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Bike Training Tips

今回は、当方がデュアスロン(Run-Bike-Run)競技、トライアスロン競技に取り組んでいた時の基本的なバイクトレーニングプログラムをご紹介します。

当時、当方は普通の会社員として通常勤務をしていましたので、トレーニングに割ける時間に限りがあり、限りある時間の中で効率的なトレーニングを実施しようと試行錯誤していました。

(それでも職場の理解もあり昼休みに1時間のトレーニング時間を確保出来たのは恵まれていたのではないかと思いますが。。。)

試行錯誤を経て、効率、効果を追求した結果として当方のバイクトレーニングは全てインドアで行うようにし、週4回の(バイク)トレーニングを行なっていました。

そして、ハートレイトモニターを活用し運動強度はJack Daniels(PhD)の理論等を参考に予備心拍数(Heart Rate Reserve)を用いて設定していましたが、特に先行研究等を参考にバイクはランよりも心拍数が上がりにくいという特性を考慮し、算出したターゲットハートレイトより10拍低い値で運動強度を設定するようにしていました。

●補足:
Jack Daniels(PhD)の理論はランニングに関するものですが、持久系アスリートの持久系トレーニングにおける運動強度の設定は概ねJack Daniels(PhD)の理論を当てはめて考えることが可能だと考えます。


●参考:Daniel's Running Formulaより

[Easy]
Intensity;59%-74%VO2max
Time;30min-150min
Frequency;25%-30%/week

[Marathon]
Intensity;75%-84%VO2max
Time;40min-110min
Frequency;15%-20%/week

[Threshold]
Intensity;83%-88%VO2max
Time;-20min or 5-20min
Work Rest Ratio;5:1
Frequency;10%/week

[Interval]
Intensity;95%-100%VO2max
Time;-5min
Work Rest Ratio;1:1
Frequency;8%/week

[Repetition]
Intensity;105%-120%VO2max
Time;-2min
Work Rest Ratio;1:2-3
Frequency;5%/week


*%VO2maxと%HRRは概ね同一(例:80%VO2max = 80%HRR)であることが明らかにされていることから、当方は%HRRを用いて運動強度を設定していました。

●参考:最大酸素摂取量(VO2max)と心拍数の関係については以下の記事も参照下さい。

また、ケイデンス(ペダル回転数)も徹底的に設定・管理し長距離サイクリストの平均的なケイデンスを参考に平均90rpm以上のケイデンスを維持するようにしていました。

●補足:
(長距離)サイクリストの平均的なケイデンスは90-110rpmであることが先行研究(1-4)等によって報告されていますが、ケイデンスの違いによって発揮される筋力が異なる可能性があること(5)、動員される筋線維が異なること(6)、が報告されていることから考えれば、一定の仕事率(例えば200W)でぺダリング運動を行った場合、高回転ぺダリングよりも低回転ぺダリングの方が発揮される筋力が大きく筋疲労が生じやすい可能性があり、結果として多くのサイクリストは筋疲労が生じにくいと考えられる高回転ぺダリングを用いていることが推察されます。

●参考:バイクのケイデンスに関しては以下の記事も参照下さい。

そして、トライアスロン競技においてはバイクパートの後にランパートがあり、バイクパートでの下肢の筋疲労を極力抑えるために高回転ぺダリングによってスピードを維持する能力を向上させる必要があると共にウエイトトレーニングによって下肢の筋力そのものを向上させておく(*)必要があるといえます。

*下肢の筋力そのものを向上させることでぺダリング運動中に発揮される筋力に余裕が生じると考えられる。

●参考:トライアスロン競技におけるランパートに関しては以下の記事も参照下さい。

トレーニング頻度の設定(4回/週)は先行研究等を参考に設定していましたが、特にJack Daniels(PhD)の理論を参考に設定していました。

以上を考慮して計画したトレーニングプログラムを以下に示します。

"Easy Spinning"
Intensity;60%HRR(Heart Rate Reserve)-10bpm
Time;60min
Cadence;90rpm-100rpm
Frequency;2 times/week

"Pace"
Intensity;70%-80%HRR-10bpm
Time;60min
Cadence;90rpm
Frequency;1 times/week

"Threshold"
W-up:60%HRR-10bpm/10min/100rpm

Work1:85%HRR-10bpm/5min/90-100rpm
Rest1:50%HRR-10bpm/1min/90rpm
Work2:85%HRR-10bpm/5min/90-100rpm
Rest2:50%HRR-10bpm/1min/90rpm
Work3:85%HRR-10bpm/5min/90-100rpm
Rest3:50%HRR-10bpm/1min/90rpm
Work4:85%HRR-10bpm/5min/90-100rpm
Rest4:50%HRR-10bpm/1min/90rpm
Work5:85%HRR-10bpm/5min/90-100rpm
Rest5:50%HRR-10bpm/1min/90rpm
Work5:85%HRR-10bpm/5min/90-100rpm

Down:60%HRR-10bpm/10min/90rpm

Frequency;1 times/week

*この3つのトレーニングカテゴリーを以下のトレーニングスケジュールで実施。

Mon:Easy Spinning
Wed:Pace
Fri:Easy Spinning
Sat:Threshold

以上、参考になれば幸いです。

(1) Hagberg J M,Mullin J P, Bahrke M,Limburg J:Physiological profiles and selected psychological characteristic of national class American cyclists. J Sports Med 19;341-346,1979.

(2) Patterson R P,Moreno M I:Bicycle pedalling forces as a function of pedalling rate and power output Med Sci Sports Exerc 22;512-516,1990.

(3) Sargeant A J:Human power output and muscle fatigue. Int J Sports Med 15;116-121,1994.

(4) Marsh A P,Martin P E:Effect of cycling experience,aerobic power, and power output on preferred
and most economical cycling cadences. Med Sci Sports Exerc 29;1225-1232,1997.

(5)Redfield R,Hull M L:On the relation between joint moments and pedalling rates at constant power in bicycling. J Biomechanics 19;317-329,1986.

(6)Ahlquist L E,Bassett Jr D R,Sufit R,Nagle F J,Thomas D P:The effect of pedaling frequencyon glycogen depletion rates in type I and type II quadriceps muscle fibers during submaximal cycling exercise. Eur J Appl Physiol 65;360-364,1992.


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