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大学生の頃に音響をしていた話

野外フェス『ナチュラルハイ!96』のことを書こうと、何か手がかりになるものはないか、確か山塚アイちゃんの写真を撮らせてもらった記憶があったが、その写真など出てきたら、記事に花が添えられるではないか、と、押入れの奥の箱の中をゴソゴソとやっていると、オレンジ色の表紙の汚いノートが一冊出てきた。

音響チーフのノートですので開けたりしないで。

と、確かに俺の字で書いてあるが、果て。

あとなんだ? このシール。

と、中を開いてみたら、なんのことはない、俺が大学一回生の時、授業で芝居をした時のノートだったわけである。

で、俺は近畿大学文芸学部演劇芸能専攻芸術学科、などという漢字ばかりがずらりと並ぶ学科に籍を置いていたのですが、そこでは授業で演劇を発表する機会が多々あり、このノートはその中の確か、第一回目、初めて一回生が皆でお芝居を作り上げて、学内発表をする、といったような、そういう授業の時にこさえられたノートと思う。

本番の日付は3/1-3/2とあるので、これは1997年の三月のことと思う。違ったらすみません。

さらに当時は、生徒が演出、舞台監督、照明、音響、美術、衣装、小道具、映像、制作、などの、自分の興味のある役職に就くのが義務で(授業なんだから普通そうか)、俺はその中で音響を担当していた、というわけです。

で、その時は学生たちが二班に別れ、それぞれの班が、松田正隆『紙屋悦子の青春』と鈴江俊朗『区切られた四角い直球』という芝居を、さらにA班とB班のダブルキャストでやる、といった内容であった。

その中で俺は『区切られた四角い直球』チームの音響のチーフで、A班とB班の責任者的な役割に位置ついていたのだ。

余談ですが当時はなんと、芝居の本番に今はすっかり廃れてしまった、オープンリールテープを使用していた。

本番での音響の担当は、客席の後ろのオペレーター席から芝居を観ながらキッカケで再生ボタンを押す再生係と、再生係の隣で芝居を観ながらフェーダーを上げたり下げたりするフェーダー係と、別の離れた部屋に閉じこもってお芝居も観れないまま、ただただ回り出して止まったオープンリールのテープを、手で回して次の曲の頭出しをしておく、というテープ係がいたのです。
なんでそのテープ係が別の離れた部屋にいるかというと、オープンリールは、再生したり止まったりするたびに、機械がガシャンガシャン喧しくて、芝居に支障をきたすのだ。
今思えば廃れて当然である。
あと、フェーダー係と再生係は、絶対に分ける必要なかった。

余談おわり。

で、その中で初めてのみんなで作るお芝居で、音響チーフ、という大役を買って出た俺は、なにか面白いことをするべきである、と、勝手かつ独裁的な思い込みにより、「同じ芝居なのにA班とB班とで、音のキッカケも曲も全部変える」と決めたのだ。

今なら、すぐさま自分自身から「そんなのやめよう、めんどくさいし」という極めて真っ当で反論の余地もない素晴らしい意見が飛び出すのだが、当時の俺は何も考えてないので、そのアイデアが素晴らしい宝物であると信じて疑わない。

なんで誰もこの素晴らしいアイデアをやらないんだろう? と疑問に思ってた節まである。
答えは簡単でそのアイデアが特に素晴らしくないだけなのだと、誰か当時のあいつに教えてやってほしいが、多分聞く耳もたなかっただろう。

そのままにそのアイデアを遂行し、演出に、その旨を伝えに行くと、演出の柳沼という男は、それを楽しんでくれたのだ。という、都合のいい記憶に書き換えられてますが、本当はヤギーは反論するのが億劫だっただけかもしれない。

ちなみに柳沼は、烏丸ストロークロックという劇団をしているので、今度Facebookで訊いてみようかな。でもやっぱり怒られたら怖いのでやめときますね。

まあとにかく、当時『トレインスポッティング』という映画が流行ってましてね、俺もテアトル梅田で観てきまして、かっこいい! これだ! と、何がこれなのか全く分からずに興奮していた盛りだったので、音響も「ほぼ『トレインスポッティング』の真似」という頭を抱えて走り去りたくなるようなコンセプトで最終決定したのです。

そんなスカタンな出来栄えの頭でも、少しは「悩める若者の云々」を考えた選曲らしく、また、A班とB班のそれぞれの出演者の演技の質の傾向(元気な人が多い班と、繊細な人が多い班、みたいなざっくりとした独自の印象によるもの。いい加減にしろ)によって、A班ではロック中心で選曲、B班ではテクノ中心で選曲、と、一応の柱はあるみたいなので、あまり目くじら立てずに、以下に記す選曲リストをご覧になって一笑に付してやって下さい。

何しろ若気の至り。寛大な心でお願いいたします。

『区切られた四角い直球』A班 選曲リスト

WEEZER/butterfly
SONIC YOUTH/little trouble girl
SONIC YOUTH/no queen blues
SONIC YOUTH/the diamond sea
BOREDOMS/13
R.E.M./bang and brame
BOREDOMS/15
FASTBACKS/meet the auther
NOFX/truck stop blues
RENTALS/please let that be you

ソニックユース使いすぎ。

『区切られた四角い直球』B班 選曲リスト

NEW ORDER/every little counts
RINGO/sumire
篠原ともえ/i love you,de ja vu
JEFF MILLS/change of life
SOURCE/the real thing
UNDERWORLD/m.e.
NEW ORDER/bizzarre love the triangle
UNDERWORLD/born slippy
U2/numb
POLYGONWINDOW/quino-phec
嶺川貴子/sleep song
TORTOISE/as you said
SUICIDE/dream baby dream

ボーンスリッピー使うなよ。

まあ、ボーンスリッピーはともかく、今回こうして書いてみるにあたって一通り聴き直したりしてみた(曲名からYouTubeのリンクが貼ってある曲もあるので、興味あったら聴いてみてください)ところ、中々良い感じに切なくて悪くない気がしている。

若くてもどかしくて切ない感じが、音楽だけで説明されてる!
て、それじゃあダメなんだよ、馬鹿。

要するに音楽が主張し過ぎてて、他の芝居やスタッフワークとのバランスが全然取れてない、というバランス感覚が全く欠如した悪い見本のような結果に終わってしまいました。本当にすみません。

と、かのように失敗しながら人は、他人に見せるに足る表現、というのを学んでいくのだ、という話(無理やりまとめる。もう眠いし、明日も早いし)。

そしてこの曲リストを、iTunesに落としとこう、とも決めるのであった。

では、ばいなら!

#雑記

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