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#09:前代未聞のVTuberブーム;その背景を考える

お久しぶりです もりーです

今回はあまり音響とは関係無いのですが、このVTuberを始めとしたストリーマーの空前絶後のブーム(もはやバブル)に関して思ったこと、そしてそれと同様な点から今後の先行きが不安なe-Sportsについて書こうと思います。

VTuberの市場

今のVTuber市場はカバー株式会社が運営する「ホロライブ」、そしていちから株式会社が運営する「にじさんじ」の2大巨頭とそれを取り巻く企業系Vtuber、そしてその隙間を埋めるように存在する無数の個人勢VTuberによって形成されているようです。

先日発表されて話題になっていましたが、累計スーパーチャット(ユーザーによる自主的な投げ銭)額のランキングの上位をVtuberが占めており、中には活動開始から1年経っていないVTuberもいたようです。驚くべきことに、これらのランキングの1位~17位の累計スーパーチャット額を合計すると10億円を上回ると聞きました。どうですか、10億ですよ10億。ドリームジャンボ3.3回当てたよりも多いんですよ。半端じゃないですね。10億円売り上げられる新規産業など存在すんのかって感じではあるんですけど、これらの数字は今後更に飛躍的に伸びることでしょう。今でこそVTuberと聞いて心当たりのある若者は少なくありませんが、数年前まで知っている人のほうが珍しいくらいの知名度だったものがコロナによる巣篭もりなども相まって爆発的に人気になっているのはひたすら驚くばかりです。

甘い汁はVTuberだけのものじゃない

このブームはVtuberだけのものではありません。大手と呼ばれるある程度古参のYouTuberや実況者、そしてストリーマーもこの恩恵を受けています。つまり、VTuberが爆発的に人気になっているのではなく、より正確に述べると「YouTubeやそれに類するサービスを通したインターネットでの仕事」が人気になっているということです。最近はミルダムやオープンレックなどTwitchを模したようなサービスが無数にありますがそれらも同様である、ということですね。これについては後で詳しく書きたいと思います。

YouTubeドリームの金字塔ともいえるHIKAKINさんや料理系で知らない人はいないであろうきまぐれクックさんなどだけではなく、機械音声(所謂ゆっくりボイス)による解説動画やゲーム実況など多くのジャンルで再生数が稼げている現状を考えるとYouTubeという職業も近い将来1つの現実的な選択肢になりえるのかもしれません。

様々な御託を並べましたがそろそろ本題にいきましょう。

オワコンハジコンの水掛け論、もう既成コン?

このブーム、いつまで続くんでしょうか?逆に言うと、いつこのVTuberや実況者というコンテンツはオワコンになるんでしょうか。

先日デビューした「ホロライブ5期生」の数人は初配信前に10万人以上のチャンネル登録者を達成し、デビュー数日後には全員が10万人を突破しています。デビュー数日でYouTubeが定める「マイルストーン」としての10万人登録者を達成したのです。配信をする前に銀の盾を手に入れている者も存在することを考えると、YouTubeが定めるマイルストーンとは…?となりそうになります。まぁ普通の人は無理です。英語話者をメインの対象にした英語部門である「ホロライブEN」も同等ないしそれ以上に良い滑り出しだったようです。

一般的に登録者が10万人ほどいて1動画が1万再生を毎日投稿、つまり月30万再生でそれなりの暮らしができると聞いたことがあります。それに加えスーパーチャットが枠を開くたびに数万円以上飛んでくるVTuber達はまさに時代の風雲児とでもいうべきなのでしょう。

このような歴史的に見ても今までありえなかったような事象がVTuberには起きているわけです。このバブルは単に流行って廃れるものではなくて、新しい常識や新しい文化をインターネット上で形成することになると思います。

VTuberの何が魅力なのか、それは人それぞれだと思います。個人的に見てみた感じ知り合いほうが歌がうまい印象を受けましたし、プロゲーマーのような超スーパープレイを見るわけでもない、また、AKB等がウリにしていた「会えるアイドル」でもないのであまりコンテンツとして面白いとは思いませんでしたけど、好きな人は好きなんでしょう。まぁ言ってしまえばオタク趣味のアイドルでしかも可愛くて化粧のノリが悪い日とかもなくてインターネットでしか会えないから不祥事なども起こりにくいという究極の理想なんでしょうね、知らんけど。

バブルはいつ崩壊する?

これは個人の勝手なイメージなのですが、このバブルは来年末くらいまでは続くだろうと思います。企業側の不祥事や炎上の有無に関わらず、あくまでユーザーの興味対象としてという意味でです。つまり、カバー株式会社がどんだけやらかそうが、いちから株式会社でとんでもない内部告発が起ころうが、VTuberの収入に大きく響くようなことは無いと思います。しかしそこから先は市場が成熟され、ユーザーの目も肥えてきます。いったい何人の「中身」がまともに生活できるくらいの収入を得ることができるのかはまだ誰にもわかりません。すでににじさんじでは100名を超えるVTuberが在籍しています。その中ですら格差が生まれつつあるのに、個人勢などの多くは今以上に淘汰され、本当に一部の強者のみが視聴者を牛耳ることになるかもしれません。それがバブル崩壊の瞬間であると言えるでしょう。運営関係の不祥事も再来年にもなればもう愛想をつかすユーザーが増加すると思われます。まだ今は市場自体が新しく、不安定なものであるので国際問題に発展しそうな発言でさえ軽くウェブニュースになる程度ですが、今後これが市場の成熟とともにどうなっていくか、見ものではあります。インターネットにおける法律の厳重化やそれに伴う表現への規制、それによる失言のリスクの向上などなど、今後今をときめく大スターのVTuberがいつ「オワコン」になるかは誰にもわからないのです。

ライバーの待遇を巡って

また、VTuber事務所の多くはVTuberを個人事業主として契約してるところを見ると、いつでも切れる相手としか捉えてないのではないかと思ってしまいます。年商1億の人間がいたら普通雇って囲い込みたくなりませんかね?市場が不安定なのを一番良く理解しているのは運営なのかも知れませんね。あの規模になったら絶対正規雇用で雇って福利厚生でライバーを守ってあげるほうが長期的な利益に繋がる気はするのですが…あまりこのあたりの法制度には詳しくありませんが、個人事業主が1億円売上上げると手元に残るの4500万円だと思うんですが、法人ならもう少し手元に残りそうな気はします。ちょっとこの辺は正確にはわかりませんが、せっかくいる人材をもっと大事にしても良いのではないのかとは思います。彼らも中身は人間であり飯も食うだろうし家には住むだろうし病気にもなることを考えれば社員として面倒見るのが妥当なのではないでしょうか。長期的な活動や営利的価値を考慮すると今のVTuberは割と危険な吊橋の上を歩かせられてるなぁという感じがしますね。

待遇がもたらす界隈の未来

少なくとも現状いる「Youtubeやそれに類するサービスを通したインターネットでの仕事を生業とした人達」(Vtuberやストリーマー)は会社が福利厚生をしっかりしてない限り未来はないと思います。長期的に考えると市場の発展には能力のある人がその職を魅力的に感じ新規に入らなければいけません。メタ的な発言ですが、ニコ生からトークの上手い人を引っ張ってくるのにも数の限りがあります。今後市場がより大きなものになり、引退する人達が出現するにつれ新しい、能力のある若い力は必要不可欠になります。会社が新卒を雇うのと同じ理論です。彼らも人間なのでいくら毎日パソコンの前に座っていると言っても60台までは生きるでしょう。この先10年ちょっとで一生分の金を貯められるほどのコンテンツ力、動員力をVtuberやストリーマーが持っているかと考えると甚だ疑問ではあります。

話題を少しずらします。今からプロゲーマーとストリーマーの関係性について上記のような観点から見ていきたいと思います。

プロゲーミングの方がもはやオワコン?

現在e-Sportsというジャンルが世界各国で確立しつつあり、日本でもDeToNatorやDetonatioN Gaming、父ノ背中など多くのチームがゲームタイトル毎に部門を設けて活動しています。当該部門ゲームがオワコンになりつつあれば他のタイトルに移行することもあるようです。
先日TSMというアメリカのプロゲームチームのApex Legends部門に所属するAlbralelie選手がVAROLANTへの移行を発表しました。結局のところ、そのゲームが廃れたら居場所がなくなるからストリーマーなどの副職もやらざるを得ないという現実からも、リアルのスポーツのようにはうまくいかないことが見て取れると思います。

「ストリーマー↔プロゲーマー」という構図は理に適ってるとしても、プロゲーマー界隈は閉鎖的で、ゲームによってはカスタムマッチ権限が一般ユーザーに無いのはあまりにもスポーツという公平性のある規模を問わない催し物として欠落している気がします。招待制のみの試合などはチームに所属していない上手いプレイヤーは指を咥えて眺めることしか許されず、それでいてチームに入るためにはある程度有名になってスカウトされるか、過去の実績が物を言うメンバー募集に応募する他ありません。当たり前ですが、町内会の小さい大会なども無く、タイトルごとの棲み分けのせいで人が集まりにくいのも現状です。


対象的にサッカーを考えてみましょう。サッカーは公園でやるものから少年サッカー、プレミアリーグまでプレイヤー、開催側の規模の大小に関わらず等しく「試合」はできますし、誰でも能力があればプロになる挑戦ができますし、好きな規模感での試合を気軽に行うことができます。なぜなら皆サッカーという1つのものに対してコミットしているのであって、「レインボーサッカーシージ」と「サッカーモダンウォーフェア」のように同じサッカーでプレイヤーを食い合ってないからです。
「サッカー」に相当するのはVAROLANTでもR6Sでもなく「FPS」や「MOBA」であると気づかなければこの先プレイ人口が増えたところでゲームが数年おきに入れ替わって上位層が乗り代わるだけであってe-Sports文化は根付かないと思います。


1つの最も権力のある団体(日本でいうJFA的存在)が「FPSはこのタイトルを向こう10年間スタンダードにします」、という具合に決めないとゲームのハジコンオワコンサイクルが早すぎるせいでe-Sportsという競技が不安定すぎるものになっていることに気づきアクションを起こさなければオリンピック競技化どころか一般への浸透すらできないと思います。

もちろんこれにより発生する既得権益的な部分はゲーム会社が入札式で利権を受け回すことで多少改善できるところではあると思います。

色々インターネットのお仕事について思っていることを書きましたが、共通していることは現状これらのサービスを土台にした活動は不安定なものであり、一時的に収入を得ることができるかもしれないが、企業所属の場合はその人材が逃げ出さないようにしっかりと福利厚生で守るべきであるし、そうしなければ今後の界隈の発展は見込めないだろうというものでした。それに加えてプロゲーマーたちはそろそろ1ジャンルに対して1競技用タイトルを確定させてそれを少なくとも10年は擦り続ける必要があるんじゃないかというような内容でした。

長文、駄文を読んでいただきありがとうございます。普段はミキシングやアカペラ、音楽のことについて語っているノートなので良かったら読んでみて下さい。

もりー

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