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大好きな銭湯で遭遇した非常に面白いことについて

正月は基本やることがないので銭湯に行くことにしている。

今回もアメ横で靴屋の初売りを見て回ったあと、上野にある銭湯に立ち寄った。ここは僕の中で今のところベスト3に入る銭湯だ。

何がいいかというと、まずホスピタリティがすばらしい。シャンプー、ボディソープの備え付けはもちろんのこと、化粧水や綿棒もあるし、ドライヤーは無料。番頭さんの接客態度もいいし、お客をちゃんと客として扱ってくれる。それは接客業の基本中の基本ではあるが、できていない店がかなり多いのも悲しいながら事実。あと、風呂上がりのビールやジュースもほぼ定価なのもありがたい。

また、ここは露天風呂がとても広い。マジで広い。普通のいい温泉旅館くらいのサイズ。10畳位?の広さで10人位は余裕で入れる。あと、都内には珍しく、屋根等もない完全開放型なので、文字通り開放感は抜群。(あとで一緒に行った妻に聞いたら、男湯と女湯ではかなり差があるようで女湯は5人位の通常サイズらしい)いい湯温の水風呂も露天にあるので、露天全裸派の私は露天だけで完結する。一緒に入っていた息子もこの広さが気に入ったらしく、珍しく長湯に付き合ってくれた。

そんなこんなで、この銭湯は好きで自宅からは遠いにも関わらず何回か行っている。この日も正月休みでなまった体をとてもリフレッシュでき、最高の気分で湯船から上がった。

すると、なにやら脱衣所が騒がしい。

なにかと思って体を拭き脱衣所に入ると、なぜか警察官が3人もいて1人の初老の男性から話を聞いているではないか。全裸の野郎どもが闊歩する室内において、重厚な制服をビッチリ身に纏った警察官の姿は明らかに異様で異質だ。

何事だろうと息子の髪を拭きながら耳を傾けていると、初老の男性が警察官を相手に大声で話している。

「この部屋の監視カメラをチェックしてくれ!かならず写っているから!!盗まれたのは間違いないんだ!あれがないとワシは家にも帰れないんだ!」

これはただ事ではない。財布か高級な貴金属か何か、いや家に帰れないと言っているから車や家の鍵かもしれないな。何にせよ、こんなところで窃盗があったということは、この人以外にも被害が及んでいるかもしれない。

そう思い、私は足早に自分のロッカーをチェックし財布等があることを確認してひとまず安心した後、息子の髪をドライヤーで乾かしつつ再び騒動に耳を傾けた。

「…わ、わかりました。お父さん。とりあえずここは人が多くて迷惑になるから外で話しましょう!ね!?」

そう言いながら警察官たちは正月で混雑する店に気を使って、オヤジを脱衣所から連れ出した。その時の警察官達の緊張感に欠けた表情にどうも違和感を感じたが、その時はそこまで気にもとめなかった。

脱衣所から出ると妻と娘はすでに上がってジュースを飲んでくつろいでいた。

私もビールを飲みながら先程の騒動の話をすると、妻たちもこの待合所で遭遇したらしく、脱衣所から出たあとの話を聞くことができたのだが、その話を聞いて思わずビールを前方3メートルほどに向かって吹き出しそうになった。

オヤジが盗まれたと主張していたのは、なんと靴下だったらしい。しかも片方のみ!w

オヤジは脱衣所を出てからも、外に出ようと説得する警官たちに向かって強く主張していたらしい。

「防犯カメラはどうすんだ!?ワシの靴下は!!あれは絶対に盗まれたんじゃー!!」

「わかったから!お父さん!とりあえず出ましょ!お客さんの迷惑になるから!ね?」

「靴下がないから靴も履けないんじゃ!!だから家にも帰れないんじゃー!!」

もうドリフのコントである。オヤジを志村けんにしたら完璧だ。

オヤジの主張を信じるとして、オヤジの靴下(しかも片方だけ)をわざわざ盗んでどうするんだろうか。なにか利用価値があるのだろうか。

いや、ない!あるわけねえ!w

しかし、そんなもんに警察官が来るってすごい。まあ言われたら来ないといけないんだろうが、3人もいるか??w オヤジの靴下がどんなに高級なブランド物でも彼らの時給と比較すると割に合わない。

そんなこんなで我々は銭湯から出て家路についたのだが、もっぱら帰りの道中はこの話題で持ちきりだった。

しかし、正月から警察官の皆様には頭が下がります。本当にお疲れ様です!


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