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物との向き合い方~私に一番影響を与えた本~【Rika's】

(あらすじ)
全然物が捨てられなかった子どもが大人になってから捨てまくる人になったけど、そんな捨てまくる人が15年以上も捨てずに手元に置いてある本を紹介するよ。

何も捨てられない子ども→捨てまくる大人へ

お誕生日会でもらったプレゼントのリボンも、お菓子のおまけで付いてきた小さなおもちゃも、すべて取っておく子どもだった。勉強机の引き出しにお菓子の空箱を使って作ったトレイで仕切ってきっちり整理していて、どこに何をしまったのかもほぼ完璧に把握していた。物にはすべて心があって、捨てられると悲しむだろうと思っていた。そして私にとって、物は自分の分身だった。母が「いい加減に捨てなさい」とそれらを捨てようとすると激しく抵抗した。

社会人になっても、しばらくは実家暮らしを続けていた。
20代半ばに、幼少期に受けた性被害によるトラウマが一気に噴き出して、フラッシュバックに苦しみ毎日毎日死にたいと思っていた頃、ある日ふと「身辺整理をしなくちゃ」と思い立った。
私が死んだら、私の物たちを片付けるのは遺された家族だ。
あまりに物が多いとさすがに迷惑だ。
私が死んだらすべてがゴミになるのだから。

そう思ったら、あれだけ大切にとっておいた分身たちを気持ちよく捨てることができた。母親が傍らで「ねえ、何か良からぬことを考えていない?」と訊いてくるほどには捨てた。
結果、本棚や引き出しはスカスカ、棚はガランとなった。

その後結婚して離婚しても、物が増えることはなかった。元夫にも義家族にも、離婚後に私の一人暮らしの部屋を訪れた友人たちにも一様に「物が無い」「物が少ない」と言われた。ある人から「生気が無い」とまで言われた時は本望で、むしろ誇らしくもあった。

そして本の紹介

派遣社員で大手都市銀で事務をしていた20代後半にこの本に出会った。当時の職場はとにかく大勢の女性派遣社員たちが皆で同じ作業をしており、さながら女子高みたいだった。仲の良い同僚に昼休みに「最近見つけて嵌っている本がある」と紹介されたのがこの本だった。

ガラクタ捨てれば自分が見える―風水整理術入門
今は新版の「新 ガラクタ捨てれば自分が見える」が出ている。

片付け界隈では著者カレン・キングストンの名前を取って「カレン本」とも呼ばれている。風水とあるが、その前段となる片付けの部分が面白い。捨てにくい物けどカタを付けるべき物を1つ1つ取り上げ、それらとどう向きあい、どう捉えるのが健康的かを説いていく。

十分に足りているのにストックを買ってしまう人、明らかに必要以上の空き箱や袋をため込む人、思い出の品が既に朽ちているのになかなか捨てられない人。
物を捨てられず溜め込む人は、将来への不安か過去への執着を持っている。
要は今を生きていないということだ。

自分で買ったけど・プレゼントで貰ったけど気に入っていないものの処分についても書いてある。
結論は、もちろん「捨てなさい」である。
「その物の主人はいったい誰なのでしょう?」とある。

自分主体で、今を生きろ。

やましたひでこさんの断捨離やこんまりさんの「人生がときめく片付けの魔法」が出てくる少し前に出会ったカレン本は、私に衝撃を与えた。

当時たくさん受けていた心理カウンセリングでも、「心が疲弊している人や病んでいる人は部屋が散らかる。部屋は心の状態を表す」というようなことを言われてはいたが、それはこういうことだったのかと腑に落ちた。

この本に出会った頃、私の部屋は既に片付いていたが、カレン本によって私の片付け熱はさらに加速した。読んでいる途中で本を傍らに置いて、残り少ない物をかき集め、それらを整理し始めた。

人生の折々で読み返し、今と向き合うことを思い出させてくれた

お風呂の中で読んで紙面が波打ってフニャフニャになってしまったカレン本を、私はずっと持ち続けていた。読み終えた本は定期的に古本屋に持って行ったり人にあげたりする中で、カレン本はたくましく生き残っていた。

たまに取り出して読み返し、また片付け熱が再燃する。
また、以前は物をバンバン捨てていたが、今は不用品を寄付できる団体に送っている。(メルカリを使う気力は持ち合わせていない)
そして私の無味乾燥な部屋はキープされていた。

折り合いをつけた今日この頃

そんな中で引退馬支援に出会ってしまった私の部屋には今、写真立てに収まった支援馬の写真5枚と、ふるさと納税でもらった引退競走馬の使用済みの蹄鉄が飾ってある。
以前の自分には物を「増やして」「飾る」という発想はあり得なかったが、馬の写真は毎月順調に増えていっているし、引退競走馬関連のグッズはもっと増えていっている。

元々ストックを全く持たない生活だったが、昨今の災害の多さにさすがにいくらかの備蓄をするようにもなった。

物を見たら捨てていた昔と違って、最近は心のままに好きなことをしつつ今を生きる、物とちょうどいい向き合い方ができていると思っている。 (了)


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