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職場に「グロービッシュ」を! 〜 ビジネス英語攻略 その②

グロービッシュの特徴


それでは、グロービッシュの特徴を具体的に説明します。大きな特徴は以下の3つです。

・簡単な単語を使う
・難しい文法は使わない
・発音よりもアクセントを意識する

具体的に説明をしましょう。


(1)使う単語は1500語で大丈夫!

グロービッシュの最大の特徴は、1500語の単語で会話をすることです。
中学で学ぶ英単語の数は900語、高校では1300語となっています。合計で2200語の単語を高校までに学んでいることになります。

また大学受験で出題される英文は、おおよそ4000語となっています。このような事実を踏まえると、1500語は「基本レベルの英単語」と言えます。


この1500語の中には、
and, any, as, at, be, by, can, do, so
といった初歩的な単語から、
• authority  権威
• combine  結合する
• experiment  実験
• responsible  責任がある
• substitute  代用
などの中級レベルの単語まで含まれています。大学受験ではもっと難しい単語を学習する必要がありますが、グロービッシュでは必要はありません。

基本は1500語ですが、ネリエール氏は以下の4つの手法により、語彙を5000語程度まで増やすことが可能であるとしています。

1.単語をつなげる
• home + work = homework 宿題
• air + plane = airplane  飛行機
• week + end = weekend  週末

2.接頭語、接尾語をつける
• in + correct = incorrect 
正しくない
• re + new = renew  新しくする
• possible + -ity = possibility  可能性

3.単語で品詞を使い分ける
present という単語には、名詞と形容詞があります。
• 名詞:今、現在
• 形容詞:①存在している、そこにある ②出席している ③現在の

4.前置詞と組み合わせる
• put off  延期する
• take off 脱ぐ、離陸する
• get up  起きる 

このような方法で語彙を増やすわけです。すると簡単な単語のみであらゆる表現が可能となるのです。


(2)文法は簡単に、難しい表現は使わない!

グロービッシュでは、できるだけ簡潔な表現を心がけます。仮定法や過去完了などを使うことはほとんどありません。ここでは、グロービッシュならではのルールを3つ紹介します。


1.文章はできるだけ短くする

グロービッシュでは、「1文は15単語以内とし、最長でも26単語まで」というルールがあります。
例えば、
When we went to Osaka we had a meeting at ABC Company not so far from our headquarters.
(我々は大阪へ行った際、本社からそれほど離れていないABCカンパニーで会議に参加しました)
と表現するよりも、
We went to Osaka.
And we had a meeting at ABC Company.
It is near our headquarters.
(我々は大阪へ行きました。
そしてABCカンパニーで会議に参加しました。
そこは本社の近くです)
とするほうが、相手に簡単に伝わります。

2.受動態より能動態を使う

受動態(~される)を用いるよりは、能動態(~する)を使います。
例えば、
Our offer was accepted by the customer. 
(当社の提案は顧客によって承認された)
とするよりは、
The customer accepted our offer. 
(顧客は当社の提案を承認した)
とするほうが、英語の不慣れな人にもより理解されやすいのです。

3.質問するときは相手が答えやすい表現を使う

Didn’t you accept their offer? 彼らの提案を承認しなかったのですか?
と聞かれた場合、Yes か Noか正しい返答のしかたを一瞬考えてしまいがちです。
それよりは、
Did you accept their offer? 
(彼らの提案を承認したのですか?)
と聞いた方が、相手にとって回答しやすい質問といえます。

英語に堪能な人は、自分の知っている難しい表現を使いたがる傾向にあります。しかしグロービッシュでは、相手の立場を考えて分かりやすい表現を選びます。そうすればコミュニケーションは円滑に進むでしょう。


(3)発音はアクセントを重視する!

英語を母国語としているイギリス・アメリカ・カナダ・オーストラリアなどの国では、発音にその国特有の特徴があります。例えば、can’tに関しては、アメリカ英語が「キャント」、イギリス英語は「カーント」のように発音されます。

また、第二外国語として英語が浸透しているシンガポールやインドにおいても独特の発音が用いられています。car park(駐車場)は、シンガポールでは「カッ・パッ」、インドでは「カール・パルク」と発音されます。

このように、それぞれに国にそれぞれの発音の特徴があります。そのため、日本人特有の訛りがあっても、気にすることはありません。日本人は「R」「L」「V」「TH」などの発音が苦手です。

しかし、グロービッシュでは、ネイティブのようにそれらを発音することに重きを置きません。むしろ単語のアクセントの位置を正しく発音することを重視しています。

理由は簡単です。非ネイティブが、アメリカ人のような発音を習得しようとすると、とてつもない時間と労力が必要だからです。それに対してアクセントの位置を覚えるのは容易です。「R」や「L」の発音が不完全でも構いません。それよりも正しいアクセントで発音をすれば、相手に十分伝わる英語を話すことができるのです。


例えば、あなたがアメリカのアイスクリーム店で、バニラ(Vanilla)を注文するとします。そのとき、店員に日本語のアクセントで「バニラ (バにアクセント)」と言っても全く通じないでしょう。正しいアクセントは「ヴァネラ(ネにアクセント)」となります。たとえVanillaの「V」の発音が不完全でも、アクセントが正しければ、何とか聞き取ってもらえるはずです。

グロービッシュの目的は、きれいな英語を話すことではありません。通じる英語を話すことを目的としています。そのための一番の近道が、アクセントを正しく発音することなのです。

次回は、このグロービッシュを使い、世界を股にかけて活躍する日本人経営者の英語を紹介します。


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