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最初の一歩 入院付き添いについて記者に送ったメッセージ

クラウドファンディングの活動報告として、私の運営している病児・障害児専門の医療ケアグッズとお見舞い品を扱う国内唯一のECマーケットプレイス「チャーミングケアモール」について、今まで寄せられたコメントやコロナ禍により経営状況が逼迫している状況などについてまとめようと、過去のメールを遡って、今までお客様などからいただいたメールを拾う作業をしている。


そこで、私が初めてメディアに取り上げていただいた際の事前問い合わせメール(ほぼ嘆願)を発見したので、子どもの付き添い入院の実情の参考にしていただけたらと思い転載する。


記者さんに送ったメッセージ


以下ほぼ原文そのまま(日付や固有名詞などは修正)
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はじめまして。記事を拝見しメール差し上げました。

私も、2016年5月から2017年5月まで、子供の小児白血病の治療のために付き添いをしました。

当たり前のように(24時間)付き添いをする慣例になっていました。
うちはまだ、小学2年生だったので息子のベッドの横に簡易ベッドを「買って」、そして「住む」ことができました。
しかし、もっと小さな子供さんのお母さんは、ベビーベッドに1年以上一緒に寝ている人もいました。
体おかしなるわ!!!と本気で言っていました。

しかし、入院患者にとって始めに入った病院がスタンダードです。
「こういうものだ」と言われたら、「そんなものか」を受け入れざるをえない雰囲気になっています。
子供の治療をしに来ているので、自分たち大人の治療ではないので・・・

ただ一度、院内感染で息子が感染症にかかってしまった時、感染部屋に隔離され、しかもそこから出るなと言われ・・・
まるでバイキン扱い。しかも私もうつっている可能性があるから風呂に入るなと言われました。(食事も適当に済ませ、できるだけ廊下をちんたら歩くなと・・・)
ちょっと待てよ・・・と思い、じゃあどうしたらいいんですか?というと「お風呂は近くの銭湯にでもいけばいいんじゃないですか?」と言われ・・・
「はぁ?」とついにわたしはキレました。
そしたら、「この状態で、治療ができる状況じゃないので、一旦自宅に帰られますか?」と素でいう始末。
その時、息子の好中球という抵抗の数値は300をきっており(500以下は、他の病院だとクリーンルームにいかなければならないレベルです)
おかしかろう!!と、ついに私はブチ切れました。

『そもそも子供の入院生活って、2人患者がおるようなもんで、親だって一緒に闘病しているようなもんじゃないですか?
こんなクソ狭いところに、「住まなきゃ」いけないんだから・・・
数字を見て薬をする・・・それは立派な仕事だと思うし、そこに関して意見するつもりはないけれど、この特殊な環境に身を置いている者に対しての配慮があまりにないんじゃないですか?
先生は、お医者さんとしては優秀なのかもしれないけれど、人間としては如何なものかと思いますけど、どうにかしてもらえませんかね?』

と啖呵をきったら・・・明後日の方向を向かれ・・・
「ああ・・・そうですね。」
と、それから、回診にほとんどこなくなりました。
あまりにムカついたので、病棟中の患者&看護師さん&直属の上長にまでその事実を言いまくり、そしたら、翌年から(その方は)別の病院にいかれたようです。

この記事を読んで、子供の付き添いをしたい人もいるし、何が正解とかはないですが・・・
1年も住まないといけないのであれば、親の住環境も整えてほしいなと思います。
食べ物は毎日コンビニで、顔中ブツブツだらけ。病院の異常な乾燥で、肌はカサカサで唇は割れるし、髪はボロボロ。
簡易ベッドで寝ているので、万年腰痛。
(夜は点滴などのアラーム音で寝られないので)昼寝したくても、プライバシーがないから看護師さんが入ってきてみたり・・・掃除のおばちゃんが登場したり・・・で寝れやしない。

そういう病院の特殊な環境を経験して、この状況をどうにかわかってほしい!という思いもあって、病院で(付き添い中)マミーズアワーズショップというサイトを(息子の)入院中に立ち上げました。

*現在上記マミーズアワーズショップでは物販は行っておりません。商品の販売に関しては下記「チャーミングケアモール」にてのみお取り扱いしています。

実は、私の販売している「カテーテルケース」に関して、一度メディアの記者さんに取材に来ていただいたことがあります。
しかしながら、その際は、医療者側からの意見取りができないという理由から記事化はお蔵入りになりました。

カテーテルケースを販売していることを取り上げて欲しかった訳ではなく、子供の入院闘病中、しかもこれから治療をするときに、見たこともない市販もされていないような「カテーテルのカバー」を制作せよという病院側からのミッションがある。
それはあまりに過酷じゃねえか???と
そして、そういう世界観があること、カテーテルをつけながら一年も・・・下手したらもっと長く生活している子供達や、それを支える親がいることを
取り上げて欲しかったのですが
「ぶっちゃけ、闇市をやってるようなもんですよね?デスクがそういうものを取り上げるわけにはいかないっていうんで・・・今回はご協力できずすみません」
と言われました。
闇市・・・
なんと言っていただいても結構ですが切り取り方次第で、なんぼでも記事になりうる世界なんじゃないの???
ってすごくすごくスゴーーーーーーク思ってました。

今もなお、そう思っています。
マミーズアワーズプロジェクトを始めて一年。
ようやっと、賛同してくれる人や、理解してくれる人が出てき始めました。
*のちにチャーミングケアの基礎になります。

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https://charmingcare.jp/

病院で付き添いをしたからこそ、見えてきた世界ですが、私はこの特殊な世界をどうにかもっと世に知らせたいし、そして退院してきて戻ってきた世界との見えない壁・・・
みたいなものをどうにか低くしたい!!!と思って日々、ない頭を捻り倒しています。

もし可能ならば、一度話を聞いていただけないでしょうか?
記事にするしないは、もはやどうでも良くて・・・とにかく、知って欲しいです。
ご検討いただければと思います。

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今読み返してみたら、かなりパンチの効いた文面だなとw
これ送ってこられたら、とりあえずは話を聞くよなと感じます。
これがきっかけになり、なんと私自身がハフポストでしばらく連載記事を書く頃になる。

世の中、何が起こるかなんてわからない。だた、一生懸命に伝え続けるということは、今も変わらず続けているわたしの唯一の長所なのではないかと思う。
そしてさらに数年後、私はコロナ禍での入院付き添いに関しての別の記事で当時取材をしてくださった記者さんを逆取材することとなる。
その記事がこちらだ。

記事中での記者さんの発言がとても印象的だった。
*私が書いた ForbesJapan チャーミングケアで広げる家族の視点 より引用

『医療では『病気を治すこと』が最大の目標になります。しかし、入院生活はそれまでの生活とは全く異なる状況になるので、付き添い家族の衣食住やメンタル、家で待つ家族への影響など、病気以外の『患者の家族生活に関するさまざまな困りごと』も当然生じてきます。
しかし、子どもの病気を治すことが最も大事な目標とされるため、それ以外の困りごとは、なかったことにしてしまうことが少なくありません。
困りごとに直面している最中は、目の前のことでいっぱいいっぱいで、なかなか周りに伝える余裕がないものです。病院側の対応に違和感を覚えても、そう思うのは自分だけなのかもしれない、もしくは治療してもらっている立場なのだから、と抑えてしまうこともあります。
そして、お子さんが退院されれば、視点は退院後の生活に移っていくので、入院中の生活を振り返ったり立ち止まったりして、困りごとを改めて検証することも少ないように思います。
困りごとを発信する場合、なぜそれが困りごとなのかということを、体験も含めて意識的に言葉にしていく作業が必要ですが、なかなか難しいものがあります。ですから、自分の体験した困りごとをなかったことにせず、改善の意思を持ち続けて何らかの行動を起こしていくのが、とても重要だと思います』

特殊な環境に身を置いている者に対しての配慮を

私が記者さんに宛てたメッセージの文中にも出てくる「特殊な環境に身を置いている者に対しての配慮」にも通ずる部分もあるのだけれど、病気や障害のある子どもと家族の界隈で、医療の隙間にあるケアであったりちょっとした配慮であったりという部分を、もっとたくさんの人が「当たり前に」できるようになったならば、きっとわたしはこんな長文メッセージを送ることもなかったし、そもそも治療をしてくれている医療者さんと「人としていかがなものかと思う」などとまぁまぁの暴言を吐き、病院で大喧嘩をすることもなかったのではないかと思うのだ。

そこで今回クラウドファンディングをしているのが、そういった「医療の隙間にあるケアであったりちょっとした配慮」を様々なジャンルの講師の方に講義をしていただき、今までバラバラになっていた情報を横断的に学ぶことで体系的にそれらを捉えることができ、それぞれの専門職での患児や家族への接遇であったり、ビジネスやサービスの向上につなげて行ってもらえればという研修事業を計画している。病気や障害のある子ども周辺の課題というのは当事者が子どもであることもあり、保護者自体が困りごとや疑問、はたまた憤慨していることがあったとしても子どもの将来を思って表に出さないことも少なくない。

子どもへの愛情が故だったりもするのだけれど、それではなかなか本質的な部分が顕在化されてこないし、課題解決に向かっていかないと感じる。

今回企画している研修は、当事者の声を大切にしており、当事者の子どもにも講師になってもらうことにしている。
親と子どもの感覚というのは、似て非なるもので、子どもからの意見もきちんと吸い上げる必要性があると考えたからだ。
病院で付き添いをしていた頃は、まさか自分がこんなことをするなんて思ってもみなかったけれど、治ったからいいでしょう?とかもう過ぎたことでしょう?と言うのは、当事者がその気持ちや事象を消化できた上で決定することで、他人から『あったことをなかったことにされる』いわれはないと感じている。
わたしや私の家族が、子どもの病気の体験をいまだに乗り越えていないのか?と問われれば、恐らく乗り越える馬力はそこそこあったタイプの家族なのでなかったことにされても仕方がないくらいのスピード感だったかもしれない。
だけど、それをそのままにしていたら、次の世代の人はあの苦々しいいらん苦労や理不尽をずっと引き継いでいくことになる。
それは違うんじゃないかなと凄く思うのだ。
少しでもそうさせないように、できることはしたいなと考え、私はこの活動を継続している。
チャーミングケア研修 是非、受けてみてほしい。

*医療・教育・理美容・子どもアドボカシーの4軸で、それぞれのオピニオンに月1回オンラインで講義をしてもらうスタイルで2022年 チャーミングケア研修は、ベネッセこども基金様の助成を受け実現しました!



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