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ラックスマンのL-505uXIIを導入したので、ACOUSTIC REVIVEでアクセサリーを強化してみた

どうも、Studio 0.xの橋爪徹です。
私は、オーディオライターの活動をしながら、音響エンジニアとして音声コンテンツに携わっています。(自己紹介と仕事歴紹介はこちら

Studio 0.xは、私の自宅の一室を防音室に改装したホームスタジオとなっています。2021年は、これまで使っていたオーデイオシステムをリニューアルするべく動いていました。

最近になって、機器の入れ替えがほぼ完了し、念願のプリメインアンプも導入したため、ここで一度途中経過を記録してみることにしました。

【Studio 0.x オーデイオシステム一覧】 ※印が新機材
・ソース機器(NAS):Soundgenic
・USB-DAC:NEO iDSD ※
・プリメインアンプ:L-505uXⅡ ※
・AVアンプ:AVR-X6300H
・Ultra HD Blu-rayプレーヤー:UBP-X800M2 ※
・プロジェクター:VPL-HW60
・フロントスピーカー:RUBICON 2

AVアンプとここに未記載のサブウーファーは、今後買い換えの可能性がありますが、とりあえず現状のままを考えています。

今回の目玉は、幅広いハイレゾフォーマットへの対応とフロントスピーカーの音質向上。前者は、192kHz/24bit、DSDは2.8MHzまでだった従来システムを、768kHz/32bit整数、DSD512(実質11.2MHz)、MQAと死角無くフル対応させました。後者はAVアンプで鳴らしていたフロントスピーカーをラックスマンのプリメインアンプでドライブします。

また、将来的にHDR/4K対応のプロジェクターに買い換えるに当たり、前もってUltra HD Blu-rayプレーヤーを導入することにしました。ゲーム機はPS5を所有しているので、プロジェクターを買い換えれば夢のHDR&4K生活のスタートです。そのプロジェクター54万円もするんですけどね(滝汗) ちなみにPS5のUltra HD Blu-rayの画質に納得できなかったので、専用機を購入しました。


そもそもプリメインアンプとは何か

本題に入るにあたり、基本をご説明しましょう。アンプということは、スピーカーを鳴らす機材であることは何となく分かる方もいるでしょう。では、プリとは? プリアンプとは、ザックリ言うと、入力セレクターの機能と音量調整の機能を持ったアンプのことです。入力セレクターとは、CDとかTAPEとかレコードとか、音声入力の機器をいくつも繋いで、その中から聞きたい入力を選ぶ機能のことです。テレビをお持ちの方は、HDMI1とHDMI2を切替えて、Blu-rayレコーダーとゲーム機を切替えたりしていませんか? あれの音声(音楽)版です。音量調節はその名の通り、それぞれの規定レベルで入力された音声信号をスピーカーを鳴らす増幅を行う前に、適当なボリュームに上げたり下げたりする機能です。

ということで、プリメインアンプは、プリ機能を有したパワーアンプというのが説明になります。音量調節機能を持ったスピーカーを鳴らす機材ってことですね。パワーアンプとは、スピーカーを鳴らすためだけのアンプのことです。メインアンプはパワーアンプの別名です。

あれこれ吟味した上で、プリメインアンプはラックスマンのエントリークラスに位置するL-505uXIIに決めました。このアンプについては、別途商業媒体で詳しく書かせていただく予定なので、詳細は割愛します。

こちらのプリメインアンプ、実売25万円ということで結構なお値段です。ラックスマンの中ではエントリークラスとはいえ、ハイエンドオーディオの入り口に足先を突っ込んでるのは間違いないでしょう。せっかくアンプを含め、各機器を大幅リニューアルするなら、まずは置き場所だ!ということで、オーディオラックを買うことにしました。既製品のラックでもよかったのですが、以前から気に入っているヒッコリーボードを使ったオリジナルのラックをACOUSTIC REVIVEにオーダーメードで作ってもらいました!

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ACOUSTIC REVIVEのヒッコリーボードを使用した、3段ラックです

ラックに置いたら3Dのジャギーが目立つ?!

ヒッコリーはドラムのスティックなどに使われる木材で、『音色に癖がなく、帯域バランスもフラット、有機的で躍動感に溢れた特性をもつ希少木材』とメーカーは謳っています。私も単体のヒッコリーボードRHB-20は愛用しており、リビングのBlu-rayレコーダーの下と、Studio 0.xの電源ボックスの下に敷いています。周波数バランスや音色への悪影響はなく、有機的な質感が得られるのが特徴で、音に生気が宿るというか、録音音楽なのに瑞々しさが増したような音に変化します。このラックの支柱は黒檀です。黒檀は非常に硬くて重い木で家具や仏壇、楽器にも使われます。

写真では真ん中の段が空いてますが、いろいろ試行錯誤している最中です。今のところは、PS5を空いている段に入れる予定です。ラックの効果について、PS5の置き場所で検証してみました。防音スタジオの床に直接縦置きする方法と、3段ラックに横置きする方法で、画質と音質への影響を比較しました。スクリーンは、シアターハウス製80インチのスクリーンです。

【床置き】

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まず、防音スタジオの床は、一般的な日本のマンションの床よりも堅牢で質量があります。防音とルームアコースティック向上のためです。軽くてヤワな床は、それ自体が共振し音を濁らせてしまうからです。設置した場所は、スピーカースタンドの隣で、オーディオ機器が置いてあるエリア。このエリアは、リスニングエリアと床の縁切りを行っています(内部で床の構造自体が分かれている)。オーディオ機器エリアの振動がリスニングエリアの床に伝搬しないようにしています。結果として、スピーカーなどの振動が片側に集中して溜ってしまうという欠点はあります。

まず床にポン置きした時の映像と音は、特別違和感はありません。何かしら目に見えて悪く感じると思ったのですが、意外とそうでもないです。これしか知らなければ何の不満もないかなという程度。

【ヒッコリー製のラック】

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縦置きスタンドを取り外し、横置きの状態に変形させて取り付けます。PS5は縦置きも横置きもスタンド必須。設置面は常にスタンドの丸い設置面のみとなります。オーディオマニアとしては、安定したレッグ部は重要ポイント。足回りがデザイン優先なのは残念ではあります。とはいえ、設置安定性を考えるとスタンドを使うしかありません。

ラックに収納してPS4「黎の軌跡」のニューゲーム冒頭の同じシーンを見てみます。あれ?? ゲームのグラフィック設定変えた??、ってくらい目に見えて違います。具体的には、「遠景のオブジェクトのジャギーが目立つ」。画質が悪くなったように一瞬思いますが、よく見ると、あらゆるオブジェクトがクッキリと映るようになっています。背景と人物の奥行きもより如実に伝わってきます。若干ですが、衣装の表面の質感までグッと本物っぽくなりました。シャープネスが大きく改善したことで、今までぼやけていた輪郭が解像度を上げて、結果としてジャギーが目に見えて分かるようになったという訳です。これにはいろんな意味で驚きです。クッキリ感と奥行きの改善。3D表現が当たり前の昨今のゲームでは共に嬉しい変化でありますね。逆にゲームのグラフィックの粗が見えてしまって困ることも。おそらく、一般家庭の絨毯や畳に直置きしたのと比べるともっと違うと思います。

そして、音質は、これまでより音像がクッキリとディテールが見えるようになりました。台詞は彫りが深くなり、スタジオでしっかり録って整音したゲーム音声に仕上げている、その完成度がジワジワ伝わってきます。なんだか音に高級感が出ます。帯域バランスは変なピークも無く良好です。音声が改善されたのと同様に、BGMやSEも粒立ちが良くなって、一つ一つのトラックが埋もれずに聞こえてくるようになりました。街で鳴っているラジオなどの環境音声にしても、耳にスーッと入ってきて、集中しやすい音に変わりましたね。何となく鳴っている感じがしません。

MOGAMI大健闘 真に迫るオーディオグレードの音とは

次にこだわりたいのは、LINEケーブルです。NEO iDSDはXLRのバランス出力を装備しています。L-505uXIIもバランス入力を1系統備えているので、XLRケーブルを新調しました。バランス接続は、長距離伝送しないなら原理上、あまり意味が無いともいえますが、そもそものソース機器(NEO iDSD)側の回路構成の優位点、そして受け手のアンプ側の設計次第でRCAより音は良くなることもあります。NEO iDSDは内部回路が完全にバランス設計となっているので、LINE出力はXLRの使用を推奨しています。使わない手はありません。いちおうRCAとXLRで比較しましたが、XLRの音が良かったです。

XLRケーブルは、ACOUSTIC REVIVEのLINE-1.0X-TripleC-FMをベースにした特注品。プラグ部を上位品で使われているRBC-1M、RBC-1Fに変更してもらいました。このプラグは、音質劣化が避けられないハンダ留めを採用せず、ネジ留め式にしているバランスプラグとしては初の製品だそうです。

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導体は、オーディオ専用導体のPC-TripleCの単線。単線のため少し固いですが、撚り線では避けられない迷走電流を防止することで、歪みやノイズ、付帯音の発生を抑えるとのこと。絶縁材は、伝送スピードに優れるテフロン(フッ素)。天然シルク緩衝材で帯電防止。銅編組シールド。完全バランス伝送を実現する3芯シールド構造。ケーブル外周はカーボンを配合したCSFチューブ。ノイズ除去のため、日立金属のファインメットビーズをプラグ部分に使用しています。

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XLRケーブルは音の癖が少ないMOGAMIの2534が2本ありますので、これと比較してみました。MOGAMIのケーブル長は5mあるのでそこはお目こぼし下さい。

楽曲は、私が総合Pを担当するBeagle Kickの2ndアルバムMIRACLEからAnyway。

まずMOGAMI。さすが業務用ケーブルの中でも屈指のフラットバランスと賞賛されるケーブル。帯域バランスは非の付け所がありません。私がスタジオで聞いていたバランスそのものです。若干ですが、音像の輪郭がぼやけるというか、音の周りにモヤが掛かったようになっています。「クッキリ感」が足りないなと思いました。

新しいケーブルに交換しますと、帯域バランスはそのまま。雑味や付帯音は、一切ありません。さすが単線導体&テフロン絶縁です。ここまではMOGAMIとほぼ互角。しかし、気になっていた音像の周りのモヤが一掃されました。ハイレゾ192kHz制作なので、音はいい意味で太く実在感がありますが、その楽器の音だけが目の前に浮かび上がっている感覚です。とにかくピュアです。音場が少し整理されて、前後感などミックスの意図がさらに分かりやすくなっています。それと、これはホントに絶妙なさじ加減なのですが、「エネルギーが全帯域に渡って増した」。このエネルギー感はモリモリにすると、イコライザーを派手に掛けたみたいで違和感しかないのですが、アコリバのケーブルは、息を吹き返すというか、音に生命が宿るような気がします。コーラスも口元の感じや息遣いまでリアルに聞こえてきます。音楽が素直に楽しいと思えます。

足回りのケアを忘れるなかれ 説得力に差が出る

最後はインシュレーターです。駆動系があるBlu-rayプレーヤーや、内部のトランスが振動するプリメインアンプは、足回りのケアもした方がいいと思います。ACOUSTIC REVIVEの新製品RKI-5005は一見して樹脂製のインシュレーターですが、いくつもユニークな特徴があります。

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表面にある幾何学模様の溝は、制振特性を高めるための工夫だそうです。これを上にして使用するのが鉄則だとか。手触りはシリコンっぽいですが、まさに制振特性に優れたシリコン系新素材を使用したとのこと。『貴陽石やトルマリンなどの天然鉱石のパウダーを含浸させ強力なマイナスイオンを発生』ということで、マイナスイオンによる帯電除去効果で音質にもプラスの作用が期待できそうです。なんでも、貴陽石やトルマリンは圧力によってマイナスイオンの放出効果が高まるらしく、インシュレーターとして使用すると機器の重量で圧力が掛かり、よりマイナスイオンがぶわーっ!ってことらしいです。マジかよ!?

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↑ 写真的にこの絵面が一番分かり易い。実際に比較で試したのは、Blu-rayプレーヤーとプリメインアンプ

Blu-rayプレーヤーに使った場合の映像と音質の変化をチェックしました。

ソースは、「CHRONO CROSS 20th Anniversary Live Tour 2019 RADICAL DREAMERS Yasunori Mitsuda & Millennial Fair FINAL at NAKANO SUNPLAZA 2020」。音声フォーマットはリニアPCM 96kHz/24bit。

何故ライブのBlu-rayを使うのか? それは、あらゆるソースの中でもっとも画質の差が分かりやすいからです。これは個人的な経験なので、科学的に説明できないのですが、特徴として暗い場所で動きが多く色合いも豊か、そして明暗の差も大きい、映像の奥行きは狭かったり広かったり変化があります。それらを高い再現度で正確に表現できるか。まさにプレーヤーやモニターの質をシビアに知らせてくれるのです。

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インシュレーター無しの場合、なんだかボンヤリとして寝ぼけたような画像を見せられます。被写界深度も曖昧で、人物や楽器の輪郭が定まっていません。音は、そこそこのクオリティで鳴ってます。若干音数の多さに負けてる気もします。ゴチャっとした、ゴミゴミした感じ。

プレーヤーの下にインシュレーターを敷いてみると、途端に映像に締まりが生まれました。シャキッとフォーカスの合った人物や楽器、照明のキワの輪郭に至るまで、まるで写真を見ているかのような美しさ! クロスフェードで画面が移り変わるところも、それぞれの映像がちゃんと脳に入ってきます。前はいつの間にか変わっててムードも何もなかったのに。気持ち、明暗の差が深くなった気がします。黒い部分がより沈み込むような。

そして、音はトランジェントが大幅に改善しました。打楽器の音は立ち上がりも立ち下がりも、とってもシャープ。結果的に時間解像度が改善しているので、奥行きや定位も鮮明になりました。楽器の演奏がより生き生きとしています。音の芯がしっかりして、ベースは腰が入った気持ちいい音に改善しました。楽器同士の分離も良好で、ゴミゴミ感が激減したため、音量をもっと上げたくなります。

次にプリメインアンプに使った場合の音質の変化をチェックしました。

楽曲は、私が総合Pを担当するBeagle Kickの2ndアルバムMIRACLEからAnyway。

これが一番変わりました。驚きです。これまでもラックスマンのアンプは素晴らしい音を奏でてくれていました。それが、さらに激変です。まずは空気録音の動画をご覧下さい。(動画は諸事情により公開が出来なくなりました。すみません)

どうしょうか。私としては、帯域バランス的に副作用はないと思います。シリコンだから「グニョ」っとしたり「プヨン」としたり音が変になってしまわないか一抹の不安はありましたが、まったく杞憂です。むしろ、トランジェントは著しく改善しました。スパーンと立ち上がったと思えば、ストーンと素早く収束します。まるで気っ風がよく迷いがないみたい。美しいです。ラックスマンの余裕のある駆動力と確かな制動力でもって、スピーカーを音源の通りに正確にドライブしている。そんな実力の高さがさらに分かりやすくなった印象です。楽器の音には、一瞬で終わる音量の変化ってたくさんあって、そのグラデーションは自分が思っていたより遙かに緻密で目まぐるしく変化していたんだなと。これまでのAVアンプで聴いていた音はなんて平面だったんだろうって。ダイナミックレンジなんて、偉そうな言葉使っていたのが恥ずかしくなるくらい音が変わりました。そして、極めつけは音にオーガニックな質感がプラスされたことです。効果のほどはさりげなく=小さじいっぱいって感じですが、血が通ったような、温度感のある聞いてて気持ちのいい音に変わっています。これがマイナスイオンの効果かも。アンプを購入して1ヶ月弱。初めて本当の音を聴いた気がしました。やはり足回りのケアはやらないといけませんね。改めて痛感です。

ということで、オーディオシステムの入れ替えにあたり、新たに導入したアクセサリーをレビューしていきました。オーディオアクセサリーは、機材の性能を引き出したり、また自分の好みの方向に近づけるためのアイテムです。僕は、音響エンジニアをやっていることもあって、「何も引かない、加えない」をコンセプトにするACOUSTIC REVIVEに信頼を寄せています。あらゆる製品に同じ信念が貫かれているので、私の音楽ユニットBeagle Kickでも積極的に音楽制作に導入しています。

各製品は、貸出しサービスをやっているので、興味のある方は利用してみて下さい。アクセサリーは、効果のほどがどれほど出るか心配だと思います。実際に使って効果を確認してから検討できるのは消費者として嬉しいポイントかと。

ちなみにオーダーメードのラックですが、無料会員登録して直接相談するのがよいと思います。広く募集している正式なサービスというわけではないので、ある程度信頼関係を作ってからの方がよさそうです。

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