見出し画像

初めて行った美容院の話

こないだ、髪を切りに行ったんだけど、いつも行く美容院が、ちょうど都合の良い時間が空いてなくて、せっかくだから、と少し足を伸ばして新しい美容院に行ってみた。

元々俺は天然パーマに対する抵抗を諦め、髪型がどうなっていようが気に留めない、という暮らしを続け、伸びたら刈ればいい、といったような、羊に対するものと同じ扱いしか毛髪にはしてこなかったため、余り髪型に詳しくない。というか、髪型の名前がわからない。
ツーブロックと坊主、ロング、リーゼント、がわかるくらいのレベル。
ちなみにこれらの髪型は全部スラムダンクに出てくる。

でも最近の美容院には、髪型カタログみたいなのが置いてあるので、それをパラパラめくって、気に入ったやつを指差してこれで、みたいに注文すればそれなりにプロの美容師さんがなんとかしてくれるので、余り細かいことは考えずに入店した。

しかしながらそこの美容院には、髪型カタログが置いてなかったのである。

いや、本当は置いてあって、言えば出してくれたのかも知れないが、伸び放題になった天然パーマの男が、髪型カタログ見せてください、なんて言っても、すぐには理解されないかも知れない。お前にできる髪型は坊主がアフロ、どちらかだ。みたいに思われているかも知れない、と思い、とても頼めなかった。

で、そんな状態で、今日はどんな髪型にしますか、と訊かれたので、どうしたら良いでしょうかねえ? といった、まるで他人事のような返答しかできなかった。

で、まあ、とにかく一番大切な要望は、伸びきった髪の毛を短くしてもらうことと、全体的に軽くしてもらうことだったので、それを伝える。

更には、以前ソフトモヒカンみたいにしてもらったら大層評判も良かったし、自分も気に入ったので、ソフトモヒカンも良いかなあ、などと提案してみた。

で、あとは美容師さんにお任せで、されるがままにしていたのだけれど、いつも行く美容院であれば、その後は俺はずっと雑誌を読んで、殆ど話さないことにしているし、美容師さんも、こいつは喋らない客、みたいに理解してくれているので、なんら問題はないのだけれど、この日は新しい美容院だったため、まあ美容師さんが話しかけてくるわ話しかけてくるわ。

で、その内容が、新しいスマートフォンの性能とか通信速度、みたいな、はっきり言って全く興味も知識もない分野だったため、殆どの話を相槌で返すしかなかったし、話の内容が全くわからなかった。結構辛かったし、こんな話甲斐のない男に話している美容師さんも辛かったことと思う。

どちらも得をしない時間だった。
俺が早々に、雑誌に集中したいんで、そちらも髪の毛に集中して下さい、とでも言えればよかったのかも知れないが、そんなこと言うの、無理だ。

で、しかも、お仕事を訊かれて、咄嗟に会社員なんです、って嘘をついてしまった。
会社員は平日の昼間三時に髪なんか切りに来ないと思う。

これも、いつも行っている美容院なら、書きものの仕事をしているから、どんな奇抜な髪型でも大丈夫、と理解してくれているので、気にすることはなかったのだが。

で、結果、出来た髪型は、少し短くなっただけ、という、せっかく切ったのにこれ? と思わずにはいられないものでした。

本当はソフトモヒカンにして欲しかったのだけど、美容師さんは、会社員がソフトモヒカンなんかしたら大変! と考えたらしく、少しだけサイドをツーブロックにしてくれていて、このくらいなら、下ろせば目立ちませんし、と、存在しない上司に対する対抗策まで考え出してくれていた始末!

ここまでしてくれた美容師さんに、気に入らないんで、やり直し。なんてとても言えず、最高です、ありがとうございます、とお礼を言って退店しました。
今までつけたことないジェルをベッタリとつけられて。
ジェルのつけ方をバッチリ教わったのですが、家にジェルない。

時間をおいて、いつも行く美容院でソフトモヒカンにしてもらおうかなあ、とも考えましたが、この髪型は、要望をきちんと伝えず、嘘までついた自分への戒め、としてそのままにすることにします。

#雑記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?