査官の好みに合わせるには、如何に自身が"Change the World"な野望をいだいているか以上に、自身の長所を最大限にアピールできるかどうかが肝となります。そのためには、入学審査官が求める"すべらない話"を披露できる優秀さと他の出願者との差別化につながる「チャレンジ精神」を兼ね備えていることを示す必要があります。

※ここからは私がどのようなMBA受験を経てきたかを一読したうえで、読み進めていただくことをお勧めします。


カウンセラーからも何度も"Brands like brands"という言葉を聞かされました。アラムナイの方からも、トップスクールになればなるほど"キラキラ系"の出願者が多いとの指摘を受けました。つまり、MBA受験では自身の魅力をブランドとして、いかに効果的にパッケージングできるかが勝負なのだと理解しました。入学審査官の立場から見れば、安定したキャリアと実績を築きながらも、新たなチャレンジへの意欲と能力が高い方を選びたいはずです。私はこの実態に即して取り組む必要があったと思います。特に今はUSのスタートアップのマーケットがかなり冷え込んでいるタイミングでもあったので、手堅さをアピールすることが大事だったと思います。

受験を始めた当初は、日本初のAI医療機器の事業化を成し遂げた実績があれば、十分な魅力になると勘違いしていました。確かに国内業界ではニュースになりました。しかし、MBA受験のコンペティターである商社出身者や戦略コンサルタント出身者の中にも、AIプロジェクトに携わった方が多数いました。そのため、それだけでは差別化が難しいというフィードバックを受けたのです。そこで、後半はスタートアップ起業の経験をアピールポイントに切り替えましたが、スタートアップのグローバル展開というかなり不確実な出口戦略を掲げてしまい、入学審査官が求める"新たな挑戦"の枠から外れてしまった可能性があります。

加えて、フルブライト奨学金のような後ろ盾がなく、スコアも伸び悩み、士業のような分かりやすい専門性もなく、30歳を超え、国際経験も乏しかったことから、エッセイの力だけでこの弱みを補うのは無理があったのだと気づかされました。志望校次第では決して不利な条件ばかりではありませんが、トップ校を目指す以上、自身の魅力をいかに効果的にアピールできるかを常に意識し、勝ち筋があるかどうかを冷静に判断する必要がありました。

自分の考えに固執しすぎたばかりに、入学審査官はおろか、家族すら説得できず、無理を押し付けてしまったのは反省材料です。とはいえ、長年の夢だったUS MBAへの挑戦を続けられたことは、私なりに全力を尽くせた選択だったと納得しています。MBAは手段に過ぎず、夢や目的そのものではありません。結果はつれなかったものの、この道のりそのものに誇りを持てたことは幸せなことでした。私は受験プロセスの中で、自分がここ20年間がっつり取り組んでいきたいテーマが何かを言語化することができたことは、人生の中での大きな資産になったと捉えています

ちなみに、今回は主にMBA受験は"自己アピール合戦"であると述べましたが、必ずしも大企業出身やトップスコアがないと合格できないわけではありません。例えば、米国出身の31歳、GMAT 640点、ヘルスケア業界の非専門職であったものの、ヘルスケア・ベンチャー出身者がStanford GSBを2022年に卒業されています。自分には十分な魅力がないと過度に自虐的になる必要はなく、熱意と根気さえあれば、低確率でも挑戦する価値は十分にあると私は考えています。

私自身、総合選抜型の入試は初めての経験でしたが、一般入試とはまた違った厳しさを体感できただけでも、取り組む価値があったと感じています。この挑戦を支えてくれた家族、職場の同僚・協力者、カウンセラー、アラムナイ・在校生の皆さまに感謝の意を表します。道半ばではありますが、この経験の共有が読者の新たな一歩を後押しすることができれば幸いです。

私自身は、海外に出ていくことが、あと1年以上先になってしまいましたが、私が人生をかけて取り組むテーマたる北極星を見つけることができました。私はスタートアップ・育児と並行しながら、海外MPH(公衆衛生学修士)の受験に向けて再度踏み出すことに決めました。MPH受験の様子はまたおいおい共有していきます。

みなさん、それぞれの分野で未来をぶち抜いていきましょう

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