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イタリアのTVドラマ「パラディーゾ〜恋するデパート〜」にどハマりしました

この春、CSでやっていた「パラディーゾ〜恋するデパート〜」というイタリアのドラマにどハマりしていました。

イタリア語の番組が見たかったのでなんとなく録画したのがきっかけです。見る前は女性向けの甘ったるいメロドラマなんだろうなと思っていたのですが、そうではありませんでした。実に骨太だったのです。

イタリアでの放送は2015年スタート、RAIつまりイタリア公共放送局のゴールデンタイムでした。NHKの大河ドラマほどとは言いませんが、予算はかかっていそう。

シーズン1と2それぞれ20話あり、全40話、一気に見てしまいました。

快活な女性テレーザは、不誠実な婚約者から逃げるように田舎シチリアからミラノへやって来る。偶然立ち寄ったミラノの高級百貨店「パラダイス」で販売員として働くことになったテレーザは、持ち前のファッションセンスと発想力で百貨店の数々の危機を救う。
そんななか、お互いの第一印象が最悪だった「パラダイス」オーナーのピエトロとの関係性にも徐々に変化が・・・。
物語の舞台は、1950~60年代のイタリア・ミラノの高級百貨店。恋に仕事にファッションに!女性の夢と憧れがいっぱいに詰まった、観るだけで元気になれるサクセス・ラブストーリー!(女性チャンネル / LaLa TV 特設サイトより)

大まかな流れはあらすじを読んでもらうとして、個人的にハマった理由は以下の通りです。

1950年代のミラノ

まず百貨店にまつわるビジネス、モーダが右肩上がり。戦後まもない時代でありながら、もちろんですがやっていることは現代と一緒。銀行に金を借りたり、テレビの出始めなので、CMを作ったり。イベントでも初めてのことにチャレンジします。母の日やクリスマス、アメリカ文化、炭鉱事故の慰霊、東欧の戦地への寄付など。

登場人物が着ている服もおしゃれです。それでも当時既製品の服は存在しなかったオーダーメイドの時代、工場を買収して自家製品を作り始めます。

ミラノの名所も効果的に登場します。ドゥオーモ(1813年完成の大聖堂)やガッレリア(1860年代からあるショッピング・アーケード)は今ロケで使っても違和感がないのは、歴史ある街並みが残っているイタリアならではですね。

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恋愛が情熱的

そこに恋愛が複雑に絡みます。アモーレ(愛)の国ですから情熱たっぷり。登場人物全員美男美女。

まず主人公のテレーザの魅力的。マンガ「ワンピース」のルフィみたいに心が強い。太陽のように明るくて常に前向き、才能に溢れ、正しい方向に導いてくれます。

そのテレーザを奪い合う男性二人、ピエトロとヴィットリオ。デパートの経営者ピエトロはアメリカ帰りの野心家。広報担当のヴィットリオは才能豊かなジェントルマン。どちらも応援したくなります。

その三角関係に、銀行家の娘アンドレイーナ、ピエトロの元妻でアメリカ人のローズが出てきて、人間関係は複雑です。ドロドロしちゃいそうなものですが、それでもテレーザの純真が勝つ。そこは清々しいくらいです。

多様なテーマ

他にも様々なテーマを描きます。

家父長制、南北格差、第二次世界大戦、捕虜、貧富の差、フェミニズム、同性愛、キリスト教、貴族、マフィア、ドンパチ、裏切り、復讐、シングルマザー、ロックフェラー家、ジロ・デ・イタリア、クイズ番組(自分が子どもの時にテレビで見ていたマイク・ボンジョルノ、日本のみのもんた?も登場)、・・・なんでもありです。

それでも物語が破綻しないのは、脚本の強さと脇役たちの演技のおかげでしょう。きっとこんな人がその時代にいたんだろうなと思わせます。

シーズン3より原作

そんな40話の最後は衝撃的でした。ハッピーエンドではないことだけ、ここには記しておきます。

続きが気になりすぐに検索しました。シーズン2までゴールデンタイムの毎週放送だったのが、シーズン3から毎日放送する「昼ドラ」になってしまいました。

YouTubeにあるダイジェストを見て気持ちが冷めてしまいました。それまでの登場人物はヴィットリオと恋人のアンドレイーナの二人しか残っておらず、他はどこか垢抜けており、50年代感なし。シーズン1と2の生き生きしていた素朴な人物たちはもういません。

それより、原作があったことを知ります。フランス人作家エミール・ゾラ(1840-1902)の『ボヌール・デ・ダム百貨店』です。こちらは読みたくなります。

イタリアでの放送はその後もシーズン5まで続いています。しかしながらシーズン3以降の日本での放送は特段期待しません。

シーズン1と2の思い出を胸に、その後のストーリーは想像に任せ、ロスと向き合い、いつかゾラの小説にチャレンジしたいと思います。


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