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電動パン切り包丁で断面料理に目覚める

上野のパンダと電動パン切り包丁の深い関係

 友人から電動パン切り包丁の話を聞いたのは、上野動物公園でパンダ2巡目観覧70分待ちの列に並んでいる時だった。ひまつぶしの雑談の中でK子が「テレビショッピングで見て衝動買いをしたら、すごい切れ味なの。特にふわふわの焼き立パンで威力を発揮するのよね」と話してくれたのだ。

上野動物園では、入園するとすぐにパンダ舎でパンダが見学できるが初回1列目での見学は撮影禁止。
2巡目2列目は撮影可能だが、たいてい60〜120分待ちになる。私の場合は70分待ちであった。
1巡目後ろ姿、2巡目も1巡目とほぼ同じ同じ後ろ姿だった。

ふわふわの焼き立て食パンをいとも簡単に薄切りに

 友人の軽妙なトークに乗せられて電動パン切り包丁を購入してみたら、確かに近所のパン屋の焼き立て食パンが面白いように切れる。普通のパン切り包丁はナイフを前後に動かして切るのでパンが潰れてしまったり、垂直がブレて途中から厚さが変わってしまったりする。だが電動パン切り包丁は2枚刃構造になっていて、2枚の刃が入れ違いに小刻みに前後してものが切れるので、下方向に軽く押すだけでどんどん切れていくところがミソだ。焼き立てパンがいとも簡単に薄切りにできる意味は大きい。ベーカリーの焼き立て食パンを薄切りにして、スライスしたきゅうりを挟んだだけでも、「あれー、なんだかおいしい!」と思わず独り言が漏れるほどの絶品サンドイッチになる。
 そうしていい気になってトマトサンドやチーズサンドを作っていて気づいたのだが、刃の前後の移動幅や、上からの圧が少ないということは、すなわち断面も美しく仕上がる。そのことに着眼してから、電動パン切り包丁を使う醍醐味は、焼き立て食パンを薄切りにして食べるという段階から、断面の美しさを追求するというフェーズへと変化した。

初期の段階ではパンを切ることそのものが醍醐味。

断面映えのワンパクサンド

 まず作ったのは、俗にワンパンクサンドといわれる盛り盛りサンドイッチだ。具材をどんだけ盛り盛りに盛っても崩れないでカットできるので、食べやすいとか食べにくといったことは度外視して、顎がはずれるくらいに具材を盛り込むことができる。

ワンパクサンド初回目にしては意外とうまくいったワンパクサンド。
おそらく難易度は高くないのかもしれない。
怒涛の炭水化物、焼きそばワンパクサンド

ご飯ものも断面で魅せる

 海苔でご飯を包む「おにぎらず」も、断面に海苔がくっついたり、具材がズレたりせずに美しい仕上がりになる。太巻きもしかりだ。

不思議なことに「おにぎらず」は、どんな具材を包んでも九分九厘おいしく仕上がる。
ぐるぐる海苔巻き。酢飯にさえすれば、具は何にしてもとりあえず寿司っぽくなる。

ファンタスティックなフルーツサンド

 断面に興味を持って調べたところ、断面映え、断面萌え界隈で話題となっているのがフルーツサンドだと知った。確かに、アーティスティックインプレションの高さではワンパクサンドやおにぎらずを凌駕すると言っても過言ではない。ただし作ってわかったのは、断面という視点でいえばワンパクサンドやおにぎらずに比べてフルーツサンドは難易度が高い。電動パン切り包丁といえども、ホイップクリームが柔らかくて、切っていて崩れやすい。また切った後、どうしてもフルーツにホイップクリームがくっついてしまうのも残念なポイントだ。この点は引き続き改善策を考えていかねばなるまい。

フルーツサンド1回目。クリームが均一になっていないところに悪戦苦闘の跡が見える。
フルーツサンド2回目。作り方のコツがわかったが、迫力という点では1回目の方が勝る。
リベンジしようとして1回目の方が勢いがあってよかったというのはえてしてありがちだ。
フルーツサンド2回目。切った後、フルーツにホイップクリームがついてしまうのはどうにかしたい。

断面で巡る世界

 断面がきれいな料理という観点で世界の料理を調べてみたら、スウェーデンに「スモーガストルタ」という「甘くないサンドイッチケーキ」があることを知った。そこで少しアレンジを加えて、甘いサンドイッチケーキを作ってみた。上述のフルーツサンドと同様に断面にホイップクリームがついてそこは納得がいかないのだが、「スモーガストルタ」をきっかけにして、地域特有の断面料理を知りたいという欲求が目覚めた。例えば、千葉県房総には太巻き祭り寿司、韓国にはキンパなどがある。こうなったら「電動パン切り包丁」からの、「断面料理」からの、「断面で知る世界や地域」だ。どうやら電動パン切り包丁は、新しい楽しみをもたらしてくれたようだ。

サンドイッチケーキ


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