韓国料理屋に行った話
先日、忘年会ということで、普段はあまり行かないのだけれど、韓国料理屋さんに行くことになった。
普段あまり行かない理由として、キムチが苦手、というか、漬物が苦手、というものがあるのだけど、キムチ鍋は好きだし、冷麺や焼肉も大好きなので、普段あまり食べないものを食べられる良い機会だな、と内心楽しみにしていた。
で、座敷に通され、ビールを注文し、何を食べようかなあ、とメニューを探したけれど、見当たらない。
それもそのはずで、この日はコース料理となっており、こちらがあれこれ注文せずとも、もうすでに出てくる料理は決定していたのだ。
ならば、出てくる料理をすべて平らげるまでよ、と心に誓い、同時に肉焼いたやつとか食べたかったけど、コースに入っているだろうか? テーブルの上にはガスコンロが並んでいるが、果たしてこれは肉を焼くための鉄板を乗せるものなのか、それとも鍋が乗るのか? などと考えながらビールを飲んでると、まずはキムチが山盛りきましたよ。
いきなり食べられないものが到着してガッカリするが、韓国料理屋さんでキムチが出てこない方が不思議なので、これはガッカリするこちらが悪い。
飛行機に乗る前に金属検査されるようなものなのだ。この例えが適切であるとは思えないが、まあいい。
気付くと、そのキムチを食べた人々は口々に辛い辛い、と悲鳴をあげている。
キムチを食べて辛いのは当たり前で、殴られたら痛い、のと同じなのだから、何もそんなに騒ぐ必要はないし、またしてもこの例えが適切かどうかはわからない。
次に運ばれてきたのは、トッポギだ。
これも真っ赤に染められている。
トッポギなら食べられるぞ、とようやく箸を伸ばして食べると、美味しい。
モチモチとした食感とガツンとくる辛さがたまらなく、辛い。ていうか辛い。
ものすごく辛いのだ。
だけれど、トッポギを食べて辛いのは当たり前である。
この赤さはトマトソースの赤みではない。唐辛子の赤みなのだから。
ミートソースのパスタを食べて辛かったら驚くが、トッポギを食べて辛いのはごく自然な事なのだ。ジャンプしたら地面に戻る、位自然なことなので、俺は他の人たちのように悲鳴をあげたりせず、ただ黙々と辛さに耐えるのだ。
次にサラダが運ばれてきた。
ようやく辛いものから解放されたし、サラダの順番もう少し早めじゃないの普通、と思ったが、なんとこのサラダ、赤いソースがかけられているではないか。
まさか、サラダまで辛いのか?
と、ドキドキしながら食べたら、サラダまで辛かった。
これには驚いた。
キムチやトッポギが辛いのは当たり前だが、サラダが辛いのは当たり前ではない。
「このサラダ辛いっすね」と悲鳴をあげて周囲にアピールすると、店員さんが「ピリ辛サラダだからね」と教えてくれた。
ピリ辛サラダ!
そりゃ辛いはずだよ。ピリ辛サラダなんだからね。
ピリ辛サラダなのに辛くなかったら、変だ。
だからこれも辛くて当たり前なのだった。
次に運ばれてきたのは、チヂミ。
なんと、これは辛くなかった!
あまりの辛くなさに、トッポギやサラダの箸休めにチヂミを食う、という不思議なローテーションが出来上がる。
そして内心、「辛くない料理も出せるんじゃん、この店」と、メインのガスコンロを使用する料理に期待が高まる。
肉を焼くんじゃないのこれ?
辛くない肉をさ!
そして運ばれてきたのは、カムジャタンだった。
カムジャタン、と聞いて、ああ、あれね、とピンと来る人はどのくらいいるのだろうか。
俺は全くの初体験だったので、その、豚の背骨が、真っ赤なスープの中に大量に敷き詰められた鍋が出てきた時、大層驚いた。
骨がメインの鍋料理?
と、恐怖すら覚えた。
だけどもちろん骨がメインなどではなく、ジャガイモやその他野菜がメインなのだった。
骨の周りには、少しの肉が残っており、これをこそぎ落として食べるのだという。
野菜がメインで肉はほぼ出汁か。
俺は期待していたのと全く反対側の方向性に振り切れた料理に多少ガッカリするも、コンロに火がつけられ、煮立ってくるにつれて随分と美味しそうな匂いがしてきたため、早く食べたい、食べさせてほしい、という思いでいっぱいになった。
見た目通りの辛さでした!
いや、もうものすごく美味しいんですが、今日1辛かった。
深いコクと豊かな味の奥から、無理やり前方に強引に突き進んでくる、辛さ。
箸休めのチヂミも追いつかないこの辛さ。
というか、チヂミもがっつり量があるので、お腹いっぱいになってきて、あまり箸休めにならなくなってきた。
というか、チヂミは箸休めに向いてない。
それでも大量の骨を取り除きながら食べきると、お店の人がそこにラーメンを投入した。
美味しい!
けど辛い!
スープはすでに煮込まれすぎて、天下一品のドロドロスープを更にドロドロさせたものになっており、そこに麺を絡めて食う、みたいな、ラーメンというよりパスタに近い食べ方をしながら、これは正直、明日のお腹の調子が心配だ、と、今更ながらに不安になりながらも美味しいので明日の腹の調子など知るか、と、パクパク食べていると、箸休めにとっておいたチヂミが、他のテーブルに回されていいつの間にか消えてた。
それにしても辛い、けど美味い、となんとか食べ終え、この辛さを中和するようなデザートの登場を待っていると、コースの最後のメニューが鍋に入れる麺、という事実を知らされる。
辛いのを家まで持ち帰れというシステム!
すげえ体験したなあ、またたまには行きたいな、韓国料理屋さん。と、思いながら帰宅して寝て起きて次の日。
全くお腹の調子悪くなったり痛くなったりしないでやんの!
本当にすごいな!
今度誰か一緒に行きましょう。
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