由布岳の輝き

 四国愛媛から一路湯布院を目指す。1時間のフェリー乗船の後、一般道路から高速道路に乗る。しかし、あいにくの雪模様の中、高速道路は通行止めに。仕方なく高速道路を降り、車のナビを頼りに別ルートを行くこととなった。
 道は山道、山越えである。当然の如く、雪は深い。しかし、私の車は四輪駆動でスタッドレスタイヤをはき、南国愛媛にもかかわらず、寒冷地仕様の車だ。かつてタイヤチェーンを装着するのに2時間かけた上に断念した自分は、車を買うなら四駆と固く心に誓っていた。このような天候の1日のために、四駆の車に乗っているといっても過言ではない。路肩にはチェーンを準備する車や放置された車が止まっている。若干の優越感を感じながら、私はそれらの車を追い抜いていった。
 やがて突然視界が開け、雄大な由布岳が姿を現す。すでに雪は止み、澄み切った青空を背景に、山腹に積もった雪が太陽に照らされ、光り輝いている。さらには冷気がスノーフレイクのようにキラキラと由布岳に降り注いでいた。
 思わず私は車を降り、写真を撮った。写真にさほど興味のない私が、である。それほど初めて見た由布岳は、神々しく光輝いていた。

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