新シリーズ 【2つめのPOV】企画説明:後編その5(No.0139)


後編その4のつづき


前回のパターンは大変苦労しましたが、今回のものも簡単にはいきそうにありません。


パターン〈ホロウマンのネガフィルム〉



「声:1」


ああ、もういい加減にしろ
いつまでもいつまでも、同じことばかり言ってきやがって面倒くさい
もう諦めろよ まるで全部俺のせいみたいに
どいつもこいつも文句ばっか言いやがって
俺が考えたとでも思ってんのか
ふざけるな 俺のアイデアなわけ無いだろ 全部書いてあるんだ
俺がこんなもの書くわけ無いだろ こうしろって言われてるだけだ
もう分かるだろいい加減よ 俺たちが決めてんじゃねえんだよ
そうしろって言われてるんだよ そうしないといけない約束なんだよ
破るわけにはいかないんだよ 無能として扱われるだけじゃない このさき生きていく事が出来なくなるんだ
この国になんかもういる場所はない そんなことこっちが一番良く知っている こっちから願い下げだ
だからさっさと約束を 契約を進めていきたいんだよ なのに下らない邪魔ばっかして足を引っ張りやがって
大体気づかねえのかよ こんなこと俺たちだけで出来るわけねえだろ 俺たちが望むわけねえだろ
一人勝手に進んだり決めたり出来ねえんだよ 子供じゃねえんだから解るだろそんくらいよぉ
俺はただ指示通り動いて喋ってるだけだ だから予め聞いてくることを提出させてるんだろうが
ああくそ 面白くない 何も面白くない 最近はもう映画なんか観る気もしない どうせ最近のやつはどれもこれもつまらない 下らないものばっかだ
飯もまずい 酒も美味くない ああイライラする 薬がなきゃ眠れやしない しかも最近は効きが悪い 安物よこしやがって ろくなことがない
早いところ約束を果たしてサッサと辞めるぞ あとはどうにでも勝手にしろ 知ったことか どうでもいい バカバカしい 
ドバイに住むぞ
マスコミなんか絶対に近づけない世界で残りをノンビリと誰にも邪魔されずに過ごすぞ あーもう知ったことか
金は腐るほどある 何も心配は要らない 女だって好き勝手さ あんな女房なんかの顔を見ずに過ごせる
しかし医者は日本じゃないと あの医者じゃなきゃだめだよな くそ そのためにいちいち戻ってくるのかよ 面倒くさい
ドバイは日本街はあるのかな 日本語だけで生活できる場所に住みたいがあったかな 英語なんか出来るわけない 飯も普通のカツカレーとかあるのか
蕎麦やラーメンはあるのか そういえば記憶にないな プールはあったな でかいジムやらいい感じのレストランもあったが しかしそんなのどうでもいいな
どうせ泳がない ジムなんか行かないしああいうところのレストランは面倒くさい かえって疲れる 味も嫌いだ
酒も あそこはイスラム圏だし 飲めはしたはずだが しかしどこでもって訳ではなかったな
ああ そう考えると映画館だって英語じゃないのか アラビア語か くそ あとは何があるんだ 競馬か どうでもいい 馬なんか知るか
女だって今更どうでもいい もう身体はついていかない 大体日本語の話せる女なんかいるのか
ああ イライラする 何だよ こんなに必死になって頑張っているのに そのあとのご褒美もロクなものがない
大体なんでこの俺が日本を捨ててあんなクソ暑い砂漠に逃げなきゃいけねえんだよ
くそ くそ ああイライラする 薬はどうした 約束をずっと遅れているぞ 早く届けろ 量も少ないぞ くそ
ああ 頭が痛い 全身がビリビリする 身体も重い 痩せなきゃ いや知ったことか 食うこと以外に何があるんだ
ああ またしても山程マスコミが構えていやがる 眩しいだろ そんなところから写真撮るな この野郎
人を誰だと思ってるんだ マイクを向けたら相手するとでも思ってんのか ナメやがって
ああ 腹が立つ ちきしょう いいかげんにしろ
なんでいつまでも 俺のマスクだけ小さいんだよ


「声:1」
おわり


つづく


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