「ワイルドターキー、ロックで」

 バーボンはロックに限る。やや太めのグラスに氷を入れ、コトコトと手で揺らす。しばらくなじませた後、しばし口の中に含み、そのまま息を吸い込む。気化したアルコール分が肺の中に入り、続いてバーボン特有の苦味を感じながら、アルコールが体の中に染み渡る。キラキラと輝くグラスを眺めながら、だんだんと自分が壊れていくのが、心地良かった。
 あれから40年、今ではロックはおろか、水で十分だ。

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