Polarized Trainingモデルに関して

海外のTriathlete.comというサイトに、いわゆる「Polarized Trainingモデル」に関する記事(下記)が掲載されていました。

Polarized Trainingモデルとは、Stephen Seilerによって提唱されたモデルであり、トップレベルの持久系アスリートのトレーニング内容を分析した結果、トレーニング(ボリューム)全体の80%が低強度トレーニング、残り20%が閾値トレーニング(中強度トレーニング)及び高強度トレーニングによって構成されていたことに基づくモデルです(1)。

このPolarized Trainingモデルのトレーニング効果を検証した研究(2)では、Polarized Trainingモデルに基づくトレーニングによって、最大酸素摂取量や漸増負荷運動テストにおける疲労困憊に至るまでの運動時間、等の向上が確認されており、競技を問わず持久系アスリートのトレーニングプログラム(モデル)としては最も効果的であると考えられています。

その一方で、上記の記事でも述べられているようにレクレーショナルレベルのトライアスリートのトレーニング内容を分析すると必ずしもPolarized Trainingモデルに当てはまる内容ではなかったという報告もあり、Polarized Trainingモデルはトップアスリートのみに当てはまるトレーニングモデルではないかと思われがちなのですが、レクレーションレベルの持久系アスリートのトレーニング量は基本的に少なく、少ないトレーニング量を「補うために」自ずとトレーニング強度を上げてしまい、中強度トレーニングの割合が多くなることで高強度トレーニングの割合も低くなり、中強度で単調なトレーニングが続いてしまっていることが推察されることから(中強度で単調なトレーニングがもたらす弊害については以下の記事も参照下さい。)、トップアスリートに限らずレクレーショナルレベルのアスリートにとってもPolarized Trainingモデルが最適であると考えることが出来ます。

以上を踏まえ、上記の記事(How To Train The 80/20 Way)をざっくりとまとめると(一部、補足解説、個人的見解も含む)・・・

・すべての持久系競技、すべてのレベルの持久系アスリートのトレーニングは、トレーニング全体(ボリューム)の80%を低強度トレーニング、残り20%を中強度(閾値)トレーニングおよび高強度トレーニングという割合で構成すると最もトレーニング効果が高い。

・低強度トレーニングと中強度トレーニングの境界は、血中乳酸濃度レベルでいえば2mM、換気性作業閾値でいえば”first ventilatory threshold”となり、概ね77%HR maxに相当する強度となる。

・中強度トレーニングと高強度トレーニングの境界は、血中乳酸濃度でいえば4mM、換気性作業閾値でいえば”second ventilatory threshold”となり、概ね92%HR maxに相当する強度となる。

・高強度トレーニングは、概ね90%VO2maxに相当する強度でのトレーニングとなる。

・トレーニングボリュームは距離ではなく時間で管理する。(Swimの場合は距離で管理せざるを得ないが、その場合は1週間当たりの総泳距離の75%を低強度トレーニングとする。)

・トレーニング計画とトレーニング実行の間には必ずギャップが生じる。特に、低強度トレーニングを実施するにあたっては「ペースが遅すぎるんじゃないか?強度が低すぎるんじゃないか?」という思い込みから自ずと強度が上がり過ぎてしまい低強度トレーニングの範囲を超えてしまうことが多いので注意が必要である。

・上記を防ぐためには、ハートレイトモニターを使用した心拍数のモニタリング等が必要となる。

・低強度トレーニングは高強度トレーニングを実施するための準備という考え方も重要。トレーニング(強度)のメリハリを付けることが重要。

そして、当方が最も重要であると考えているのが、特にレクレーショナルレベルのアスリートの場合は「低強度トレーニングを徹底する」ということです。

レクレーショナルレベルのアスリートの場合、低強度トレーニングを実施するに際してトレーニング量の少なさを補うために、ついついトレーニング強度を上げてしまいがちになり、結果として中途半端で単調なトレーニングになってしまうことが多く、パフォーマンス向上が望めないばかりか、オーバートレーニングやケガを引き起こすケースが少なくありません。

トレーニング強度にメリハリを付け、しっかりと中強度トレーニングならびに高強度トレーニングを実施するための準備として(個人的には高強度トレーニングをしっかりと実施するための準備という点を強調したいですが)低強度トレーニングを徹底して取り組むことが重要ではないと考えます。

この記事がトライアスリートのトレーニング計画のヒントになれば幸いです。

(1)Seiler S.:What is best practice for training intensity and duration distribution in endurance athletes?,Int J Sports Physiol Perform. 2010 Sep;5(3):276-91.

(2)Stöggl T, Sperlich B.:Polarized training has greater impact on key endurance variables than threshold, high intensity, or high volume training.,Front Physiol. 2014 Feb 4;5:33.

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野口克彦

マラソン/トライアスロン

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